昨日20日、田原町でヤボ用をひとつ片付けた帰りに浅草に寄り、宮田レコード新仲見世店で、演歌系のCDを買いました。
●浪花一番 c/w グアム島音頭/水沢明美(シングル)2001年
カップリングの『グアム島音頭』が聞きたくて買いました。
グアム島が歌になるなんて、藤巻潤の『恋のグァム島』(1969年)以来じゃないでしょうか。
太平洋戦争の初期、「皇軍」の「南進」が華々しく報じられたこともあり、「南方」の異国情緒をうたった歌が次から次へと発売されました。
『バリ島の歌姫』『バリ島の娘』『ジャワのマンゴ売り』『たそがれのマニラ』『バタビヤの夜は更けて』『南への憧れ』『南の便り』『南へ南へ』『南から南から』『海の豪族』『南方航路』『常夏の島』『ラバウル航空隊』等々、それこそ枚挙に暇がありません。
世界中に日の丸を立てようという素朴な野心がごくごく当り前に語られていた時代でしたが、与えて云えば日本人の南溟(なんめい=遠い南の大海)への憧憬(しょうけい)は北方ドイツ人の南方イタリアへの憧れに、一分(いちぶん)通ずるものがあったのではないでしょうか。
戦後になるとこれがハワイ一辺倒となり、JALパックの時代まで封印されてしまいます。今では子供でもグァムやハワイくらいは行ってるでしょう。まったく平和とはありがたいものです。間もなくやってくるゴールデンウィークに、あなたはいったいどこへ、、、出かけますか?
●ブギウギ時代/中村美律子(シングル)1998年
笠置シヅ子の『ブギウギ時代』とは同名異曲です。作詞がジェームス三木ということは、彼の筆にかかる舞台かドラマかなにかのそのテーマ曲ではないでしょうかね……。あ、ちいさーい文字で「写真提供 大阪新歌舞伎座 新宿コマ劇場」と書いてあります。中村美律子が笠置シヅ子みたいな格好で写ってる写真のことでしょう。最近は老眼のせいか、虫眼鏡が無いとこういう小さい字は見えません。困ったもんです。
詞のほうでも笠置が活躍した終戦直後の世相そのものが語られてます。いささか盛り込みすぎの観がありますが、舞台の曲ならばむしろ納得です。
●大阪ドドンパ/真木柚布子(シングル)1999年
数あるドドンパの中でも特に『東京ドドンパ娘』『可愛いドドンパ娘』にインスパイアされたと思われるメロディ、アレンジです。明るい人柄がよく出ていて楽しい仕上がりですね。カップリングの『道頓堀セレナーデ』はしっとりした雰囲気で、これもまたいい感じです。
●上野発/和田青児(シングル)1999年
十条・赤羽あたりの銭湯の脱衣場に、有線でこういう曲が流れてくるとじつにこうピッタリくるんですよねー。
重量感のあるシブい曲調です。
北島三郎の影響がうかがえるスケールの大きい歌い方が、またこの楽曲によく合ってますねー。
右の写真は上野駅前で撮った『ああ上野駅』の歌碑です。
●パラダイス東京/小野由紀子(シングル)2002年
コンセプトとしては『大阪ラプソディ』の東京版ですね。小野由紀子のシリアスな声質とは裏腹に、こういう曲調だとやはりコミカルな、いえノベルティーソングであるとの印象はまぬかれません。昔の殿様キングスがその頃これを歌ったとしたら、きっと大ヒットしてたでしょうね。
●涙をふいて c/w ウォーキング・マーチ/水前寺清子
三好鉄生のヒット(1982年)のカヴァーです。さすがに「ウンニャッ」とは歌ってません。
実はコレ、カップリングの『ウォーキング・マーチ』のほうを聞いてみたくて衝動買いしちゃったんです。(ちゃったんですって、宇野鴻一郎みたいだな)
戦前、表向きは国民の体力増進・体位向上のため、ホンネは燃料節約のために徒歩(かちありき)が奨励され、高村光太郎作詞の『歩くうた』なんてのを半強制的に歌わされたりしました。昭和16年のことです。これがかなり印象的な歌で、いつまでも頭に残るんですよね。戦後、何かの映画で上田吉二郎が唸るようにしてその歌をうたっている場面がありましたっけ。
一方アメリカでは、行進すらもアートにしてしまうアステアやジーン・ケリーの神業的ステップが広く知られていましたし、少し時代が降(くだ)って、モンローウォークのように女性のセクシーな歩き方が興味の対象になったりもしました。
音楽の世界でもザ・ダイヤモンズ『ザ・ストロール』(1957年)、ジミー・マクラクリンの『ザ・ウォーク』(1958年)、ソニー・クラーク『クール・ストラッティン』(1958年)などなど、“歩き”っぷりがリズムやビートに結びつくという、日本人には考えもつかないような発想で楽しませてくれちゃってるわけです。どーですか、この違いは!?
