005 これが青春だ

 (左)『これが青春だ』 作詞:岩谷時子、作曲・編曲:いずみたく、歌:布施明、発売:1967(昭和42)年、キング。
 私はいかなる人間か。他人(ひと)は一部分の印象や半面の識で判断するでしょうが、当然それが全てではない。私がどういう奴か、マァ興味のある人もいないでしょうけど、もしも知りたきゃ簡単なことです。この歌を聴けばいい。
 私はこの歌のように生きてきたのであり、今後変更することはなく、したがって有難いお経や高邁な哲学などは、まったく必要ないのです。“私を作った歌”といえば、すなわち一も二もなく『これが青春だ』なのです。この歌一つがあれば私は生きていけるのであり、また死にもできるのです。……と言ってもそれほどご大層な人生だったわけじゃありませんけどねー。

 TV版『これが青春だ』の主題歌であるこの盤(さら)のB面はTV版『青春とはなんだ』でも使われた応援歌『貴様と俺』。クラスの女子に歌ってもらうとガゼンやる気が出るんですよね。
 『これが青春だ』に続けてもう一曲かけるとしたら、キャロル・キングの『君の友だち』(You’ve Got A Friend)でしょう。私の二大友情ソングです(笑)。

 さて、時系列的なことも書いておきましょうか。
 右の石原慎太郎著『青春とはなんだ』単行本は1965年2月16日に講談社から出版されたものです。『坊ちゃん』や『青い山脈』の流れをくむ青春小説で、1968年、角川文庫に収録されています。
 本が出た年、これを石原裕次郎主演で日活が映画化します。おそらく小説は映画化を前提に書かれたのでしょう。下のジャケットはその主題歌シングルで、裕次郎自身が歌ってます。
この日活作品は、しかし残念ながら若い人たちからそっぽを向かれてしまいました。演出側のセンスが古すぎたのです。生徒がまるで戦前のバンカラ学生のように描かれていて、さすがに“昭和40年”ともなると、日活映画を見るたぐいの客でさえ、そのアナクロさに居心地の悪さを感じてしまうほどのものだったのです。主題歌も寮歌のようで面白くありませんでした。(同じバンカラを描くのでも『けんかえれじい』のようにセンスが良ければいいんでしょうけどね。ちなみにこの作品、秋元順子が生徒役でエキストラ出演しています)

 TV版『青春とはなんだ』は東宝が制作、日活映画版と同じく65年、NTV系列で10月24日から放映され、丸1年続く人気ドラマとなりました。
 東宝はさらに劇場用として、1966年暮に『これが青春だ!』、67年に『でっかい太陽』を製作。両方とも夏木陽介・藤山陽子の主演です。『これが青春だ!』は怪獣映画『南海の大決闘』との併映で、松森 健の第一回監督作品となりました。67年の正月映画です。矢野間啓治、木村豊吉、岡田可愛など、TV版でおなじみの顔が登場しますが、松本めぐみは出ておらず、その役どころをTV版『青春とはなんだ』でレギュラーだった土田早苗が演じていました。それと重要なことですが、映画版『これが青春だ!』の主題歌はシングル「青春とはなんだ」布施明『これが青春だ』ではなく、TV版『青春とはなんだ』と同じく『若い明日』(布施明)だったのです。TV版『これが青春だ』(竜雷太主演)の放送開始は66年11月20日でしたから、約1ヶ月、TVの方が早かったわけですが、準備期間からすれば映画の方が日にちがかかるわけで、その辺の理由により、今回取り上げた歌が間に合わなかったのでしょう。
 ちなみにTV版『これが青春だ』は脚本チームのリーダーだった東宝のベテラン・ライター須崎勝彌によってノヴェライズされ3冊が刊行されています。

 石原慎太郎の原作・原案を、みずみずしい現代的タッチで、明るく楽しい、いわゆる東宝カラーで翻案・展開していくことで、その後も連綿と続く一連の青春学園ドラマは大いに人気を得たわけですが、岩谷時子作詞・いずみたく作曲の主題歌『これが青春だ』一曲のすばらしさからすれば、それらのドラマはしょせん現実ばなれしたお気楽な娯楽作品であって、「教師と生徒」のふれあいを描く青春ドラマとしては、たとえば『金八先生』シリーズに一歩も二歩も譲っていることは否めません。
 私はTV版『青春とはなんだ』とほぼ同じころNET(現在のテレビ朝日)が東映テレビプロダクションに作らせ放映していた連続ドラマ『青空に叫ぼう』のほうが、まさに現実の青春群像をよく捉えていると感じたものです。これは東映東京撮影所の現代劇の伝統とかそういうことではなく、ひとえに脚本家 小山内美江子氏の力量によるものだったのです。のちに同氏が『金八先生』シリーズを書いて、父兄はもとより学校関係者にも大いに注目され、また賞賛されたのはむしろ当然で、第1シリーズ主題歌『贈る言葉』とともに、金八ドラマ自体も後世に残っていることを思えば、東宝の青春学園ドラマというものがやはり高度経済成長のあの時代ならではのある種の気流に乗ったものであったことを認めざるを得ないのです。
(2003年1月1日)

