日別アーカイブ: 2008/07/01 火曜日

東京キカンボ娘

シングル「東京キカンボ娘」木の実ナナ(左)『東京キカンボ娘』 作詞・作曲:菊村紀彦、歌:木の実ナナ。発売:1962年8月、キングレコード。

週刊文春連載の『阿川佐和子のこの人に会いたい』は、阿川と著名人の対談企画なのですが、6月26日号(連載第734回)のゲストは女優 木の実ナナでした(写真下)。
その中で、めったにないデビュー曲についての発言がありましたので、以下に謹んで一部引用させていただきます。

週刊文春2006年6月26日号

木の実 まあそんな感じ。でも、風紀委員だったし、不良からも一目置かれてたし、担任の先生にも校長先生にも信用されてました。それで、オーディションを受ける友だちのことを先生に相談したら、「お前がついていくんだったら許す」って(笑)。
阿川 そうしたら自分が受かっちゃったの?
木の実 そう。楽屋で変なおじさんに「あなたもちょっと歌ってごらん」って言われて、コニー・フランシスの『カラーに口紅』を歌ったら、私だけ受かって友達は入らなかった。変なおじさん、実は渡辺プロの制作部長でした(笑)。そのあとすぐ「木の実ナナ」という芸名と、『東京キカンポ娘』っていうデビュー曲争奪のオーディションに合格して「木の実ナナ」になった、というわけ。それに、日本テレビの『ホイホイ・ミュージック・スクール』の司会もすぐ決まったんですよ。
阿川 おー、トントン拍子。
木の実 でもデピュー曲、こんなんですよ。(低い声で)♪しっろいスポオツカーで、ハンサムポーイ、キッカンポキッカンポキッカンポッ! って(笑)。
阿川 アッハッハッハッハ。そんなドスのきいた声で歌ったんですか?
木の実 笑い事じゃないですよ。十六歳の女の子にこんなデビュー曲ないでしょう。それも、なぜか手錠持って歌うんです。
阿川 なんだそれ~(笑)。
木の実 でも吉行淳之介先生がそれを見て、「おかしなのが出てきたから一発でファンになったよ」って好いてくださった。何回か対談させていただいて、一緒にお食事したり飲んだりして、惚れちゃって惚れちゃって。エヘヘ。
阿川 吉行さん、惚れるわよねえ~。私、父の友達じゃなかったらちょっとおつき合いしてみたかったわあ。
木の実 アハハハ。とにかく、そのデピュー曲も含めて、まったくヒット曲が出なかった。でも、番組があったから、そこで世界中の歌を歌って踊ってたのね。その時ジャニー(喜多川)さんに「ナナが男だったらなあ、ジャニーズは五人になってた」って言われた。

<週刊文春2008年6月26日号『阿川佐和子のこの人に会いたい 第734回 女優 木の実ナナ』 141~142ページより引用>

木の実ナナ(写真撮影時15歳)
手錠を持って歌った、というのは初めて知りました。
手錠~警察という連想だけでなく、趣向を凝らした、練りに練った企画だったという点でも、のちのピンク・レディー『ペッパー警部』の、あの歴史的プロジェクトを彷彿とさせるものがあります。ただ、ご本人も認めてるようにこちらはヒットはしませんでした。
原因はおそらく、ニューリズム「キカンボ」のノリの悪さでしょう。文章ではちょっと言い表しにくいのですが、河内音頭の太鼓のリズムのような感じです。しかもかなりひょうきんな雰囲気。野心作というか実験作というかコミックソングというか、少なくとも「諾かん坊」の扱いにくいムードはよく伝わってまいります。
そして、シングル盤のジャケット(歌詞カード)に、ステップを示す足型も振付の挿絵も載っていないことから、このニューリズムがイコール「ニューダンス」、ではなかったのだろうと察せられるのです。
作者の意図は那辺にあったのか――ジャケット表4に作者本人の講釈が載っておりますので、こちらはこれまでアクセス不能だった歴史的資料として、あえてここに無断転載させていただきます。

