「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)(中)(下)

ジャーナリスト及川健二氏がかつてオーマイニュースに掲載した『「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)(中)(下)』が現在バラバラのようなので、お探しの人もいるでしょうから、ここにまとめておきます。

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●「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)
http://www.pot.co.jp/oikenparis/danny.html

2007-11-27

「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)

写真脚注:「絶対自由主義が変わらぬ信念です」と語るダニエル=コーン=ベンディット欧州議会議員。(撮影:及川健二)

『オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

主題:「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)
副題:パリ五月革命の指導者が語る

【本文】
 1968年にフランスで起きた『パリ五月革命』のリーダーで、現在、欧州議会議員を務め、議会内会派「欧州緑の党」代表の、エコロジストの大御所・ダニエル=コーン=ベンディット氏に、2006年3月23日、ブリュッセルの欧州議会・事務所で独占インタビューすることができた。

「絶対自由主義が私の信念です」

────『パリ五月革命』が起きたとき、あなたは学生運動の指導的な立場にいました。当時は共産主義が学生運動に影響しましたが、今あなたはヨーロッパで最も影響力のあるエコロジストになりました。なぜ共産主義を捨て、緑の党に入ったのでしょうか。

ダニー まず誤解を解く必要がありますが、私は革命活動家ではあっても、共産主義活動家だったことはありません。イデオロギーにおいては、あくまでも絶対自由主義者(リバータリアン)でした。この二つは同じものではありません。

絶対自由主義は個人の領域(私的空間)に国家が介入することに反対する思想です。平等よりも自由を重視し、個人の自己決定を尊重します。よって、絶対自由主義は常に反共産主義です。

 革命という語をなぜ用いるかというと、『パリ五月革命』は資本主義社会に対して革新的であろうとした反乱だったからです。その後、さまざまな出来事、運動に参加するうち、社会が必要としているのは多かれ少なかれ革新的な改革であるということを次第に悟りました。

そして反原発、環境主義といった運動において、その改革のプロセスを実行する可能性を発見し、その後、環境主義政党の運動をするようになりました。その運動の論理によって選挙に出馬し、欧州議会議員に選出されたわけです。

「私は常に共産主義に批判的でした」

────政治活動を続ける中で、決して変わらなかった信念は何ですか。

ダニー いま申し上げた絶対自由主義です。それは個人の自律と自由ということです。つまり、個人がどのように共同で生活を組み立てていくか、個人がどのようにして生活を自律的に管理していくかという思想です。

────共産主義に魅力を感じたことはなかったのですか。

ダニー まったくありませんね。私は常に共産主義に対して批判的でした。私にとって共産主義は独裁的と定義されるし、その萌芽は理論、すなわちマルクスの思想の中にあります。さらに、革命は科学的に必要であるという主張は、全体主義の芽となるものです。

 もし政治が科学であったとすれば、発展は必然であるから、民主主義は必要ないということになってしまいます。私は常に、共産主義は全体主義的イデオロギーだと捉えてきました。私が革命的、革新的であり、資本主義に対して非常に批判的であったのは、絶対自由主義に依り、労働者の自律的管理という考えを持っていたからです。それが私のイデオロギーで、党が果たす集中的役割という独裁体制とは対立するものでした。

「環境主義の本質は『持続可能な発展』にあります」

────緑の党やエコロジーの思想の何が最も魅力的でしたか。

ダニー 環境主義とは本質的に、経済発展、社会発展、そして人間と自然の関係のバランスを考えることを促すということです。つまり、環境主義の政策は「持続可能な発展」という考えを導入し、地球を守るのに必要なバランスを提案する科学です。それが環境主義政策の本質的なところです。

────緑の党と他党と最も異なる点は何でしょう

ダニー 緑の党には環境と経済のバランスという考えがあり、それは左右を問わず他の政党にはない点だと思います。他党は生産重視主義であり、経済自体が人類幸福のための原動力になると考えています。しかし、実際はそのように機能するものではありません。地球の発展を考慮した上で、経済を再考しなくてはなりません。

