他人の顔
他人の顔を憶えないのは不誠実な証拠だと、昔なにかで読んだことがあります。
実は私の苦手なことのひとつに、他人の名前と顔を憶えることがあります。
今日、夏に履く安物のズボンでも買うベェと思い立ち、小雨降る中、渋谷「ユニクロ」スペイン坂店へ歩いていきました。途中、東急東横店の北側で、突然「おう久しぶりだなぁ」とオジサンから声をかけられました。
「は?・・・・ あ、どうも」
ところが困ったことに、どこの誰なのか、まったく思い出せないのです。思い当たる節もありません。
「いやー、競馬で取っちゃってねー」とポケットから万札の束を取り出して見せびらかします。
私は誰だったか必死に思い出すのですが、どーしても分かりません。
「あのー・・・すごいですね。並木橋の場外売り場ですか?」
「あんたは競馬やらないの?」
「いや・・・わたしは宝くじ程度で」
「ダメだよ、たまにはパーッといかなきゃァ! わはははは。んじゃな」
その人物は、すいっと、行ってしまいました。
私は気を取られている間にスリにあったんではないかとバックパックを調べましたが異常ありませんでした。
それにしてもコントみたいな、こういうシチュエーションってほんとにあるんですね。