Sunshine Company, The Blades of Grass

アメリカでは「しゃべり」だけ、あるいは「しゃべり」+BGMのレコードがヒットすることがあります。
その種類も、コメディアンのネタ、詞の朗読、真面目な語り、あまりにオンチなため歌わせてもらえなかった人気スターのものなど、いろいろ。

それらの中で1960年代に一番売れたのは、ヒッピー世代にそれなりの理解と助言を与えた1967年のヴィクター・ランドバーグ『アン・オープン・レター・トゥ・マイ・ティーネイジ・サン(An Open Letter To My Teenage Son)』だったとか。
今年、オバマ演説本が売れましたが、ありゃ例外ですね。
基本的にこういうのは日本じゃ売れる要素がない。

Victor Lundberg – To the Flower Power(1967)

(右)米シングル『WHAT IS A MARINE』Ernie Maresca(アーニー・マレシュカ。文献によってはアーニー・マレスカとの表記もあります)。
今から20年ちょっと前に買ったシングル盤です。当時すでに1962年『シャウト!シャウト!』のオリジナルLPを持っていたのですがシングルはなかったので期待して針を落としたら、な、なんとストリングスをバックに詩(?)を朗読してるだけ。
B面「THE NIGHT MY PAPA DIED」もメロディがあるやなしやのユルい弾き語りバラードで、ズッコケちゃいました。

 

それはさておき、
ここ数年、私は、1960年代のソフト・ロック(昨今はサンシャイン・ポップとも云う)が、今の自分の感覚・感性に一番しっくりくるなぁ、という気がしています。
たとえばこういうサウンド――

サンシャイン・カンパニー

The Sunshine Company – Just Beyond Your Smile
inculuded in the album “Happy Is” in 1967

Sunshine Company – Up,Up And Away

  ※(追記:この動画は削除されました

The Sunshine Company – Happy

The Sunshine Company – On a Beautiful Day

  ※(追記:この動画は削除されました

The Sunshine Company – To Put up With You

サンシャイン・カンパニーはオリジナルがどれもいまひとつ決定打に欠けているせいか、時代のスターとして名を残すということにはならなかった。なかなかいい線いってたんですけどね。

ザ・ブレイズ・オブ・グラス
彼らより実力があったのがザ・ブレイズ・オブ・グラス。
サンシャイン・カンパニーの1967年のヒット『ハッピー』を2週間遅れで、リリースしてます。

The Blades of Grass – Happy(1967)

◇    ◇    ◇
 

ワーナーブラザースの映画『太ももに蝶(I Love You Alice B. Toklas! )』(1968年)
監督:ハイ・アヴァーバック
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ピーター・セラーズ、ジョー・ヴァン・フリート、リー・テイラー・ヤング 、ジョイス・ヴァン・パッテン、ハーバート・エデルマン
西海岸のヒッピー、サイケデリック・ムーブメントに取材したコメディ。
当時の一般的な大人がヒッピーをドラッグ中毒のイカレポンチどもと認識していたことがよく分かります。
まぁ実際そうだったんでしょうけどね。
ザ・ブレイズ・オブ・グラスがこの映画のテーマを歌ってます。
よりディープな形でピッピー、サイケを扱っている映画『キャンディ』のテーマをザ・バーズ、ステッペンウルフが歌うのは翌1969年のことです。

I Love You, Alice B. Toklas! 1968 Party

◇    ◇    ◇
 

The Blades of Grass – Walk Away Renee(1967)

この歌聞いてると、エヴァリー・ブラザース(当時の日本表記はエヴァリイ・ブラザース)の『恋の願い』(レット・イット・ビー・ミー)が思い出されます。

竹内まりや & 山下達郎 – Let It Be Me

  ※(追記:この動画は削除されました

さらにこの歌聞いてて、ジャクソン・ファイブの『アイル・ビー・ゼア』が頭をよぎりました。

Jackson 5 – I’ll Be There

さらにさらに、廃墟の鳩がパタパタと…

ザ・タイガース – 廃墟の鳩

  ※(追記:この動画は削除されました

 

