月や太陽の引力が地震のトリガーになるというのはどうやら本当らしい

GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS, VOL. 33, L19302, 5 PP., 2006
doi:10.1029/2006GL027074

Tidal synchronicity of the 26 December 2004 Sumatran earthquake and its aftershocks

R. G. M. Crockett
School of Applied Sciences, University of Northampton, Northampton, UK
G. K. Gillmore
School of Earth Sciences and Geography, Kingston University, Kingston upon Thames, UK
P. S. Phillips
School of Applied Sciences, University of Northampton, Northampton, UK
D. D. Gilbertson
School of Geography, University of Plymouth, Plymouth, UK

The frequency of earthquake incidence along the Andaman/Sunda/Java Trench plate-boundary region has been investigated for the ten-lunar-month period 28 October 2004–19 August 2005, encompassing the 26 December 2004 earthquake. During this period variations in earthquake activity correlate with the tidal-force cycles: maxima in earthquake activity occur around the times of new and full moons, typically lagging by 0–3 days. This relationship is consistent with earthquake inducement via ocean tidal loading. Also, during this period the earthquake incidence associated with new and full moons at the western end of the region was (a) 38% and (b) 86% higher than the period averages for the full and declustered major-earthquake catalogs respectively.
http://www.agu.org/pubs/crossref/2006/2006GL027074.shtml

月や太陽の引力が地震の引き金に:防災科学技術研究所
 (独)防災科学技術研究所は1月28日、スマトラ島沖の巨大地震の前後に周辺地域で発生した地震を調査し、月や太陽の引力が、これらの地震の発生に強く関わっている可能性が高いことを明らかにしたと発表した。
 2004年12月26日に、インドネシアでスマトラ島沖地震(マグニチュード9・0)が発生、大きな津波被害をもたらしたが、研究グループはその後、この巨大地震の前後に周辺地域で発生した地震と潮汐の関係を調査した。
 月や太陽の引力は、海水に働き、潮の干満を生じさせる。同じように月や太陽の引力は、地球自身にも働き、地球を1日に2回大きく変形させる。この現象は、地球潮汐と呼ばれ、変形した地球の内部には数十~数百ヘクトパスカル(パスカルは圧力の単位。1ヘクトパスカルは1ミリバール)の力が加わる。
 調査では、地球潮汐と地震発生時刻の相関関係の強弱を表わす指標の時間的推移を見ると、1976年以降地球潮汐の影響はなかったが、1995年頃から相関関係が次第に強く現れ、スマトラ島沖地震の直前には顕著に存在していたことが分かった。 
 この相関関係は、スマトラ島沖地震の発生を境に消滅していった。また、地震は、地球潮汐による力が最大となる時刻の前後に集中していたことも明らかになった。
 スマトラ島沖で発生した他の2つの巨大地震(マグニチュード8・6および8・5)でも同様の傾向が確認された。
 地球潮汐による力は、地震を引き起こす地殻の歪の1,000分の1程度にすぎない。今回の調査結果は、地殻の歪が十分にたまった地震発生直前に限り、地球潮汐による微小な力が地震発生の「最後のひと押し」として作用することを示している。
 地震のメカニズムを解明する有効な手がかりになると共に、巨大地震の長期的予測にも役立つ可能性が期待される。
 この研究成果は、2009年12月15日に米国地球物理学連合(AUG)の「Geophysical Research Letters」のオンラインに掲載された。

<月や太陽の引力が地震の引き金に:防災科学技術研究所:トピックス:つくばサイエンスニュース>
http://www.tsukuba-sci.com/index.php?mode=kijiid&id=2025

Is earthquake activity related to the Moon or Sun?

This has been a subject of great debate for many years.
Most evidence suggests that earthquakes are caused by stress changes resulting from deformation due to motion of the Earth’s lithospheric plates.
However, the gravitational pull of the moon and sun does also induce elastic deformation of the solid Earth similar to ocean tides. This type of deformation is reversible. Once the forces are no longer applied, the object returns to its original shape. These ‘Earth tides’ have both diurnal (12-hour) and fortnightly (14-day) periods.
Additionally, ocean tides load and unload the Earth’s crust as sea level changes. Expected stresses resulting from Earth tides (~4 kPa) are rather less than from tectonic plate motions.
The idea that Earth tides may influence earthquake activity has been around for over 100 years, but despite this a link between increases in earthquake activity and tidal maxima has not been clearly demonstrated.
http://www.bgs.ac.uk/research/earthquakes/earthquakeSunMoon.html

2004/10/22
朝日新聞夕刊
海溝型地震 月が引き金
断層のずれ促す
月と地球の間に働く引力が、ある種のプレート(岩板)境界型(海溝型)地震の引き金になっている可能性が高いことが、米カリフォルニア大と防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の研究で分かった。地殻のひずみがたまり地震が起きそうな状態で、引力が「最後のひと押し」になるらしい。22日付の米科学誌サイエンスに発表した。
月の引力は海水に働いて潮の干満を起こすが、地球そのものも変形させる。変形は1日2回、地表面が20cm上下する程度だが、地震を起こす地殻のひずみに影響し、地震発生にも関係しているのでは、という考えが年ほど前からあった。
防災科研の田中佐千子特別研究員らは、77~00年に全世界で起きたマグニチュード5・5以上のプレート境界型地震のらち、「逆断層型」と呼ばれる地震2207個の発生場所・時刻などの記録と、そのときの月の引力の効果の関係を調べた。
その結果、月の引力の効果が断層のずれを促す向きのときは、逆のときに比べ、地震が多く発生していることを統計的に確かめた。田中さんは「月の引力の効果は地殻のひずみの力千分の1ほどだが、地震発生の最後のひと押しになるらしい」と話している。

このニュースは、その前日の10月22日に新聞に載ったものである。それで何事もなく済めば、単なる学説の紹介ということになるのだが、その翌日、ということは、私が上記のコラムを書いたその日のうちに、ご存じのように、新潟中越地方で大地震が起きてしまった。
私はさっそく当日の新潟地方の干潮満潮時刻を調べてみた。すると、2度目の干潮時刻が17:56で、最初の震度6強の地震が起きた時刻とぴったり重なった。
これは偶然の一致だろうか?

