シェーン死亡説

西部劇映画『シェーン』で知られる俳優アラン・ラッドは1964年1月29日、満50歳の若さで他界している。

『シェーン』の日本初公開は昭和28(1953)年10月1日。
前年の昭和27年は映画史に残る名作群がこれでもかというくらいたくさん公開され、空前の洋画ブームに。
引き続きこの年も『キリマンジェロの雪』 『探偵物語』 『花咲ける騎士道』 『ライムライト』 『静かなる男』 『シンデレラ姫』 『七つの大罪』 『ナイアガラ』 『地上最大のショウ』 『見知らぬ乗客』 『赤い風車』 『紳士は金髪がお好き』 『ふしぎの国のアリス』 『宇宙戦争』 『禁じられた遊び』 『終着駅』 『黄昏』 『地上より永久に』 『三文オペラ』 『夜ごとの美女』 等と、名作・佳作が目白押しとなった。

解説 – シェーン
ジャック・シェーファーの小説から「果てしなき蒼空」の原作者A・B・ガスリー・ジュニアが脚色し、「腰抜けモロッコ騒動」のジャック・シャーが台辞を追加した。
テクニカラー色彩の撮影はロイヤル・グリグス、音楽は「戦う雷鳥師団」のヴィクター・ヤングの担当である。
主演は「砂漠部隊」のアラン・ラッド、
「西部を駈ける恋」のジーン・アーサー、
「三銃士(1948)」のヴァン・ヘフリンで、
子役のブランドン・デ・ワイルド、
「突然の恐怖」のジャック・パランス、
「三人の名付け親」のベン・ジョンソン、
「アリゾナの勇者」のエドガー・ブキャナン、
エミール・メイヤー「暗黒の恐怖」、
エライシャ・クック・ジュニア「犯罪王ディリンジャ」、
ダグラス・スペンサー「インディアン征路」、
ジョン・ディアクス「マクベス(1948)」、
エレン・コービー「恐怖の一夜(1950)」
などが共演している。
(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋)

<シェーン – goo 映画>
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD17975/story.html

Shane(1953)re-release trailer

Victor Young – Shane(1953)Original Soundtrack – Title
2度目の引用。

Dolores Gray – The Call Of Far-Away Hills

雪村いづみ – 遙かなる山の呼び声(1953/09)

蘿愛心 – 〝센〟映画主題歌(먼 山울림) (1956)
韓国語詞:世鼓石、編曲:全吾承
“The Call Of The Far-Away Hills”

Franck Pourcel Et Son Grand Orchestre – The Call Of The Far-Away Hills
from the album “Western”(France:1972)

映画『シェーン』には人妻の淡い恋情(不倫までは間違っても行かない)というらしからぬ隠しテーマがあって、逆にその部分で50年代のアメリカの観客に訴えるところがあったんじゃないかと思う。
当初、流れ者のシェーンを疎んじていた開拓農民たちは、やがて、悪徳牧畜業者のライカー一味をやっつけるために利用できるんじゃないかと考え、取り込もうとする。
『七人の侍』の物語の構造にも似ているが、観客がシェーン、農民のどちらの側に感情移入するのか、自由社会の守護者などという幻想を当時のアメリカ人はまだ持っていたろうから、やはりシェーンの立ち位置だったんじゃないか。
日本人はたぶん農民のほうだね。『風の又三郎』みたいなもんで、神威を揮うまれびとは居着いてもらっちゃ困るわけで、非日常を敬して遠ざける感じだろう。
映画『交渉人』で、ラストのシェーンの生死について議論するシーンがある。

In the 1998 film The Negotiator, Kevin Spacey’s character tries to convince Samuel L. Jackson’s character that viewers should conclude that Shane is dead at the end of the film because he is slumped over his horse and unable to look back. Jackson’s character contends that Shane’s death is only an assumption. “Slumped don’t mean dead,” he says.

