「何事にも走りを好む江戸ッ児の気性では、花咲かば告げんといいし使いの者を待つほどの悠長はなく、雪の降る中から亀戸の江東梅のとさわぎまわって蕾一つ綻びたのを見つけてきても、それで寒い怠(だる)いも言わず、鬼の首を取りもしたかのように独り北叟笑(ほくそえ)んで、探梅の清興を恣にする。もしそれ南枝の梢に短冊の昔を愛する振舞いに至っては、必ずしも歌句の拙きを嗤うを要せぬ、倶利迦羅紋紋の兄哥(あにい)にもこの風流あるは寧ろ頼もしからずとせんや。」(柴田流星) 友人と旅をしている。 長距離列車がターミナル駅へ着き、大阪の環状線へ乗り換え。 電車に乗ったまではよかったが、友人の姿が見えない。 どうやら はぐれてしまったようだ。 中を先頭車両へ向かって歩いてみたが、やはり乗っていな … “「何事にも走りを好む江戸ッ児の気性では、花咲かば告げんといいし使いの者を待つほどの悠長はなく、雪の降る中から亀戸の江東梅のとさわぎまわって蕾一つ綻びたのを見つけてきても、それで寒い怠(だる)いも言わず、鬼の首を取りもしたかのように独り北叟笑(ほくそえ)んで、探梅の清興を恣にする。もしそれ南枝の梢に短冊の昔を愛する振舞いに至っては、必ずしも歌句の拙きを嗤うを要せぬ、倶利迦羅紋紋の兄哥(あにい)にもこの風流あるは寧ろ頼もしからずとせんや。」(柴田流星)” の続きを読む