日本の場合“歩き”はしょせん兵隊の「オイッチニ」の歩みであって、決して楽しいもんじゃないんですね。だから『三百六十五歩のマーチ』も明るい歌なのに、やっぱり歩くことは試練であり努力すべきことなんです。一歩間違うと「泣くの歩くの死んじゃうの」ってことになる。ヤバイですよ。
『ウォーキング・マーチ』には森林浴、日光浴なんて言葉が出てきます。目的がないと日本人はダメなのかもしれません。逍遥(しょうよう)、彷徨(ほうこう)、徘徊(はいかい)、散歩……昼間っからあてもなくブラブラしてるヤツはロクなもんじゃない、ってことなんでしょうね。
●夕焼けレッドで帰りましょう/ザ・キングトーンズ(シングル)1998年
サントリーレッドのCMソングです。作詞:伊藤アキラ、作曲:杉真理。プラターズの『夕日に赤い帆』と続けて聞いてみたいですね。
●港のカナちゃん/嶋 三喜夫(シングル)2000年
気持のいいマドロス演歌です。深夜のTVで流れていたのをたまたま聞いて買う気になりました。なかなか見つかりませんで、今回、最後の頼みの綱である宮田レコードで、やっとこさお目にかかることが出来ました。
●帰ってきた酒飲み音頭/バラクーダ&ベートーベン鈴木(シングル)2003年
喧嘩別れした(?)バラクーダでしたが続編では楽しそうにやってます。
そういえば「ゆーとぴあ」も一緒にやってるみたいですね。ピースこと帆足新一は元は内山田洋とクール・ファイブのバンドボーイだったそうです。
●懐かしのダンス・タイム 黄昏のルンバ〜大阪マンボ/真木柚布子(アルバム)2002年
前出のシングル『大阪ドドンパ』を含むアルバムで、歌謡曲におけるワルツ、タンゴ、ルンバ、ブルース、ブギウギ、マンボなどを新旧織り交ぜて構成しています。
これ、前からほしかったんですが、なかなかフツーのCDショップに置いてなくって、ずいぶん探しましたよ。
●ハチのムサシ/窪田友紀子(シングル)2003年
平田隆夫とセルスターズの大ヒット曲『ハチのムサシは死んだのさ』(1972年2月)は悪役俳優の内田良平が作詞したことでも話題となりました。これはその平成版リメークです。メロディは同じですが、アレンジも詞も一新、挑戦者としての前向きなムサシが強調されております。ただちょっと、アニメのテーマソングみたいな、そういうカンジは否めませんね・・・。
カップリング曲『果てしなき荒野』はテイクファイブ風の変拍子リズム。詞は『青年は荒野をめざす』的世界です。
●老人と子供のポルカ/梅津栄とプレイハウス(シングル)2004年
あの♪ズビズバァーのカバーです。梅津さんてホントに老人になっちゃったんですね。歌の時代背景を無視してはおりますが、カップリング曲ともに編曲がふとがね金太ということで、聞いてみましょうか、って気になりました。
●中の島ブルース c/w あきらめないで, ぬれて大阪/アローナイツ(シングル)2003年
いわゆる名盤カップリングというやつです。秋庭豊とアローナイツではなく、ただの「アローナイツ」を表記されてます。1988年の再録音だからでしょうか。
リーダーの秋庭豊が1990年に亡くなり、その後しばらく続いていましたが、現在はグループとしての活動を休止している、ということです。
この楽曲の版権は内山田音楽出版(1975年)。クール・ファイブの歌としても知られていますが、秋庭豊とアローナイツのデビュー・シングル(1975年7月リリース)として、今も演歌ファンに親しまれています。
以上、昨日、宮田レコードで購入したCDは、〆て15900円でありましたッ。(なぜか)敬礼!