L’Arlesienne Suite No. 2: Farandole, La Guerre des Boutons

歌劇『カルメン』で有名なジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet)は短命な人でした。享年三十七。
『カルメン』以外では『真珠採り』『スペインのセレナーデ』『子供の遊び』『交響曲第1番ハ長調』などが知られていますが、印象的な旋律でクラシック・ファン以外にも親しまれている『アルルの女(L’Arlésienne)』を挙げる人も多いでしょう。
この作品はアルフォンス・ドーデの短編集『風車小屋だより』の同名の章(文庫本でわずか7ページ)をドーデ自身が劇化した際、ビゼーが依頼されて作った音楽でして、
そこからビゼー自身が選んだ4曲が『アルルの女 第1組曲』、ビゼーの死後、友人であったエルネスト・ギローが編んだ組曲が『アルルの女 第2組曲』ということになります。
第2組曲についてはビゼーとギローの共作というほうが正確かもしれませんね。

  (右上)新潮文庫版『風車小屋便り』村上菊一郎訳(1975年第33刷)

その第2組曲の中でも『メヌエット(Menuett)』と『ファランドール(Farandole)』は独特なムードがあり、いろいろな映画で使われてます。

ファランドールとはプロバンス地方で盛んだった速いテンポの軽快な踊りでして、大勢で楽しめる気楽なものです。『アルルの女』の『ファランドール』冒頭の重々しいテーマ自体はファランドールではなく、踊りの前の村人たちの合唱に相当する部分(第1組曲の前奏曲で出てきたプロヴァンス民謡「3人の王の行進」)なので、あそこの部分、旋律をファランドールの音楽と勘ちがいしてはいけません。といってもこのテーマは頻繁に出てきますので、まぁごっちゃになってはいますが。

『3人の王の行進』は今にちでは教会で聖歌隊が特にクリスマスに歌ったりする種類の歌でして、いわば平和の歌です。その音楽を使った『アルルの女』も戦争の話じゃない。
でも私は『ファランドール』を戦争の音楽の一つとして紹介したいんです。ただし本物の戦争ではなく戦争映画の戦争なんですけどね。
『ファランドール』を使った映画で一番知られているのはフランス映画『まぼろしの市街戦(The King of Hearts)』でしょう。これは第一次世界大戦下のフランス北部の小さな村を舞台としたもので、ユーモアと寓意に充ちた名作でした。見てない人に悪いんで内容はいいませんけど、生きてるうちに1回は見といたほうがいいシャシンです。

Le Roi De Coeur “The King Of Hearts”(1966)

  ※(追記:この動画は削除されました

 

Noel de la marche des rois (プロヴァンスの民謡「3人の王の行列」)

Bizet – L’Arlesienne Suite No. 2: Farandole (アルルの女第2組曲 ファランドール)

L’Arlesienne Suite No.1: I. Prelude (アルルの女第1組曲 前奏曲)

Les Brown and his Orchestra – Bizet Has His Day(1941)
2度目の引用。

 

戦争のむなしさを描いたフランス映画では、同じく第一次大戦を扱っている『大いなる幻影(La Grande Illusion)』、これは名作中の名作ですね。
音楽で有名な戦争映画となりますと、これはたくさんありすぎて困るのですが、『まぼろしの市街戦』のほかにフランス映画でもう一つ挙げるとすれば、私は意外なところで1962年の『わんぱく戦争』を推薦したい。
これは大人の戦争ではなく、子ども同士のけんかの話です。しかも暴力は振るわない。原題『La Guerre des Boutons』のとおり、その当時は高価だった洋服のボタンを「戦利品」として奪い合う、子どもたちの無邪気でほほえましい、稚気満々の“戦争”を描いています。(原作は1911年に発表されたルイ・ペルゴーの小説『ボタン戦争』)
作品もよかったけれど、テーマ曲がまたいいんです。すぐに思いつかなくとも、聞けば「ああ、知ってる」と多くの人がおっしゃるはずです。

(左上)日本発売シングル盤 「わんぱく戦争」サウンドトラックより 『わんぱく戦争のマーチ』ホせ・ベルマン楽団 c/w 『森のプロムナード』ルネ・ピェール・シュトゥ楽団 ビクター

ちなみに、1963年暮に公開された東映の長編アニメ『わんわん忠臣蔵』ではこのテーマ曲にソックリな音楽が使われてます。
  音楽:渡辺浦人
  主題歌:『わんわん行進曲(マーチ)』
  作詞:佐伯孝夫、作曲:中村八大、歌:デューク・エイセス

また1996年8月にオンエアされたテレビCM『サントリー モルツ大試飲会編』(出演:山本浩二)でも、『わんぱく戦争のマーチ』(CM用新録)が使用されていました。

La Guerre des boutons(1962)remorque

La guerre des boutons (あとから歌詞をつけたもの)

 

追加記事

2010年5月15日、『エスカップ』のCM(前向キング オフィス篇)で『アルルの女』が使われているのをテレビで見ました。

(2010年5月15日)

追加記事

2010年9月20日、『NTTdocomoスマートフォン スマートプライスキャンペーン』のCM(渡辺謙ダース・ベイダー会談篇)で『アルルの女』が使われているのをテレビで見ました。

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