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井上靖「氷壁」のモデル、登山家・石岡繁雄氏が死去

石岡繁雄氏(いしおか・しげお=元鈴鹿高専教授)15日午前9時7分、大動脈りゅう破裂で死去。88歳。
(中略)
登山家で、1955年1月、北アルプスで起きたナイロンザイル切断の遭難で弟を亡くし、当時、最も強固と言われたナイロンザイルが鋭利な岩角に弱いことを実証した。この遭難と真相解明は、ザイルの安全基準制定のきっかけとなり、井上靖さんの小説「氷壁」のモデルにもなった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060816i303.htm

増村保造監督の『氷壁』(1958)は、最初に見た井上靖原作の映画だったため、特に印象深い。
山を舞台にしたシャシンでは
『妻は告白する』(1961)原作:円山雅也、監督:増村保造
『黒い画集 ある遭難』(1961)監督:杉江敏男
『谷川岳の記録 遭難』(1958)監督:高村武次 記録映画
『北穂高絶唱』(1968)
あたりが、良くも悪くも記憶に残っている。
洋画ではやはり
イーストウッド主演の『アイガー・サンクション』(1975)
スタローン主演の『クリフハンガー』(1993)
トーマス・イアン・グリフィス、ナスターシャ・キンスキー主演の『ハードジャッカー』(1994)
冒頭リチャード・ハリスの「マッカーサー・パーク」に言及がある『バーティカル・リミット』(2000)
か。
“妻告”のサスペンスムードに近いのは『キリング・ミー・ソフトリー』(2001)だろう。
『クリムゾン・リバー』(2000)というスプラッター・サイコ・スリラーはアルプスの麓の村の話で、最後には雪崩があるんだよ、確か。

英語でいう cliffhanger climax は、主人公が崖っぷちで指先またはロープなどでかろうじてぶら下がっていて今にも落ちそうだという、手に汗握るハラハラドキドキの、絶体絶命のシーンのことで、ハリウッドの伝統的サスペンス手法として広く知られている。
必ずしも高山の崖っぷちでなくともよく、ビルであったり屋根の庇であったり、とにかく下になんにも無いような高い場所ならどこでも成立する。
悪漢が指をふんずけるという、より強力なパターンも今では常套的。
ヒッチコックの『めまい』では高所恐怖症というキャラクター設定が“怖さ倍増”のキモになっていた。
『ダイ・ハード』シリーズのジョン・マクレーン刑事も高いところが苦手。

落ちる怖さは本源的な恐怖であるから、スカイダイビングやバンジージャンプ、あるいは高低差のあるジェットコースター等のスリルを、エロス/タナトスの振幅で説明するのは理に適っている。
映画『タービュランス2』(2000)では飛行機恐怖症(Fear of flying)克服プログラムの受講者が主人公。あの場合はただ単に落ちるのが怖いというだけでなく、激突時の痛みに対する恐怖も含まれているんじゃないかと思う。
『フライングハイ』(1980)の主人公もそういう設定だった。

“Airplane!”(1980) Ethel Murman

A flashback of a hospital in the war in airplane where a patient is suffering severe shellshock and turns into Ethel Murman

うろ覚えの話で恐縮だが、ネイティブ・アメリカン(アメリカ・インディアン)のある部族の人々だけはなぜか高所作業で恐怖を感じないそうで、高層ビル建設現場で働いている人が多い、と聞いたことがある。もし本当なら、これについてはどういう説明がつくのか、ちょっと興味があるな。

追加記事

崖っぷちは人生だけでいい。
死ぬんならぜったい畳の上だ(笑)

崖っぷちといえば、これもそう。
わりと有名らしい。

(2014年9月11日)