カテゴリー別アーカイブ: アルゼンチンのROCK/POPS

抵抗する歌姫たち

 メルセデス・ソーサさん74歳(アルゼンチンの歌手)AP通信によると、4日ブエノスアイレスで死去。中南米で1960年代に登場した音楽「ヌエバカンシオン(新しい歌)」の先駆者で代表的な歌手。ヌエバカンシオンは社会的なメッセージと民族性を備えたジャンル。アルゼンチン軍政時代には国外亡命した。日本でも公演している。
http://mainichi.jp/select/person/news/20091006k0000m060036000c.html

軍政、圧政、独裁政権、弾圧、粛清、拷問、暗殺、集団処刑・・・そのようなことがラテンアメリカでは繰り返されてきました。スペインもかつてそうであったし、フィリピンやギリシャでもそうでした。
現在もそういう国はけっこうあります。惨憺たるものです。
しかし、そうしたギリギリの状況下ならばこそ、魂を強く打ち震わせるような、リアルなメッセージを持つ歌が生まれるのも、また確かなことでしょう。
独立と民主主義と平和な暮しを「血の代償」を以て勝ち取ったことがない ひ弱な日本人は、だからおそらくは最後まで生き残れないだろうと思われます。

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ここでもう一人、60年代に命がけで歌った女性をご紹介しておきましょう。

CD「SONGY A BALADY」プラハの春に歌手としてかかわり、『ヘイ・ジュード』のチェコ語版を歌った女性Marta Kubišová(マルタ・クビショヴァ)。
(左)当時録音の『ヘイ・ジュード』を含む1996年発売のCD『SONGY A BALADY』。
西側の曲というだけでなく、プラハの状況の本質に切り込むような歌詞であったので、歌手活動を禁じられ、下獄もしました。
歌のジャンルは、当初はジャズ風、次いでポップスやモダンフォーク、ロック等々。新しいものを貪欲に取り入れていく、ある意味“革命的”な姿勢を貫き通しました。
東欧圏でこれだけやる根性は凄いの一語に尽きます。なにせ面構えからして不敵です。

ただし、この人が当局から弾圧されたのは西側の歌を歌ったからではなく、反ソの態度を撤回しなかったからでした。
西側の楽曲(あるいはいかにもそれ風のオリジナル曲)はプラハの春にかかわりなく、この国では普通に歌い、演奏されてましたから。

2000年10月4日、NHKBSが『ハイビジョンスペシャル 世紀を刻んだ歌 ヘイ ジュード ~革命のシンボルになった名曲~』で紹介し、その存在が日本で広く知られるようになりました。2001年1月には、NHK総合でも放送されました。
つい最近もBSが再放送したようですね。

Marta Kubišová – Hej, Jude