「南方と北方はその気候の明暗の相違はあつても、それから受ける烈しさがおなじいのだといふ風に結論して居たやうである。ゲーテは陰鬱な故郷の気候を逃れ、太陽を求めて伊太利へ馬車を走らせてゐるが、彼の魂の奥底では、太陽は異郷の空にあるのではなく、いつも故郷の暗澹たる雪空の裏側に住なれてゐたのであらう。」(坂口安吾)(2)

 1989年の平成への改元にあたり、採用されなかった元号案「修文(しゅうぶん)」を政府に提出した目加田(めかだ)誠・九州大名誉教授(故人)が記したメモが見つかった。 (中略) 便箋や原稿用紙の計9枚。二重線で消すなど推敲 …