Moon and Junes and Ferris Wheels
ジョニ・ミッチェルが作り、ジュディ・コリンズがヒットさせた「青春の光と影」の一節です。
歌の主人公の「私」は、これらに夢中だったというのです。
月は一つですから「s」はついてませんが、「June」と「Ferris Wheel」は複数形となっております。
毎年めぐり来る6月。これはジューン・ブライド、ひいては結婚ということでしょうか。
Ferris Wheelとは、George Washington Gale Ferris,Jrが1893年の「シカゴ万国博覧会The World's Columbian Exposition in Chicago」のために設計した大観覧車のことで、以降そういう観覧車のことをすべてそう呼ぶようになりました。複数形なら当然、シカゴ万博のではなく、普通に云う観覧車なわけです。
では、月はなんでしょう? 魔法の隠喩・オカルトの象徴、なのかもしれません。
Junesが結婚なら、月が同性愛ということはないでしょう。
大甘の白人テーンネイジャーが、社会の矛盾にめざめ、人生に悩みながら、成長していく。世の中を見つめる眼が養われていく。そういう歌ですからね。
今はものごとを両面から見れる。Both Sides, Now.
二項対立・二元論の超克とくればアクロバティックな論理の跳躍を予感させ、すこぶる秘教的燻香が漂ってもくるわけですが、そりゃまた別の話ですな。
¶postscript―*
元ハイ・ローズのメンバーを中心に結成された4人組混声コーラスグループ『ザ・シンガース・アンリミテッド』のこれがデビュー・アルバム。
1曲目が『青春の光と影』。
鈴木慶一プロデュースによるアルバム『カコ』(1994年)はすべてカバー曲で、60年代から70年代かけての欧米のポップス7曲を原田知世がそれぞれ元詞で歌っています。
収録されている『青春の光と影』は今風の変なアレンジがしてないので、私は好感が持てました。
(2006年4月21日)