1965年のブレイク・エドワーズ脚本・監督『グレート・レース(The Great Race)』はいかにもワーナー・ブラザースらしい娯楽作品でした。賞金を賭けたレースの話でいささかマンガじみてますが、アメリカ人はそういうの大好きなんですね。
現代版グレート・レースともいうべき『爆走!キャノンボール』(1975年)などはシリーズ化されてます。
私の場合『グレート・レース』でいいなと思ったのはストーリーじゃなくてヘンリー・マンシーニの音楽、特に「The Sweetheart Tree」。
ノスタルジックな気分にひたれる佳曲です。
たぶん1920年代後半のアメリカのヒット曲『ザ・スウィートハート・オブ・シグマ・カイ(The Sweetheart Of Sigma Chi)』を念頭に置いた曲だったのでしょうが、強いて因数分解すれば『アメージング・グレース』+『赤い風車(Moulin Rouge)』+『真昼の決闘(High Noon)』なんて気もします。
日本では「スイートハート・トリー」「スウィートハート・トゥリー」「スイートハート・ツリー」などと表記にゆれがありますが、私は「スウィートハート・トゥリー」と書くのがいいだろうと思ってます。
ナタリー・ウッドがギターを爪弾いてこれを歌うシーンがあるんですけど、もしかしたら『ティファニーで朝食を』(パラマウント・1961年)でヘップバーンが「ムーン・リバー」を歌ったことを踏まえてのシーンだったのかもしれません。
きょう夕方、大丸ピーコック青山店の店内BGMでこの曲をやってまして、改めていい曲だなぁと実感した次第。
だいたいあそこは1960年代後半から70年代前半に流行った映画音楽をかけてることが多いんですよ。ただしサントラでなくイージーリスニング盤。
当時私もそういうレコードよく買いました。だから曲名がすぐ出てくるんです。
The Great Race(1965)Trailer
The Great Race – Intro
(1)
Natalue Wood – The Sweetheart Tree
from tne movie “The Great Race”
恋に鈍感な男が、あれ?と気づく瞬間。ちらと一瞬目線をおくる女。
うまい演出だねぇ。
いきなり I LOVE YOU と言わない奥ゆかしさが
20世紀初頭のアメリカ人には、まだあったということか。
(2)
Henry Mancini His Orchestra And Chorus – The Sweetheart Tree(Choral)(1965/07)
<参考>
Margaret Whiting – A Tree In The Meadow(1948)
orchestra conducted by Frank DeVol
タイトルは「草原に立つ1本の木」の意。
<参考>
Monica Lewis and Ames Brothers – A Tree In The Meadow(1948)
accompanied by the Mary Osborne Trio
Billboard Pop Chart Peaks: 21 (radio play), 22 (sales), 28 (juke box)
We hear a very early recording to feature the warm solo voice of Ed Ames on this popular ballad. The leading version by Margaret Whiting spent five weeks atop the Billboard charts.
The Lennon Sisters – Sweetheart Tree
Lawrence Welk Show
Henry Mancini – The Sweetheart Tree(Lawrence Welk Show)
ローレンス・ウェルク・ショーに出演したマンシーニが自動演奏のピアノを足で動かしてるの図。
Johnny Mathis – The Sweetheart Tree
from the album “The Sweetheart Tree”(1965)
Tommy Leonetti – The Sweetheart Tree(1966/04)
シングル “I’m Taking You With Me” のB面。
from the album “Trombones, Guitars And Me”(1966)
Barbara McNair – The Sweetheart Tree
from the album “Here I Am”(1966)
Bobby Darin – The Sweetheart Tree
from the album “The Shadow Of Your Smile”(1966)
Rowena(鳴茜)- Sweetheart Tree(196x)
Four Tops – The Sweetheart Tree
from the album “Yesterday’s Dreams”(1968)
Patti Page, Henry Mancini – The Sweetheart Tree(TV live, 1972)
Glenn Yarbrough – The Sweetheart Tree
Guy Hovis and Ralna English – The Sweetheart Tree
WeeGee – The Sweetheart Tree
PAT – The Sweet Heart Tree
The Easternaires – The Sweetheart Tree
Mark Hanson – The Sweetheart Tree
from the album “Henry Mancini: Pink Guitar Acoustic Guitar Solos”(2014/10/21)
The Sweetheart Tree on my Aeolian with Pianoforce
Joseph Souza
2010/08/22 に公開
This Video is dedicated to Lisa Schultz, my good friend and one of the best piano players I know ..
QRS Roll 10-021
Played by Dick Watson
I hope you all enjoy it ..
<参考>
以下、同名異曲、またはタイトルに “Sweetheart Tree” が含まれている曲。
Jack Hylton – Under The Sweetheart Tree
NAZARETH – Sweetheart Tree
James Canwell – The Sweetheart Tree
むかし、トラックのテレビCMで、♪ひっとりでたーびにでたいなー…と、ともさかりえがフォーク調の歌をうたってましたが、あの歌で “The Sweetheart Tree” を連想させる部分がありました。まったくパクリでもなんでもないんですけど、近い音を並べると同じような情趣が感じられる、ということでしょう。
雰囲気の似ているマンシーニ曲では、よりいじり易い、日本未公開作品 “Dear Heart”(1964年、監督:デルバート・マン)の主題歌『ディア・ハート』のほうが、ボーカリストやジャズ方面に取り上げられることが多いみたいです。
イタリア系アメリカ人であるマンシーニの作品で最もイタリア人っぽいのは『ひまわり』でしょうかね。
追加記事
Sergio Franchi And The Kessler Twins “The Shadow Of Your Smile” on The Ed Sullivan Show
The Ed Sullivan Show
2025/06/21
October 16, 1966.
(2025年6月21日)

ワーナーのレコードレーベル、たしかシナトラが設立したんでしたっけリプリーズ。そこらへんで御意見番として活躍していたのがバン・ダイク・パークス。このノスタルジックなサウンドを聞くと彼も一枚かんでるんじゃないかと余計なことを想像しちゃいました。
こりゃいい曲ですね気に入りました。
ついさっきエレベーターの中で杖をついた老人から「若い人は元気でうらやましい」といきなり声を掛けられました。
若いって・・・バン・ダイク・パークス同様、すっかりおつむの毛も薄くなったこのオッサンを若いとは!
オッサンになってはや幾春秋、若いなんていわれたのは20数年ぶりですよ。
聞かれもしないのにその老人は「大正生まれなんです」とおっしゃる。見ればそれほど老いさらばえてもいないので、
「いやぁお元気そうじゃないですか。背筋もシャンとなさってて。先達はあらまほしけれです」
などと口から出まかせ、ワケのわからんことをぶつぶつ呟いて、早々にエレベーターを降りました。
大正生まれといってもおそらく終わりころなんでしょうから1924、5、6年あたりと観ましたが、映画『グレートレース』で描かれた時代も20世紀初頭、フォードT型が1907年発売だそうですから、ルノーやフォードが自動車競走するとなると1910年代中期以降と思われます。
てことは先のご老人の生まれたころとそうは違わない。
「スウィートハート・トゥリー」から私が感じる、そうした時代への漠然とした(そして根拠のない)郷愁も、その老人なら実人生における懐旧とただちに結びつくものだろうと、まぁそういうことを感じたわけですが、
今の若者たちはいつの時代にノスタルジーを感じるのか? 90年代か? はたまた生まれる前の80年代か? あの時代のがちゃがちゃと賑やかな音楽は果たして彼らをしてそのような思いにかりたてる“功徳”があるのか?
そういうこともなんとなく気になりました。