キカンボ・リズムの誕生
            菊 村 紀 彦
 キューバは、砂糖でなく、新しいリズムをニッポンに輸入しました。マンボと呼ばれるそのリズムには、革命的な響きがありました。それまで、メロディーが、ボブ・ホープの鼻のようにそりかえっていたニッポンに、リズムのここちよさと、おどる楽しみを教えてくれたのです。このあと、チャチャチャ・ロカンボ・ロックンロール、その後ロカビリー・ドドンパ・スクスク・ツイストなどが、いろんな国からつぎつぎに上陸してきました。
 でも、ニッポンにだって立派なリズムがあります。わたしは子供の頃、八木節を聞いて、あのはちきれそうなリズムに昂奮しました。また、カッポレを聞き、あのコミックなリズムが、わたしのメランコリーを吹きとばしてくれました。
 まだあります。ニッポン中どこへ行っても聞くことが出来ますのは祭り太鼓です。重厚なのは皮の部分、軽快なのはヘリを叩く音です。これこそニッポンのリズムではないでしょうか。
 そこで、八木節の明るき、カッポレのコミック、祭り太鼓の強いビートをミックスじて創りましたのがキカンボです。MAMBO・ROCAMBOというように、終りのほうがMBOになる場合が多いので、シャレて、QUICAMBO(キカンボ)としました。
 タイトルの意味は、反抗期にある少年少女のキカンボゥ族のキカンボです。でも、いまのティーン・エイジャーの歌は、あちら製が多く、ヒットパレードのなかには、ボーイハントしたり、キスしたり、イカしたり、イカされたりする内容が歌われておりますので、わたしはレジスタンスをして、ボーイハントどころか、男性なんか、ゴキブリほどの関心も持たない女性、また、女性のバストやヒップを見るくらいなら小便小僧のほうがはるかに芸術だという男性を画きたかったのです。
 いっぽう、歌いかたにもレジスタンスを感じました。いまのポピュラー・ソングは、フアッション・ショウのように首飾り、フランス香水をただよわせるような型か、セクシイを売りものにして、しゃがれ声やためいきで官能に訴える型か、さもなければ、セーラー服に赤いリボンをなびかせる型が多いようです。
 むろん、それぞれに魅力がありますが、キカンボは、キノミキノママで歌えるリズムとメロディーです。
 ながい間、そういうタイプのひとを探しておりましたところ、舞踊家の竹部董さんの推薦で、ジャズ喫茶から発見しました。声といい、パンチといい、印象がぴったりでした。そこで『木の実ナナ』と名づけ、わたしのオリジナル『東京キカンボ娘』を歌ってもらうことになりました。
 15才、1メートル60センチの木の実ナナは、トランペットの名手をパパに持つ明るい少女です。娘が歌手になるといえば、たいてい、ママは賛成で、パパが反対するケースが多いのですが、彼女の場合もそうでした。でも、渡辺プロダクションのコンテストに第一位ということになれば、パパだって許さないわけにはゆきません。ただし、高校を卒業することが条件だそうです。
 木の実ナナの歌は、パンチがきいて、しかも低音魅惑の声を持っています。ロカビリーやツイストだけでなく、シャンソンでも、民謡でもこなせるひとです。竹部玲子バレー研究所に学ぴ、キカンボの振りつけを創った、竹部董氏にみっちりしこまれ、新しいタイプの歌手として、きっと人気が高まることでしょう。
 どうか、和製などとおっしゃらないでキカンボを、また、木の実ナナを可愛いがって下さい。もしも、ごいっしょに歌い、おどっていただくことが出来ましたなら、キカンボとキカンボ娘は、どんなに喜ぶことでしょう。
 片面の「かわいいキューピー」は現代のハイティーンのリズムであるロックを取り入れた軽快な曲です。木の実ナナの歌の恩師である森岡賢一郎が彼女のために書き下した新曲です。

B面の『かわいいキューピー』は池すすむ作詞、森岡賢一郎作編曲の“和製オールディーズ”。
むかしスタッフの要望でこの曲をヴィーナスというグループのラジオ番組で流したことがありました。ヴィーナスのリーダーの感想は「なんか童謡みたいだね」というもので、ヴィーナスがオールディーズで当てる前にやってた音楽からすると、確かにとてつもなく純朴で単純な楽曲、と云えるものでした。

主婦と生活社刊「下町のショーガール ― ナナの愛と喝采の日々」(1986年)1992年4月17日~6月26日、NHKの『金曜ドラマ』枠(毎週金曜20:15~20:45)で、木の実ナナが書いた『下町のショーガール ― ナナの愛と喝采の日々』(写真右=主婦と生活社・1986〔昭和61〕年12月初版)の前半を原作とした彼女の自伝ドラマ『六畳一間一家六人』(全11回)が放送されました。
ドラマは、昭和37年5月、木の実ナナの名でレコードデビューが決ったところで終わっています。つまり『東京キカンボ娘』をこれから吹込みしようという、その直前までです。
できれば今後続編を、それも芸能史に残る名舞台となった『ショーガール』シリーズの裏話あたりまでをぜひドラマ化していただきたいと思います。