たとえば、気候変動の問題などがありますが、今日では、私たちの生活様式が、私たちの生活の基盤自体を危機に陥れかねないということが顕わになっています。

2007-11-27 0:00 [及川 健二]

 

●「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(中)
http://www.ref-info.net/koku/koku-news41.html

オーマイニュース
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071015/16127
「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(中)
地球にとって全世界レベルの戦略が必要
及川 健二(2007-11-11 21:05)

「地球にとって全世界レベルの戦略が必要です」

────フランスのように国民の環境意識が高くない国でも、緑の党は一定の地位を占めていますね。

ダニー 必ずしもフランス人の環境意識が低いわけではありません。フランス人には矛盾があるのです。フランスには自然、田舎に関する伝統、食料、自然食品の伝統がありますから、遺伝子組み替え作物に関しては、国民の大多数が拒否しています。

 フランス人は原発に反対ではありません。他の選択肢がないために問題にすらできないからです。一方で、おっしゃるとおり自動車を乗り回し、排気ガスを撒き散らしていますし、ゴミ分別の考えを浸透させることは非常に困難です。ですから私は、フランス人には矛盾があると思うのです。たしかにこれは難しい問題です。

────緑の党は今後の欧州、世界の政治でどのような役割を担っていきますか。

原発や遺伝子組み換え作物に反対するダニエル=コーン=ベンディット欧州議会議員。(撮影:及川健二)

ダニー たとえば気候変動の問題をみても、地球にとって、全世界レベルの戦略が必要なことは明らかだと思います。京都議定書【1】はその第1歩になりますが、まだ不十分で、「第2の京都」、「第3の京都」といった、さらに進歩した協定が必要です。そこでの緑の党の役割は、ある種の政策について地球規模の考えを推進することです。

 たとえば、二酸化炭素排出、気候変動に対する闘いがあり、グローバリゼーションの問題があります。緑の党が先頭に立って、どのようにしてグローバリゼーションを制御するかを議論し、産業界のためだけでなく、地球規模での「持続可能な発展」にかなう、統制されたグローバリゼーションが行われる世界の構成の可能性を探していく必要があります。

────国だけでなく、全欧州さらには世界の環境主義政党に呼びかけるのですか。

ダニー ええ。緑の党の考え方は、ただ一国の政党でなくヨーロッパの政党であり、地球規模でもまとまりを持とうとするものです。

「日本に緑の党ができれば、アジア地域で環境主義が発展する」

────日本にも、緑の党をつくろうという運動はありますが、いまだ党はできていません。日本に緑の党ができることを期待しますか。

ダニー 成田空港拡張に反対する大きな運動がありましたね。環境主義政党の運動ではないにしても、いわば「持続可能な発展」を擁護する運動が日本においても存在したわけです。

 日本に環境主義政党ができれば、アジア地域において、環境主義の考えを発展させることができるようになるでしょう。日本の政治体制の中で、新党を作るのは難しいと思いますが、日本の社会的、政治的現実をみると、政治上で環境主義を考えることは絶対に必要といえます。

────日本に緑の党をつくるためのアドバイスをいただけますか。

ダニー わたしは誰に対しても助言はいたしません。それぞれの国、それぞれの運動が、それぞれの方向性をみつければよいのです。さもなければ、押しつけがましく、権威主義的になってしまいますから。

原発と遺伝子組み換え作物に反対する理由

────個別の問題でうかがいますが、緑の党はなぜ、原子力発電に反対するのですか。

ダニー 原子力は、統制不可能なエネルギーだと私は思っているからです。科学的にみて統制不可能といえます。

 廃棄物の扱いが明らかではありませんし、原子力発電所が増えれば増えるほど、核廃棄物は増えます。その自然分解には何千年とかかります。危険かつ、統制、統御不可能な上、30~40年しか使用できない原発は、費用が非常に高くつきます。さらにいえば、今となっては過去の技術、1950年代の技術といえます。