追加記事

本日、テレビ東京が、
  原作・脚本:ピーター・シェーファー
  監督:キャロル・リード
  『フォロー・ミー』Follow me!(英)The Public Eye(米)
  (1972 英)
を放映してました。
この作品は日本の映画ファンにはひどく評判がいいですね。
ロンドンの街や近郊の名所がふんだんに写ってます。これが今となっては貴重です。
ミア・ファロー(当時はミア・ファーローって表記が多かった)演じるベリンダはカリフォルニアの元ヒッピーという設定。放浪型のヒッピーででもあるものか、ロンドンの街をこれといった当てもなく歩き回ります。
映画館で怪奇映画を見るシーンでは、なるほど「ロッキー・ホラー・ショー」というのはこういう素地があって生まれた(いや、これから生まれる)ミュージカルなんだなと想像させます。
原作が戯曲だと、映画化したときに登場人物が饒舌になりがちですが、この映画では回想シーンという形をうまく使ってかなり抑えているようですね。
我々はイギリスとアメリカの違いを肌で感じるということは普通ないわけで、この映画はそういう部分を教えてくれます。また島国に住む人間の気質という部分で、日本人と英国人の共通性も少しく感じられる……。
実際問題、ヒッピーだった人たちのどれだけが1970年代初頭にイギリスへ行ってみようなどと思ったんでしょうかね。この映画を見る限り、アメリカ人にとってイギリスはさして居心地の良さそうなとこではなさそうですが。

John Barry – Follow Me!(The Public Eye)

(2010年1月12日)

 

ヴァルプルギス的な年の瀬

暮というと日本ではベートーヴェンの第九、歓喜の歌ということになってます。
この「歓喜の歌」、歌詞を見ると単純な神への讃歌でないことが一目瞭然です。
北方的、一神教的、中世キリスト教的世界観に対する、南方的、多神教的、ギリシャ・ローマ的世界観の標榜でして、要するにルネサンスであり人間性の復興の歌ということになります。したがってこの歌、バチカンにしてみりゃ面白くないに違いない。
だからといってこれがイコール宗教権威ヘのアンチテーゼということにはなりませんし、ましてヒューマニズム讃歌などとという理解は残念ながら「浅薄」のそしりを免れ得ないでしょう。西欧の長い歴史の中でこそ真に意味のある作品なんですから。

(下)ウィーン分離派の画家グスタフ・クリムトの大作『ベートーヴェン・フリーズ』の一部分『第3の壁「歓喜・接吻」』
『ベートーヴェン・フリーズ』はベートーヴェン第九の第四楽章・歓喜の歌を絵画化したものでしたが、発表当時は不評だったそうです。

うちの資料室を見たら、むかし買ったこんな本が出てきました。
(下左)別冊太陽 日本のこころ56『ベートーヴェン交響曲第九番「合唱付」』平凡社 1987年1月5日発行 定価2000円(当時)
(下右)楽譜 ベートーヴェン交響曲第九番合唱終曲 普及版歓喜の歌<原語カナ付>F.シラー原詩 音楽之友社 1989年3月20日発行第0刷 定価500円(当時)

この歓喜の歌にはいろいろな詞が付けられています。そのなかで最大のヒットといえるのが、1970年のミゲール・リオス「よろこびのシンフォニー<第9>」でしょう。
原曲のスケール感と主旨を損なうことなく、コンパクトに仕上げているところが素晴らしいですね。

Miguel Ríos – A song of joy
ミゲル・リオス – よろこびのシンフォニー<第9>

ヴァン・ダイク・パークスの1966年のデビューシングルが、「Number Nine」だったことは知る人ぞ知るところでしょう。
でも出来はちょっとチープでしたねぇ。

 

以下、変りだねの歓喜の歌。
かなり評判のいいマペットのショートムービー。

The Muppets – Ode To Joy

more register movement » 「イエス玉川は荒川区に住んでいる」へぇー!
にも引用した つのだ☆ひろ の般若心経ソング。

つのだ☆ひろ – 般若心経(Heart スートラ シンフォニー9 合唱版)

<参考>
ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロト扮する藤兵衛ドンが歌う『よろこびのうた』。
サウンド・プロデューサー:藤原いくろう。

ベートーヴェンはちょっと…という方には、やっぱり定番のこれですか?

Chuck Berry – Roll over Beethoven

The Beatles – Roll Over Beethoven(live)