
訃報:日吉ミミさん64歳=歌手
1970年に「男と女のお話」がヒットした歌手の日吉ミミ(ひよし・みみ、本名・黒岩和子=くろいわ・かずこ)さんが10日午前5時半、膵臓(すいぞう)がんのため東京都内の病院で死去した。64歳。葬儀は親族のみで済ませた。喪主は夫慶三(けいぞう)さん。
埼玉県出身。67年に池和子としてデビュー後、69年に日吉ミミに改名。70年に「男と女の数え唄」などで人気が出て、同年のNHK紅白歌合戦に初出場した。TBSドラマ「ムー一族」の劇中歌「世迷い言」なども話題を呼んだ。09年にがんが見つかり、闘病を続けていた。http://mainichi.jp/select/person/news/20110812k0000m040076000c.html
(左)『男と女のお話』作詞:久仁京介、作曲:水島正和、編曲:近藤進、歌:日吉ミミ 発売:ビクター、1970年5月。
きょう(8月11日)、突然の訃報に接し、ただただ驚いてます。
『男と女のお話』のヒットはリアルタイムで見てまして、「現代」の空気、気分をよく写し取っている、里程標的な作品だなぁと、そのころ感じておりました。
1994年10月4日に放送された『昭和歌謡大全集 第八弾 第二夜』というテレビ番組でご本人が話してましたが、『男と女のお話』は元々B面曲で、評判がいいためA面にするにあたって録音しなおしたのだそうです。そして、あの独特の歌い方は、浅川マキ『夜が明けたら』に影響されたんだとか。
浅川マキ – 夜が明けたら(1969/06/01 Single version)
作詞曲:浅川マキ、編曲:山木幸三郎
日吉ミミ – 男と女のお話(1970/05/05)
作詞:久仁京介、作曲:水島正和、編曲:近藤 進
『男と女のお話』は、バーやスナックで交わされる男女の会話の断片をふくらませたような内容ですが、世の中も人の心も変わりつつあるという認識が、まず冒頭で語られる。ここが重要でして、どう変わっているのかが詞で明示されない代わりに、メロディー・アレンジ・ボーカルによって、真摯な情熱が冷めてしまったような、ソフィスティケイトされた一種の達観ムードが、くどいくらいに表現されている。
それは『雨の中の二人/長崎は今日も雨だった』の項でも述べた69年後半~70年前半の燃え尽き感で、私自身も子供心に感じていたものでした。
後にいうバーンアウト(燃え尽き)症候群とはちょっと違いまして、社会全体の価値感が変わっていったというんでしょうかねぇ、五輪も万博もやり遂げて経済大国にもなり、滅私奉公のモーレツ社員にもミーイズムが芽生えた、そんな時代です。小狡くなったというか、利己心が強まったというか、特に都市生活者にそうした傾向が顕著になった感じでした。
日吉ミミのあの声、あの歌い方は当時ずいぶんと話題になったもんです。そしてそれが受け入れられた事自体が、あの時代の「変わりよう」を物語っておりましたね。
良くも悪くもあの強烈な歌声が日吉ミミのイメージを決定づけてしまい、のちのヒット『世迷い言』もその延長線上に企図されたものでした。
日吉ミミ – 世迷い言(1978/10)
作詞:阿久 悠、作曲:中島みゆき、編曲:あかのたちお
