011 別れのワルツ
A面『ジングル・ベル』、B面『別れのワルツ』。
両面ともに、訳詞:丸山明宏、編曲:服部良一、歌:丸山明宏(のちの美輪明宏)。発売:1957(昭和32)年11月、日本コロムビア。
大ヒットとなった『メケメケ』(訳詞は丸山。B面は『ジェルソミーナ』)も同時リリースされてまして、当時、会社側がこの新人の実力と才能と人気を高く評価していたらしいことがうかがい知れます。ちなみに両盤ともSPでの発売ですが、私の所有しているレコード(写真左)はその後に出されたシングル盤です。
丸山の訳詞は職業作家では書けない清新なリリシズムと、ハートウォーミングな物語性にあふれていて、なにかこう、素晴らしい映画を見たあとのような、そんな感動を聞く者に与えます。特にB面の『別れのワルツ』は日本で録音された『蛍の光』の中ではベストワンではないでしょうか。おなじみのメロディは異なる詞で2回繰り返されるのですが、その間奏部分で長めのセリフが入ります。これがまた素晴らしい。もちろん私は『SONO-COLOアワー』で流しました。
ところでこの人の場合、その性向と芸術性が不可分だろうと考えられるので、唐突にもつい下世話な疑問を呈しちゃうわけですが――、喉ボトケはいつごろ無くなったんでしょうかね。
ちなみに美少年系のピーターが『夜と朝のあいだに』でデビューしたのも同じ69年でした。
もう一人、丸山の末流ともいうべき人物の〃お皿〃を挙げておきましょう。1982年ポリスターからリリースされたKINYA(キンヤ)の『涙のデイト』(写真右)です。
彼はアン・ルイスが見つけてきたタレントで、一時ずいぶんとテレビに露出していました。この盤はA・B面とも竹内まりやの作詞・作曲で、オールディーズっぽい雰囲気があります。ただKINYAはトークの人で、歌はご愛敬程度でした。
これらの人々はいわゆる「おネエ系」だそうで、芸能界に多いという木下恵介(故人)、藤村有弘(故人)、藤木孝などの系統とは、また一線を画すのだそうです。これも故人のディヴァインなどはやはり前者と云うべきなのでしょうか。
それはさておき――、
丸山明宏は美輪に改名したあたりから、前世云々といった宗教的発言、とりわけ法華経への傾倒を示す文言(もんごん)・言辞(げんじ)が目立つようになりました。昨今は執筆活動に加え講演も数多くこなすようになり、そうした場で女性たちに人生の極意を語り、道を説いている姿にはなるほど後光がさしていて、それこそ観音様、といった風情がうかがえます。
(2003年11月20日)
¶postscript―*
カルーセル麻紀、正真“証明”女に 戸籍性別変更認められる!!
タレントのカルーセル麻紀(61)が晴れて「女」になり、「平原徹男」から「平原麻紀」となったことが4日までにわかった。
7月16日に施行された性同一性障害者の戸籍の性別変更を認める法律でカルーセルは家庭裁判所へ戸籍の変更を申し立てていたが、家裁側は「社会的に女性としての自我を取得しつつある」として変更が相当と判断。9月28日に性別変更の書類手続きが区役所で行われる段階に入ったことを、担当弁護士から報告されたという。
カルーセルはスポーツ紙の取材に「やったわ! うれしい。やっと女性になれた」などと大喜びで、現在、書き換え中の健康保険証、パスポートが出来上がるのを心待ちにしているとか。今月下旬に都内で記者会見を開くという。
http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_10/g2004100403.html
外面は整形やエステで菩薩のようになっても、どうしようも出来ないのが骨格ですね。肉体とは実にやっかいなものです。
(2004年10月4日)