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 2001年3月24日、テレビ映画で活躍した土屋統吾郎監督がお亡くなりになりました。私は1978年当時、土屋監督や斉藤光正監督らが担当していた青春ドラマ『青春ド真中!』のスタッフをしていた関係で、土屋監督ともお話しさせていただく機会がありました。しかしこちらもあちらもあまりに忙しく、TV版『これが青春だ』のスタッフテロップにある助監督・土屋充がすなわち土屋統吾郎であるのかどうか、直接確かめることはついに出来ませんでした。
(2003年1月5日)

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 2003年8月9日放送のNHK『第35回 思い出のメロディー』で、布施明が『これが青春だ』を歌いました。布施がこの歌をうたうのはきわめて珍しいことです。1993年5月24日放送の『ふたりのビッグショー 梓みちよ 布施明』以来だったかも。
(2003年8月9日)

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 現在、私のケータイは、メールが届くと伊集院校長こと西村晃の声で「ああ、若いもんはいいのう……青春とはいいもんだ」と喋るようになってます。コレ、すこし自慢です。
(2004年3月27日)

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 2004年7月31日、キリンビバレッジのクエン酸ドリンク『903』の新CM『夏のシズル篇』で、『貴様と俺』(CM用に再録された男声コーラス・行進曲風テイク)が使われているのをテレビで見ました。
(2004年7月31日)

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 2004年8月24日、テレビ朝日『旅の香り時の遊び』で、夏木陽介が『甲州ドライブ旅』。
途中で、

――あれ(青春とはなんだ)が学園物の元祖でしょ?

  夏木「一番始め勝沼の駅から始まったのよ」

――ああ、山梨の、どっかそのへんで撮ったんですね。

  夏木「勝沼の駅に汽車が着くところから物語が始まって、勝沼の駅前で地元のヤクザと大ケンカをして、それから学校へ行って、先生になるって話」

との会話。
(2004年8月24日)

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小山内美江子さん脚本降板。TBS系ドラマ「3年B組金八先生」。がんの病気療養で、7日放送分(第11話)から。
http://www.sankei.co.jp/news/sokuhou/sokuhou.html#12:28

(2005年1月19日)

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1993年12月23日放送の『第3回 爆笑!オールスター歌う同窓会スペシャル』で、モト冬樹が『これが青春だ』を、野口五郎が『貴様と俺』を、それぞれ歌いました。
(2006年2月10日)

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2007年1月7日放送の『特集NHKアーカイブス』で、矢野間啓治が出演したドラマが放映されました。

『テレビ指定席「下町」』(モノクロ作品)
放送日:1963/07/06
脚本:山浦弘靖
演出:斉村和彦
撮影:毛塚欣三
照明:早野功
録音:小菅修治
編集:福重正信
美術:佐藤武俊
効果:涌井隆一
音楽:間宮芳生
演奏:新室内楽協会
出演:磯村みどり(ひさこ=次女)、沢本忠雄(じろう)、瀬戸麗子(よしこ=長女)、大塚国夫(村瀬=長女の見合い相手)、天草四郎(製菓所主人)、市川寿美礼(その妻)、菅井きん(製菓所主人の妹)、徳大寺君枝、山崎猛(長男)、矢野間啓治(次男)、古賀浩二、内藤勲、松井朋和、木全麻智子、青い実の会

台東区千束で「佐藤製菓所」というゼリー駄菓子の製造所を営む一家の話で、恋愛結婚に踏み切れない長女を後押しするため、自分の恋心を抑制するけなげな次女が主人公です。
東宝から沢本忠雄、磯村みどり、大塚国夫が、
日活からは天草四郎が出演しており、
大蔵新東宝出身者では徳大寺君枝、瀬戸麗子、古賀浩二などが脇を固めております。
『青春とはなんだ』出演前の矢野間啓治が見られる、今となっては貴重な作品といえましょう。
(2007年2月21日)