<Shane (film) – Wikipedia, the free encyclopedia>
https://en.wikipedia.org/wiki/Shane_(film)

シェーン死亡説
この映画を紹介する際、一般的には「少年に見送られて馬で去った」とされることの多いラストシーンだが、「この時の馬上のシェーンは実はすでに死んでいる」という解釈が存在している。その根拠は以下の通りである。
決闘の撃ち合い中、シェーンが撃たれていること。
ジョーイの必死の叫びにまったく反応しなかったこと。
走り去ったシェーンの片手が力なく伸びていること。
ラストシーンでシェーンがいる場所が墓場であること。
映画『交渉人』には、登場人物がこのラストのシェーンの生死について議論するシーンがある。

<シェーン – Wikipedia>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3

Lieutenant Danny Roman: I like westerns, like Shane.
Lieutenant Chris Sabian: It’s interesting that you pick one where the hero dies.
Lieutenant Danny Roman: What are you talking about? He doesn’t die. He rides off into the sunset, and that kid says “Come back, Shane!”
Lieutenant Chris Sabian: That’s a common misconception, in the last frame he’s slumped over on his horse.
Lieutenant Danny Roman: So he was slumped, slumped don’t mean dead.

<The Negotiator (1998) – Quotes – IMDb>
https://www.imdb.com/title/tt0120768/quotes?qt=qt0329494

I read a lot of books.
I watch a lot of old movies. AMC.
You got a satellite?
They show all those old westerns.
Westerns?
I like comedies, myself.
I did like Shane though.
Shane, now that’s a good one.
I would have picked one where
the hero lives at the end.
Like a Rio Bravo…
…or a Red River.
I think that’s the wrong movie.
Shane lives. At the end of it,
he’s riding off and that kid…
– Brandon…
– De Wilde.
Brandon de Wilde’s calling his name:
“Shane, come back! Shane!”
I’m sorry to be the one to
tell you this but Shane died.
That’s an assumption.
It’s a common mistake.
In the final shot,
he slumps over his horse.
He doesn’t look back because he can’t.
Shane’s dead.
He slumps because he’s shot.
Don’t mean he’s dead.
You think Butch and Sundance live too?
You never see them dead either,
but they’re surrounded.
Now you’re a history buff?
I generally read
histories and biographies.
Don’t believe everything you read.
I didn’t say I read just one book.
I try to read all books on a subject.
You know, try to get all the facts…
…and then decide for myself
what really happened.
Get all the facts, huh? That’s smart.

<The Negotiator Script – Dialogue Transcript>
https://www.script-o-rama.com/movie_scripts/n/negotiator-script-transcript-kevin-spacey.html

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(上)ハヤカワNV文庫(早川書房)
左から
アーネスト・ヘイコックス他/三田村裕訳・編『駅馬車 <西武小説ベスト8>』昭和48年4月30日初版
ジャック・シェーファー/清水俊二訳『シェーン』昭和48年2月15日二刷
エリオット・ネス/井上一夫訳『アンタッチャブル』昭和48年4月30日初版

もし馬上のシェーンがすでに死んでいる、あるいは瀕死だとしたら、そういう曖昧な表現がアリなら、小津の『晩春』のラストでリンゴの皮を剥いて項垂れる周吉(笠智衆)だって死んでるだろうと。
ついでに『あしたのジョー』だって白くなって死んじゃったろうって w
……いや、死んでるか???

ジャック・シェーファーの原作ではシェーンが撃たれて意識はあるが出血が始まっている。そして痛みに堪えつつそのまま馬に乗り町を去っていく……。
原作ですでに「あるいは野垂れ死ぬんじゃないか」という危惧を抱かせているので、映画での死亡説もその流れだったろう。
ただし映画では去る直前のジョーイとの会話で苦しそうな様子が見られず、馬にまたがって動き出してからはシェーンのアップがないので、演出としてシェーンの死が近いことを強調しているとは受け取れない。

Shane, Come Back! – Shane (8/8) Movie CLIP (1953) HD
Movieclips
2012/05/22

<参考>
北條 暁 – 生きているのに
作詞:川端康成、作曲:北条 暁

<参考>
友川かずき – 生きてるって言ってみろ(1974/09)
作詞曲:友川かずき、編曲:宇崎竜童
Accompanied By ダウン・タウン・ブギウギ・バンド

原作でもそうだったが、シェーンは殺人の罪深さを自覚しているふうで、悪を懲らす正義をよそおい己を正当化する感覚を持っていない。そして罪の報いとして自らもまた早々に死すべきさだめにあることを達観しているかのようすだ。

これはアングロサクソンとしては意外千万ではなかったか。
「悪」と見做した敵を討伐・駆逐した後、今度は新たな支配者として君臨するのが彼らの歴史であったから、その意味でもシェーンの存在は非日常だったと言えるのではなかろうか。

