日別アーカイブ: 2002/11/02 土曜日

003 ロカビリー剣法

 『ロカビリー剣法』
早くも美空ひばりの登場です。左がSP盤の袋。下右が発売当時のSP・EP兼用歌詞カード。下左がその後のシングル盤ジャケット。1958(昭和33)年6月発売で、B面はヒットした『花笠道中』、両面とも米山正夫作詞・作曲の東映映画『花笠若衆』主題歌です。
 実在した剣豪に混じって机龍之助が出てくるあたりは時代劇ファンのツボを心得た詩作で、新納鶴千代が「にが笑い」する例の『侍ニッポン』と連続してかけたいところですね。

 五月みどり『お座敷ロック』、雪村いづみ・山田真二『ロックン桜』、ジェームス・三木『初恋ロックン』、仲代達矢『銀座ロックン』、三村和子・万代陽子『ロカビリー三度笠』、弟・小野透の『ボロ船ロック』など、前後に出たあまたのブーム便乗ソングとは違い、本格的なロカビリーに仕上がってます。それもそのはず、バックバンドは堀威夫とスイングウエストで、彼らのみのバージョンもリリースされました。このあたりのセンスは後年『真赤な太陽』でブルコメを起用するところでも発揮されます。
 2ヶ月遅れてキングの三橋美智也が『ハートブレイク・ホテル』の日本的翻案『センチメンタル・トーキョー』でロックン調に挑戦しますが、そちらは『東京の花売娘』がブギウギ調だと云えば云えなくもないのと同じ程度の、仕上りでした。

 ブギに始まるひばりのリズム歌謡路線から考えればロカビリーの選択は当然だったのかもしれません。しかし実のところロカビリーは、映画『銀座のお姐ちゃん』で描かれているように、愚劣な不良の音楽として“バカビリー”などと揶揄される存在でしたから、営業的にはモチベーションが低かったのではないでしょうか。ひばり自身はこの楽曲をどう思っていたんでしょうね?

 日本コロムビアでは1962年までSPを発売していましたが、1958年は各社とも実質SP・EPの転換期で、新譜のほとんどが同時発売でした。SP最晩年ともいえるこの時期、ものすごくキッチュなコミックソングが多く出ていますが、それは稿を改めてご紹介しましょう。

(右)10インチLP『軽音楽 コロムビア・ヒット・メロディ』。1959年3月発売。
私の持っている堀威夫とスイングウエスト版はこのLPに入っているものです。ひばり版との違いはサックスを全面にフィーチャーし、ドラムのビートを強調しているところ、歌詞を歌うボーカルは無く、「面だっ」~「突きだっ」のみ掛け声が入っていること、同部分に手拍子が入っていること、ひばり版がロカビリー的であるのに対して、よりヘビーなロックンロールに仕上げていること、などが挙げられます。

(2002年11月2日)
(2009年11月2日改訂)

 

追加記事

 1996(平成8)年6月27日放送 TBS朝のワイドショー『モーニングEye』が、『お宝発見!美空ひばり 幻のレコード初公開』と題し、えとせとらレコード代表(当時)新井精太郎氏が開設している『レコード博物館』を取材していまして、同氏がSP盤の『ロカビリー剣法』を蓄音機でかけながら「ひばりさんは日本で最初にロックンロールを歌った人です」と語っているお姿が放送されました。

(2009年9月29日)

追加記事

(2021年11月11日)

 

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