追加記事

木の実ナナら所属の芸能事務所が破産準備、現AKBメンバーも昨年3月まで所属
帝国データバンク 2月3日(月)11時7分配信
 (株)アトリエ・ダンカン(TDB企業コード984439626、資本金1000万円、東京都渋谷区神宮前4-2-22、代表池田道彦氏)は、2月1日付で事業を停止し、事後処理を中原澄人弁護士(東京都港区南青山5-5-20、電話03-6418-1888)ほかに一任、自己破産申請の準備に入った。
 当社は、1979年(昭和54年)2月に設立された芸能事務所で、舞台制作を中心に芸能タレントのマネジメントを手がけていた。演劇プロデューサーである代表と女優・木の実ナナが設立した経緯を持ち、代表の人脈から所属タレントを確保。芸能マネジメント事業においては、主力タレントの木の実ナナや尾藤イサオなど30名程度のマネジメントを行うほか、現AKB48メンバーである片山陽加(チームB)と佐藤亜美菜(チームK)が昨年3月まで所属していた。舞台制作事業については、志村けん出演の『志村魂』や河村隆一出演の『Musical Songs Concert SUPER DUETS』など有名タレントを起用した舞台・ミュージカルの企画制作を手がけ、一定の収入を確保、2012年9月期には年収入高約7億円を計上していた。
 2012年10月には、主力タレントである木の実ナナがデビュー50周年を記念してアルバム『SHOW GIRLの時間旅行~my favorite songs』を発売。その後も精力的に舞台制作活動を行っていたが、赤字公演が続くなか、当社が企画・製作・プロデュースを手がけ、2014年2月12日から3月9日に東京グローブ座にて上演予定であった、ロックバンド・X JAPANのギタリストであるhide氏の楽曲によるROCKミュージカル『ピンク スパイダー2014』の公演中止を1月14日に発表するなど、動向が注目されていた。
負債は現在、調査中。
最終更新:2月3日(月)11時57分帝国データバンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140203-00010000-teikokudb-ind

舞台・イベントの独自プロデュースに力を入れてることが特色だったようです。
興行は水もの、お金がかかります。チケットが売れるまで先行投資は回収できません。
準備期間中にトラブルがあると、当然こういうことにもなってしまいます。

(2014年2月3日)

追加記事

 アトリエ・ダンカンは1979年に、代表取締役社長の池田道彦氏が渡辺プロダクションから独立して発足。木の実とともに主に舞台制作を行うかたわら、芸能人のマネジメントも行ってきた。昨年3月まで、AKB48の片山陽加(23)や佐藤亜美菜(23)=今年卒業予定=も所属していた。
 同社が手掛けた舞台は「SHOW GIRL」「ACT泉鏡花」「志村魂」など演劇ファンに愛され、先月も東京・下北沢で音楽劇「有頂天家族」を公演していた。
 演劇コラムニストの石井啓夫氏は「ミュージカル舞台は良質なエンターテインメント作品が多く、安心して楽しめた。1990年初演の『阿OKUNI国』は傑出した舞台で、今でも和製ミュージカル・ベスト3を挙げろといわれれば、その1つに選ぶ。木の実主演の『イカれた主婦』も面白かったのだが」と破綻報道に驚く。
 危機は先月14日に表面化。「2月に東京グローブ座で上演予定だったhide生誕50周年のROCKミュージカル『ピンク スパイダー2014』の公演が『やむを得ぬ事情』で中止となった。チケット販売状況が思わしくなかったようだ」と舞台関係者は話す。
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140204/enn1402041532025-n1.htm

スポンサー無しの自主公演で赤字が嵩んだらしい。
(2014年2月4日)

追加記事

2015/11/09
 女優の木の実ナナ(69)が、10月に左大腿(だいたい)骨骨折の重傷を負っていたことが9日、わかった。
 所属事務所によると、木の実は10月24日に沖縄で上演された舞台「南阿佐ヶ谷の母」終了後、ホテルでつまずいて転倒。左大腿骨を骨折した。東京に戻ってから手術を受け、現在は車いす生活を余儀なくされているという。
 同舞台は現在、東京・紀伊国屋ホールで上演中。3日から上演されており、木の実は車いすで出演。この日も劇場には張り紙で、木の実が負傷のため車いすでの出演となることが説明された。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151109-00000084-dal-ent

(2015年11月9日)

追加記事

(2024年9月3日)