問題外科 <=====> 愛の処刑
自決を予告?三島由紀夫の映画「憂國」フィルム発見
作家・三島由紀夫(1925〜70)が陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で行った割腹自殺を、自ら予告するように監督・主演していた映画「憂國」(66年公開)のネガフィルムが、東京・大田区の三島邸で発見され、18日までにDVD化を含む公開が決まった。
(中略)
発見されたのは35ミリフィルム約40巻。気密性の高い大型の茶箱をテープで密封し、自邸倉庫奥にしまわれていたのを、製作時プロデューサーを務めた藤井浩明氏(78)が発見、内容確認した。傷やカビからも免れ、完璧(かんぺき)な状態であるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050819-00000401-yom-soci
早くから切腹それ自体に興味のあった三島は、あとから切腹を正当化し荘厳せしめる恰好の思想として「愛国の赤誠」を選択したのではないか、と私は考えてます。
榊山保なる者が『アドニス会』の会誌『アポロ』に書いた短編小説に『愛の処刑』というがありまして、それが三島の作ではないか、と昔から云われております。
この小説は、ある体操教師が肺炎を患っていた教え子の少年を罰として雨の中に立たせたため死なせてしまい、それを美少年から詰られた上、切腹を迫られ、その監視下で腹を切ってもだえ苦しむ、というストーリーです。
これを読んで私がすぐ連想したのは、馬琴の原作をリライトした三島の歌舞伎脚本『椿説弓張月』。この芝居は最後はなんだかみんな切腹しちゃう。むしろ切腹の「美」を描くために物語が設えられている感じさえするのです。
『愛の処刑』も『椿説弓張月』も『憂國』も、描かれるキモは切腹の「美とエロティシズム」なわけで、作者は切腹そのものに強烈な憧憬を懐いてるんじゃないかと、読者・観客をして容易に想像せしめる内容ですね。
卑俗な物言いをすれば、やはり三島は「切腹フェチ」「切腹萌え〜」の人ではなかったのか? 三島が切腹に、、、いやいやいや、これくらいにしておきましょう。
三島信奉者から切腹を迫られちゃ堪りませんから。あたしゃ痛いのはニガ手で。