がん患者介護日誌(1)

私の父は大正6年生れということになっている。ただ戦後のどさくさで戸籍の生年を数年遅らせたと本人が言っていたので、それが事実ならば本当の生れ年は大正の初めということになる。この件についてはついに事実を聞き出せなかった。
2005年8月に父は死亡した。
私は父とはうまくいっていなかったが、胃がんの発見以降から死亡までの1年3か月、ずっと介護を続け、葬儀の手配までを行った。
その間、事実上の介護離職状態なり、経済的には困窮した。
以下の記事はその間のメモである。
 

【2004年】

5月10日(月)
突然、父から電話。
渋谷アスターにて面談。「明日から人間ドックに入る」

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5月12日(水)
昼過ぎ、電話入る。「胃を切除する手術を受けるため明日、入院する。“がん”だろう」
夜、再び電話。「明日、朝7時に来てくれ」

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5月13日(木)入院当日

朝7時、市ヶ谷にある父の部屋へ。

9時、りそなで新口座を作り、マンション管理費自動振込みの申し込み(5年有効)。
毎月29日。(月をまたがず前の営業日)

9時40分、駅前のみずほ3Fへ。一部の定期を解約し、普通預金へ移す。担当者:C(女性)。

10時10分、K病院へ到着。
410号室の1番ベッドへ。
飲み薬をすべて持って来てほしいとのこと。
主治医S・F先生(女医)より、検査結果が明日の6~7時ごろ判明するので、来るようにとの話。
告知に関して、私から「事実のとおり本人に伝えてほしい」と申し出る。

市ヶ谷の部屋の戻り、洗濯物を置く。

東京駅大丸6階で、半袖前綴じパジャマ(Mサイズ)を2種購入。
希望のSサイズはデザイン的に悪く、在庫がほとんどないとのこと。
市ヶ谷の部屋に置く。

パジャマ11000
パジャマ10000
税    1050
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払   22050

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5月14日(金)
午前中、ライフで鏡997円を購入。

昼12時過ぎに市ヶ谷へ。
洗濯をし、午後2時45分、出る。

午後3時過ぎ、K病院へ到着。
テレビカード3枚3000円分を購入。

夕方、医師から本人に胃がん告知。
胃の下半分を切除する手術を了承する。
点滴はフェイクだった。
心臓が心配ということで、過去の心電図を渡すことに。

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5月15日(土)
午前10時、K病院へ到着。タクシーで往復。
午後1時ごろ、市ヶ谷駅前にてサンドイッチ。
午後5時、K病院へ戻る。

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5月16日(日)
渋谷にて、買い物。

東急ハンズにて
セラミック・ペン・カッター262円
マグネット輪ゴム掛け313円
「シーケッティ」(紐の代わり)210円
計587円

ロフトにて
コンパクトカッター210円
湯のみ577円
計787円

ドンキホーテにて
卓上鏡105円

この日の買い物合計1479円

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5月17日(月)

昼12時過ぎに市ヶ谷へ。
洗濯をし、午後2時45分、出る。

午後3時過ぎ、K病院へ到着。

洗濯物を受け取り市ヶ谷へ。
手帳が胸ポケットに入っていると電話。
洗濯したパジャマと手帳を持って再びK病院へ。

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5月19日(水)

午後2時、K病院へ到着。
小型のTVを部屋から持って来るように依頼される。
みずほ銀行にて200万円を下ろす。

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5月21日(金)

午後1時、市ヶ谷へ。
洗濯をし、午後3時、K病院へ到着。
売店で水(ボトル)2本、りんごジュース1本を買う。
帰途、水道橋駅で電話受ける。病院の請求書を受け取ったとのこと。
夕刻、ニュードラッグ四谷3丁目店でアイスノンを買う。
924円。

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5月23日(日)

午後1時、市ヶ谷へ。
洗濯をし、午後2時、K病院へ到着。

午後3時、市ヶ谷で洗濯。乾燥機をかけたまま出る。

夕刻、中目黒の東急ストア入り口前で、「くまちゃんのふた開け」399円を買う。

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5月24日(月)

午前1時45分、父がK病院から電話。「ヘアクリームと輪ゴムを持ってきてほしい」との事。

コンビニで「月刊ザテレビジョン」330円を買う。

午後1時、市ヶ谷へ。
乾燥機から乾いた洗濯物を出す。
ヘアクリームと輪ゴムと裁縫箱を持って、
午後2時、K病院へ到着。

入院費8480円を支払う。(5月13日~5月16日の3日分)

水とジュース計270円を購入。

有楽町チャンスセンター1番窓口で、バラ30枚、連番30枚、組違いを買ってきてくれと言われる。
市ヶ谷マンションの台所棚から紙ナプキンを持ってくるように頼まれる。

午後3時、市ヶ谷で洗濯、乾燥。

夕刻、有楽町チャンスセンター1番窓口で宝くじ購入。
計18000円。

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5月26日(水)

午後1時、市ヶ谷へ。

午後2時、K病院へ到着。
宝くじは仏壇の引き出しに入れてくれとのこと。
売店にて水と麦茶240円。
自動販売機にてジュース3つ計300円。

午後3時、市ヶ谷で洗濯、乾燥。

市ヶ谷から持参した紙ナプキンが違うと夕刻に電話。

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5月27日(木)
電話あり。
「外科病とへの引越しが2日、手術が9日」とのこと。

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5月28日(金)

午後1時、市ヶ谷へ。
午後2時15分、K病院へ到着。
紙ナプキンを渡す。

 1000円札4枚
  100円玉4枚
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   計4400円
   を渡す。

午後3時、市ヶ谷で洗濯、乾燥。

午後5時18分、電話入る。
「病院ベッド脇の引き出しに現金があったので、渡すとのこと」

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5月29日(土)

ダイエー碑文谷店で、単四20本1764円を購入。

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5月30日(日)

午後1時、市ヶ谷へ。
午後2時15分、K病院へ到着。

内科担当女医にあげるため、市ヶ谷から桐の箱に入った財布を持ってくるように依頼される。
午後3時半、市ヶ谷で洗濯、乾燥。

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5月31日(月)

電話入る。
外科病棟への引越しの時間が午前10時30分に決まったとのこと。

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病室は大部屋。エアコンはなく、扇風機もないので、ベッドを囲うカーテンを閉めるとかなり暑い。
暑がりの父にはそれがストレスだったようだ。
汗がひどく、同じパジャマは2日と着なかったので、こちらは洗濯と乾燥に追われた。
そのほか、あれ買ってこい、これ買ってこいと、なにかと注文の多い患者だった。
一番困ったのは電池で動く卓上扇風機である。病院のコンセントは使えない決まりなので電池でなければならない。これがなかなか見つからなかった。
微香性のオーデコロンを使おうとするので、さすがにそれだけはやめさせた。なにしろカーテン一枚隔ててとなりにも患者がいる。
「臭いよりいい香りのほうがいいだろう」などと言う。いつも独りよがりで、他人の気持ちを慮れない人だった。
ある日、となりの患者から苦情が来た。イヤホンで聴いているラジオの音がうるさいという。よっぽどボリュームを上げていたのか、ふつうなら聞こえないはずのイヤホンから音が漏れていた。
数年前から補聴器を使っていたが、イヤホンと補聴器は当然同時には使えないので、そういうことになったのだろう。

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