<H16.12.22 月の引力と地震の関係 新潟中越地震は、偶然の一致か? それとも? | 知の関節技 より一部引用>
http://homepage3.nifty.com/tak-shonai/intelvt/intelvt_044.htm

プレス発表資料
平成22年1月28日
独立行政法人 防災科学技術研究所
月や太陽の引力が地震の引き金に
月や太陽の引力は海水に働き、潮の干満を生じさせます。同じように、これらの力は地球自身にも働き、地球を1日2回大きく変形させます。この現象は地球潮汐と呼ばれ、変形した地球の内部には数十~数百ヘクトパスカルの力が加わります。
2004年12月26日、甚大な津波被害をもたらしたスマトラ島沖地震(マグニチュード9・0)が発生しました。我々は、この巨大地震の前後に周辺地域で発生した地震と地球潮汐の関係を調査しました。その結果、地球潮汐による力が最大となる時刻前後に地震が集中していたことが明らかになりました(図1)。この相関関係は1995年ごろから次第に強く現れ、スマトラ沖地震の発生を境に消滅します(図2)。スマトラ島沖で発生した他の2つの巨大地震(マグニチュード8・6および8・5)でも同様の傾向が確認できました。地球潮汐による力は地震を引き起こす地殻のひずみの千分の一程度にすぎません。今回の結果は、地殻のひずみが十分にたまった巨大地震発生直前に限り、地球潮汐による微小な力が地震発生の「最後の一押し」として作用することを示しています。将来、巨大地震の長期的予測にも役立つ可能性が期待されます。
(以下略)
http://www.bosai.go.jp/press/pdf/20100128_01.pdf

2012/12/18
月・太陽の引力、震災に影響か 「最後に誘発」の可能性
 【杉本崇】月や太陽による引力が東日本大震災発生の「引き金」になっていた可能性が高いことを、防災科学技術研究所の田中佐千子研究員が明らかにした。東北沖で36年間に発生した地震について引力との関係を調べたところ、2011年の震災が近くなるにつれ、引力の影響が強いときに地震が集中していることがわかった。
http://www.asahi.com/science/update/1218/TKY201212170924.html

してみると、惑星直列とやらもまんざらじゃないということになります。

追加記事

2015/04/04
 月の満ち欠けのなかで、新月と満月の両時期、太陽と地球と月の位置は直線に近い状態になる。直線に近いほど、太陽と月の引力は地球に強く作用する。新月と満月の時期、海水が「大潮」を迎えるのはこの強力になった太陽と月の引力によるものだ。
 皆既月食の期間は、太陽と地球と月の位置関係が一直線になるため、ふだんの新月、満月のときよりも引力は強まる。
 「実は海水だけでなく、地球のなかのプレートもこの引力の影響を受けている。地球全体が引っ張られているため、体感することはないが、1日に20~30センチ、プレートそのものが引力によって上下している。プレートとプレートの間で地震が起こりそうになっているときには、その引き金を引く要因になりえる」(島村氏)
 皆既月食は、地震を引き起こすきっかけになる可能性があるわけだ。
 実は、東日本大震災が発生する約3カ月前の10年12月21日にも観測され、震災から約3カ月後の11年6月16日、半年後の12月10日にも起きていた。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150404/dms1504041526013-n1.htm

今、午後8時41分。地震は起きていない。
(2015年4月4日)

追加記事

2016/11/22
 潮の満ち引き(潮汐(ちょうせき))を起こす月の引力は、地震との関係が指摘されている。地球が引っ張られて地殻が伸び縮みし、この力が大きいときは断層が動きやすくなって地震が起きる可能性があるためだ。
 東大の井出哲教授は9月、満潮時は大地震が起きる可能性が高まるとする論文を発表。世界で過去20年間に起きた1万以上の大地震を調べた結果、マグニチュード(M)8.2を超える巨大地震では、12例のうち9例が潮汐の力が大きいときに起きていた。
 ただ井出氏は「確率的には高いが、統計的に有意ではない。個々の地震での因果関係は不明で、今回の地震とスーパームーンの関係も分からない」と話す。
 国立天文台の片山真人暦計算室長は「スーパームーンのときは地球に働く月の引力は最大だが、それによって地震が起きるわけではない。22日は月と地球の距離が特別に近かったわけでもない」と指摘する。
 13日にはニュージーランドでM7.8の大地震が発生。東日本大震災の約半月前にも同国で大地震が起きており、憶測を呼んだようだ。気象庁は「潮汐の力は地震に影響するほど大きくはない。スーパームーンは今回の地震に影響していない」としている。
http://www.sankei.com/life/news/161122/lif1611220036-n1.html

(2016年11月22日)