映画『シェーン』の舞台となったのは春まだ浅きワイオミング。
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ワイオミング州の愛称は「平等の州(Equality State)」。
けれどもそこで繰り広げられたのは先住民征服の唾棄すべき策謀だった。

もともとシャイアン族やスー族など、多くのインディアン部族が先住していたが、19世紀に他州へと強制移住させられた。多くのインディアン部族が生活の糧としていたバッファローは、19世紀にアメリカ連邦政府の西部インディアン絶滅政策で人為的に絶滅させられ、食糧自給の道を断たれたインディアン部族は保留地への移住を余儀なくされた。

<ワイオミング州 – Wikipedia>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%B7%9E

Elliot Lawrence and his Orchestra – At The Flying “W”(1948)
vocal: Rosalind Patton and ensemble
タイトルの “W” は何だろう? ワイオミングの頭文字か?
2度目の引用。

Dick Jurgens and his Orchestra -(Oh Why, Oh Why, Did I Ever Leave)Wyoming(1946)
vocal: Jimmy Castle, Al Galante and Band
2度目の引用。

recorded October 17, 1946
This one reached #14 on Billboard’s weekly radio airplay chart.

シェーンがやってきたのはその中のジョンソン郡の開拓地。
ハッキリ言ってなんにもない、乾燥した満目荒涼たる原野だ。

観光の見所としては

イエローストーン国立公園

Amazing yellowstone geyser video
usaparkinfo
2008/07/27

デビルズタワー
Devils Tower NM (timelapse)
Marco Minu
2012/06/02

1860年代後半のワイオミング州ララミー市、その郊外にある牧場を舞台としたテレビ西部劇『ララミー牧場』(Laramie)は日本で大人気となった。

Laramie
TimelessMediaGroup
2009/09/01

1888年にワイオミング州クルック郡サンダンス刑務所から釈放されたサンダンス・キッド(本名:ハリー・ロングボー)を題材にしたのが映画『明日に向って撃て!(Butch Cassidy and the Sundance Kid)』。ただしワイオミングが舞台の話ではなかった。

以下、ワイオミング州に関連する映画。

宇宙人ポール(2010)
噂のモーガン夫妻(2009)
ブロークバック・マウンテン(2005)
未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002)
どつかれてアンダルシア(仮)(1999)
許されざる者(1992)
フール・フォア・ラブ(1986)
天国の門(1981)
ダーティファイター 燃えよ鉄拳(1980)
LOVEシーズン(1980)
未知との遭遇 特別編(1980)
トム・ホーン(1979)
新・明日に向って撃て!(1979)
ミズーリ・ブレイク(1976)
正午から3時まで(1976)
ワイルドカントリー(1974)
キャット・ダンシング(1973)
大砂塵の男(1972)
激怒(1972)
夕陽の挽歌(1971)
雪山は招く(1970)
白銀のシュプール(1967)
虎の谷(1966)
ビッグジム(1966)
渡り者(1966)
決闘ブラックヒル(1963)
牧場荒し(1962)
西部を股にかける女(1958)
草原の野獣(1958)
西部の血煙(1956)
烙印なき男(1956)
ボスを倒せ!(1956)
ヤング・ガン(1956)
悪人への貢物(1956)
街中の拳銃に狙われる男(1955)
ララミーから来た男(1955)
拳銃稼業(1955)
縄張を荒らすな(1954)
遠い国(1954)
コマンド(1954)
シェーン(1953)
無頼の谷(1952)
闘いの太鼓(1951)
流血の谷(1950)
鉄路の弾痕(1950)
頭上の敵機(1950)
ワイオミングの緑草(1948)
高原児(1947)
高原の夕焼(1947)
落日の決闘(1946)
悪漢バスコム(1946)
高原の白馬(1945)
荒原児(1937)
空爆決死行(1937)
ブダペストの動物園(1936)
孤軍奮闘(1932)
天国爆撃隊(1932)
モダーン西部王(1931)
赤新聞(1931)
支配する声(1931)
おしゃれ牧場(1931)
ワイオミングの男(1930)
女房盗塁(1930)
ヴァージニアン(1929)
剛勇ジャック(1920)
釣合わぬ伯爵(1919)
情熱の国(1918)
地獄猫(1918)
 

 

追加記事

(2018年7月6日)

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