自分が大好きな人は作ってみたら?
ビートルズろう人形競売
AP通信によると、ビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967年)のジャケット写真に使われたものを含む元メンバー4人を模したろう人形が27日、ロンドンで競売にかけられる。
ジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、リンゴ・スターの3氏の分が実際に使用されたもので、競売では3体で計約8万ポンド(約1600万円)の値がつくとみられている。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=GIF&PG=STORY&NGID=home&NWID=2005102001003745
蝋人形というのは、どうやら一つ一つが手作りみたいで、型に蝋を流し込んで大量生産するってわけにはいかないようです。
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米ムービーランドろう人形館、今月末で閉館
1962年、サイレント映画スターのメアリー・ピックフォードによって設立された同館には300体を超えるろう人形があり、ろう人形館としては世界でも最大規模の1つ。
オーナー社長のロドニー・フォン氏は19日、「時代は変わった。小規模アトラクションがこの地域で競争するのはますます厳しい状況になっている」と述べた。
(中略)
フォン氏は、「ろう人形は動きのない展示だ。若い世代は派手な映像や30秒間で色々起こるようなものを求めるのだと思う」と述べた。
http://www.asahi.com/culture/enews/RTR200510200037.html
私たちが蝋人形と相対するとき感じる奇妙な感覚、あるいはえも言われぬ趣きというものは、蝋人形がひどくリアルであるにもかかわらず、そこに生身の人間が当然示すブレが全く無いという「ちぐはぐさ」がもたらしている、と私は思うのです。
人物が写っている映画の一コマ、テレビの一画面を切り取って、その顔を見ると、たまたまとんでもない表情だったりします。たとえばアナウンサーがニュースを読み始める直前の目つきとか半開きの口とか、そういうものを、私たちは家庭用DVDなどで容易に見ることが出来ますよね。
美しい女性であっても、一瞬を切り取ってみれば無様でオマヌケな表情をしていることがある……という惨憺たる事実を、我々現代人は経験的によく知っているわけです。
スチールカメラによる連続撮影でも、また動画からのキャプチャーでもどちらでもいいんですが、利用者はその目的によって、いい表情のコマ、悪い表情のコマの取捨選択をする。相手のイメージダウンを意図するなら、悪い表情のを使うでしょう。見た人は「人相がこんなに悪いのだから、こいつはきっと悪いヤツに違いない」なんて思ってしまう。それが狙いなら大成功でしょう。一瞬を切り取ることで、いろいろ情報操作まで出来ちゃうという、けっこうよくある話です。
私たちは生身の人間に対してはどうしても連続性というスパンを必要としているのであり、ある種の装置無しには特別な一瞬を見ることは叶いません。
この場合の特別な一瞬とは、泣いたり怒ったり悲しんでたりおどけてたりする顔のことではなくて、極めてその人らしくない一瞬の表情ということです。ただし、相手がそうした一瞬のまま死んでる場合は、それはもうしかたないですがね。
蝋人形の作り手が模写するのは、そういう「らしくない」悪しき一瞬を避けたところの、誰もが記憶している表情の最大公約数であろうと思われます。その点では「作った表情」しか人々に知られていない昔の映画スターはどうしても「似て」しまうということはあるでしょう。蝋人形というメディアは先ず以て似ていることが前提ですから、やはり映画ポスターやブロマイドと同じように、イメージの複製という運命からは逃れられない。
デフォルメも大いに可とされる「似顔絵」が生き残り、蝋人形が消えていく理由も、その辺にあるんでしょう、きっと。
えっ、ポール・アンカって、今、ヴァーヴに所属してるの!?
Paul Anka - Verve Records
カイ・ウィンディング(Kai Winding)がヴァーヴに残したムード音楽のアルバム(ジャズではない)『MORE』はなかなか良ろしい。いまだに復刻されておりませんが。