 風、太陽熱、水素といった再利用可能なエネルギーについて検討すべきです。それこそが次世代の科学、次世代の技術であり、そこにこそ投資しなくてはならないと思います。ドイツでは脱原子力化を行っていますし、デンマークには非常に多くの風力発電所があります。

────遺伝子組み換え作物に反対する理由は何ですか。

ダニー 遺伝子組み替え作物もまた、自然界に独立しては存在しない代物です。まず、人間の体に対して、どのような副作用をもたらすか、わからないものを作り出しています。

 そして遺伝子組み替え作物は、畑に育ち、風に乗って他の作物を汚染します。遺伝子組み替え作物は、汚染によって自然の器官の遺伝構造を変えてしまいます。つまり、遺伝子組み替え作物は、いわば「帝国主義者」なのです。

【1】1997年に、京都市の国立京都国際会館で開かれた、地球温暖化防止京都会議で議決された議定書。先進国の温室効果ガス排出量(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素など)について、法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定することが決められた。そして、国際的に協調して、目標を達成するための仕組みを導入することになった(排出量取引、クリーン開発メカニズム、共同実施など)。ただし、途上国に対しては、数値目標などの新たな義務は導入しないことになった。

「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071012/16039

 

●「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(下)
http://www.ref-info.net/koku/koku-news41.html

2007年11月12日付『オーマイニュース』
 「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(下)
「ブッシュ大統領は共産主義者のようだ」及川 健二
ネオ・リベラリズムと絶対自由主義の違い

────あなたが擁護する絶対自由主義は、通常の自由主義(リベラリズム)あるいはネオ・リベラリズムとどう異なるのですか。

ダニー 絶対自由主義は社会全体の自律的管理を目指します。自由主義は民主主義を機能させる議会政治を基にした政治理論です。ハンナ=アーレントのような政治思想家が政治・民主主義についての、この理論を発展させました。これに対して絶対自由主義は、個人が常に自律管理をする意志を持つ、と信じているユートピアです。

 革命家は、この世には市場経済、計画経済の2つの選択肢しかないとは思いません。今日では市場経済のほうが確かに、より多くの自由を可能にしている、このことは否定できません。議論の的は、もはや市場経済か計画経済かにあるのではなく、それを如何に構成、統制するかということにあります。

 ネオ・リベラリズムは、ある種、宗教のようなものです。市場を信奉する宗教で、国家宗教(国家が宗教を統制する)と同じように間違いです。私たちには、国家レベルでも欧州レベルでもなく、グローバリゼーションによる地球規模の政治体制によって統制された、市場が必要なのです。それが、これから20年の大きな課題になります。

────あなたは自由主義市場を擁護しているのですか。

ダニー 擁護しているという点については、そうともいえますし、そうでないともいえます。現時点では市場経済に変わる選択肢が見あたりません。市場経済があるのみです。

 いかに統御するかについていえば、安定性、「持続性のある発展」を可能にする一連の市場統制の法律が必要だといえます。環境主義は、たとえば、エネルギー消費といった環境の軸を通した、市場経済の統制方法を通して実現されます。

「ブッシュ大統領は共産主義者のようだ」

────お話しを聞いていると、あなたは環境より自由を強調しているように思えます。アメリカのブッシュ大統領も、自由を金科玉条のように掲げていますが、ブッシュ流の自由をどう見ているのでしょう。

ダニー ジョージ=ブッシュはボルシェヴィキ【1】、革命家的な考えをもっています。共産主義者のようです。すなわち、ブッシュの考え方もまたイデオロギーで、彼は「世界がどのように構成されるべきか、私たちにはわかっている。それはアメリカ(のシステム)だ。私たちにはそれを押しつける軍事力がある」といっているわけです。

 ボルシェヴィキ革命家は「権力は銃の向こうにある」といっていましたが、ブッシュも同様のやり方で彼自身の世界に対する考え方を押しつけようとしています。

 自由とはそのようなものではありません。私が考える自由とは、貧富の格差をなくしつつ、つまり「南・後進国」とともに発展を目指すこと、同時に「南・後進国」にみられる全体主義と対峙しつつ、民主主義を押し進めることです。

