「十一月の下旬の晴れた日に、所用あって神田の三崎町まで出かけた。(中略)市内も開ける、郊外も開ける。その変化に今更おどろくのは甚だ迂濶(うかつ)であるが、わたしは今、三崎町三丁目の混雑の巷(ちまた)に立って、自動車やトラックに脅かされてうろうろしながら、周囲の情景のあまりに変化したのに驚かされずにはいられなかった。いわゆる隔世の感というのは、全くこの時の心持であった。」(岡本綺堂)

木造和風の大きな高級旅館。 ピカピカの廊下を挟んで左右に客室が並んでいる。 一番奥の右側の部屋へ入ったおれ。十畳ぐらいあろうか、思いのほか広い部屋だ。 右を見ると襖があるので開けて入ってみたら、今いた部屋とほぼ同じ造り。 …