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結婚 悪役「片岡五郎」がコロリとまいった「マダム路子」の魅力学
 東京オリンピックの2年前、22歳の時に、自己の〃魅力〃を開発する理論「魅力学」を唱え、魅力学研究家として名を売った品川路子さん。23歳で、山野美容専門学校の故・山野愛子校長の次男と結婚。山野路子として、女性誌などで、山野美容王国の〃後継者〃と目されたこともあった。4人の子供をもうけ、末っ子は現在、吉本興業のお笑いコンビ「品川庄司」の品川祐。
 が、74年に離婚。マダム路子に改名して企業や教育界、政界などで主に講演活動を続ける傍ら、99年には、次世代リーダーの養成を目指して「国際魅力学会」を設立している。
 その彼女が、御年66歳にして入籍を披露した。お相手は、悪役俳優として知られる片岡五郎さん(63)である。
「彼女とは、かれこれ18年来の付き合いです。最初に出会ったのは88年5月。所属事務所のパーティでした。その2週間後に、不動産会社の社長の誕生パーティがあって、僕は司会をしたのですが、そこにも彼女が居たのです」
 そう語る片岡さんは、60年代にテレビドラマ『青春とはなんだ』などの青春モノに出演後、時代劇や刑事ドラマの悪役としてブレイク。彼には妻と二人の娘がいた。
「社長の誕生パーテイの後、二次会で、麻布十番のクラブに行ったのですが、そこで彼女と盛り上がった」
 よく笑いよく喋る路子さんの〃魅力〃に、さすがの悪役もイチコロだった。
(以下略)
<週刊新潮2007年3月15日号P130>

週刊新潮の連載『結婚』の一部です。片岡五郎氏が、『青春とはなんだ』などの青春モノに出演、とあるので引用しておきました。
若い頃の写真を見て、ああこの人か、と分かりましたよ。

などを見ると、当時の青春ドラマ、刑事ものにはひととおり出てますね。
お二人とも講演活動でガンガン稼いでらっしゃる様子です。
(2007年3月11日)

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「アクターズプロモーション」社長、阿知波信介(あちは・しんすけ)氏(67)が鹿児島県内の滝から遺体で見つかったことが7日、同プロから発表された。鹿児島県警は自殺とみている。
 同プロなどによると、阿知波氏は2日から突然行方不明になり、純子夫人(47)らが捜していたが、4日午後8時半すぎ、鹿児島県霧島市の観光名所「犬飼の滝」から遺体で発見された。遺書は見つかっていない。
 阿知波氏は3日夜に鹿児島入りし、ホテルは2泊予約していた。4日はタクシーで城山公園などへ観光地めぐりをし、名所を聞かれた運転手が犬飼の滝へと連れて行ったという。
http://www.zakzak.co.jp/gei/2007_05/g2007050702.html

やはり第1話からレギュラー出演していた『青春とはなんだ』が一番印象深いですね。
東宝の戦記もの、8・15シリーズにも出てますが、軍人役だといかにもいそうな顔なので、逆にあまり目立ちませんでした。むしろ羽仁進の『初恋・地獄篇』みたいな現代劇のほうが、精彩を発揮していたように思います。
(2007年5月7日)

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2008年10月1日(水)午前2時55分ごろ、大阪市浪速区難波中の雑居ビル『桧ビル』1階の個室ビデオ店『試写室キャッツなんば店』で起きた放火による火事の続報で、こんなニュースをTVでやってました。

そして失われた15人の命。きのうまでに12人の身元が判明しました。25歳から61歳までの、実にさまざまな世代の男性でした。
その中の一人、介護ヘルパーとして働いていた49歳の男性の通夜がきのう行なわれました。
(参列者女性)「何も…話できないんで…」
(参列者男性)「ようね、飲みに行ったりしててね、最後にあのー『青春とはなんだ』をアカペラでバァーと歌うて」「周りに勇気を与えてくれる、そういうタイプで」
この店には毎日寝泊りをしていたという男性。事件の日も朝8時から仕事でした。仕事ぶりは誠実そのものだったといいます。
(亡くなった男性〔49〕の同僚)「彼はサービス時間以外でも、暇があったら行って、サービスしていたよ」「リハビリで、ちょっと歩かせたり、部屋の中を歩かせたりね。次のサービス移るまで時間あるじゃないですか。その余った時間で行って、そういうことをボランティアでやってました」
利用者にも好かれていたという熱心な仕事ぶり。男性にはある夢があったといいます。
(亡くなった男性〔49〕の同僚)「この仕事にもう一生捧げるつもりで、3年経ったら介護福祉士を取って、その先はケアマネージャーになりたいなと」
男性の夢を打ち砕いた今回の放火事件。その後の調べで発生直後、消火器が使われた形跡はなく、店員が避難誘導を行なっていなかったことも判明。
<日本テレビ『ズームイン!!SUPER』2008年10月3日午前7時1分>

49歳ということは、私とほぼ同じ。
飲んで『青春とはなんだ』をアカペラで歌うなんて、とても他人とは思えません。
ご冥福をお祈りいたします。
(2008年10月3日)

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これが青春だ – 布施明

(2009年10月22日)

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矢野間啓治 – 幸せがある
作詞:矢野間啓治、補作詩:岩谷時子、作曲:矢野間啓治、補作曲・編曲:いずみたく
日本テレビ系『これが青春だ』挿入歌

  ※(追記:この動画は削除されました

ご本人の作詞作曲。
(2011年9月13日)

追加記事

「青春とはなんだ」同窓会の旅 夏木陽介 岡田可愛 水沢有美、木村豊幸

(2016年2月12日)

 

この記事の旧版はこちらです。
register movement: 005 これが青春だ

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