  ただ、民主主義を押し進めることは、外来の力によって外からもたらされるものではなく、国内の力によってもたらされるべきだと思います。

 軍事力によって、自らのモデルを押しつけるというブッシュの考え方は間違っています。彼がもたらした世界の惨状を見れば、それは明らかでしょう。

「欧州憲法は頓挫しても、欧州はいまも統合を目指しています」

────欧州憲法はフランス国民投票で否決されました。左翼から「リベラル(自由経済主義的)すぎる」と批判された憲法に、あなたは一貫して賛成しました。賛成の理由は何ですか。

ダニー 市場経済の多くの問題はもはや一国のレベルでは解決できないので、欧州統合は大事な第一歩だと思います。

 欧州憲法は、欧州統一市場を管理する賢明な枠組みです。この憲法がネオ・リベラルであるという指摘に対して、私は常に異議を唱えてきました。そうではなく、欧州市場という考えのバランスを修正するための、多くの進歩点がありました。

 左派が反対したという事実は、フランスの大多数の人、とくに左派の人が政界人を信用していないという事実に関連していて、政界に対する拒否を表明するために、ノンをいったといえます。

────欧州憲法は困難に直面していますが、それは欧州政治にどのような影響を与えますか。

ダニー 欧州の政界は少々、立ち往生してしまいました。今は、欧州における多くの案件を見直し、考え直す段階です。ですが、憲法という屋台骨なくして、27カ国からなる欧州連合はありえないと思いますので、これからは憲法案から出発して、何らかのものを練り直すことになります。

────必ずしも同種の憲法案ではなく、ということですか。

ダニー 必ずしも同じ条文でなく、現在の憲法案をたたき台として、フランスであれ、オランダであれ、わかりやすく、受け入れやすくなるようにするのです。

 欧州統合は歴史的計画です。欧州共同体(EC)の基本条約であるローマ条約【2】から、来年(2007年)はちょうど50周年になりますが、この50年はその前の400年と比較すると、大きな進歩があったことはおわかりでしょう。ですから、欧州はいまも統一を模索しています。憲法をつくっていく作業には辛抱が必要で、それなりの時間をかけなくてはなりません。

【1】「多数派」の意味。暴力による革命を主張し、徹底した中央集権による組織統制を目指す。

【2】欧州経済共同体(the European Economic Community)を創設するための条約で、フランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグが、1957年3月25日に調印した。

 

(以上、引用終了)
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日本が「脱原発」路線になれば、日本の国力衰微を願う中国・ロシア・北朝鮮・韓国は小躍りして喜ぶに違いありません。
代替エネルギーによる低コストの発電所が出来なければ、慢性的な電力不足が続く。電気料金は値上がる一方。これで産業が弱体化し、経済力はぐんぐん低下していきます。
彼らにとって本来「格下」であるべき日本が経済大国の座から滑り落ちれば、笑いが止まらんでしょう。
それより何より日本の場合、原発保有は イコール 核兵器即時転用可能状態なわけですから、それが消え、もしもアメリカが手を引いたならば、日本侵略などそれこそ赤子の手をひねるようなもんです。
だから彼らの利益のために与党もここを先途と奮闘している(嗤)

それでもなお、私はダニエル・コーン・ベンディット氏のいうように、扱いも廃棄物も「統制、統御不可能」である原子力発電を止める方向で進めていくべきだと思います。
「統制、統御不可能」な上に、世界有数の地震国日本で使うにはあまりに危険すぎます。
しかも政治家も官僚も電力会社も、無責任すぎて、とてもじゃないが管理を任せらない。
防衛の観点においては、相応の対策が必要なことも私は否定しません。

◆    ◆    ◆

以下、緑の党とは無関係の楽曲です。

René Letarte – Écologie(1972)

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