もうかつらはいらない

文禄三年、豊臣秀吉公母堂三回忌に因て高野に登嶺あり。公卿雲客武家扈従す。
       秀吉
なき人の形見の髪を手にふれて
     つゝむに余る涙かなしも
――靜山松浦清『甲子夜話』巻二十三〔二〕(松浦静山著、中村幸彦 中野三敏 校訂『甲子夜話』2、東洋文庫 314、平凡社 、昭和52年)
<豊臣秀吉 – Wikiquote>

母を偲ぶ歌。天下人秀吉の涙する姿、見てみたい気がします。

米イリノイ州シカゴで18日、「ロックの帝王」の故エルビス・プレスリーの遺品がオークションに掛けられ、プレスリーのものとされる毛髪が1万8300ドル(約166万円)で落札された。
 競売に掛けられたのはエルビスのファンクラブの元会長が所持していた150点以上に及ぶエルビスゆかりの品。毛髪のほか、エルビスのシャツ2枚がそれぞれ6万2000ドル、3万4000ドルの高値で落札された。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091019-00000043-jij-ent

「髪の毛」の歌、「髪型」の歌って、どんなのがあるかなぁと考えてみました。

ビートルズ・カットのボーイフレンド/ドナ・リン
亜麻色の髪の乙女/ヴィレッジ・シンガーズ
金色の髪の少女/アメリカ
Hair/ミュージカル『ヘアー』より
他人船/三船和子

『ヘアー』には長髪の若者が多数登場しますが、全裸シーンでアンダー・ヘアも見せちゃったという二重のお毛々ミュージカルとなってました。
『他人船』を聴くと「女の髪は象をも繋ぐ」という五句章句経から出た言葉を思い出します。男が女に惹きつけられるというよりも、女の“執念”の強さを表してる気がするのですが、どうでしょう。

1960年代には、20~30年代、あるいは中世やエリザベス朝時代の、主に服飾・デザイン方面のリバイバルがありました。
当時、女性がバネみたいにクルクル巻いてる愛嬌毛を耳の前に垂らしてたのを覚えてませんか?
あれはkiss-me-quickとかlovelockとか呼ばれていたものの「現代版」でした。

髪/美空ひばり
髪/ピーター
髪/中島みゆき
髪/新井満
髪/笹川美和
髪の毛/間々田愛
髪を洗う女/中島みゆき
髪を洗えば/酒井法子
濡れた髪のLonely/池田聡
髪結い人生/箱崎航二
すみだ川/東海林太郎、台詞:田中絹代 (銀杏返し)
ゲイシャ・ワルツ/神楽坂はん子 (島田)
当世銀座節/佐藤千夜子 (イートン断髪(クロップ))
タイムマシンにおねがい/サディスティック・ミカ・バンド (ポンパドール)
髪切り夢屋/金田たつえ
髪を切ってしまおう/加藤いづみ
だから僕は髪を切る/長谷川都
「いちご白書」をもう一度/バンバン
髪を切る日/槇原敬之
髪を切ったLonely Girl/山本英美
バスルームで髪を切る100の方法/フリッパーズ・ギター
髪なんか切ったりしない/普天間かおり
髪をほどいて/bird
長い髪/工藤静香
長い髪の少女/ザ・ゴールデン・カップス
黒い髪のリサ/TULIP
黒髪/梶光夫
黒髪/天童よしみ
黒髪情話/秋山涼子
黒髪ざんげ/金田たつえ
黒髪みれん/佐倉夏子
長い黒髪/矢沢永吉
結婚しようよ/よしだたくろう
なまはげ兄弟/勝手に観光協会 ♪ロン毛をふり乱し…
みだれ髪/美空ひばり
みだれ髪/小柳ルミ子
乱れ髪/大滝詠一
錆びた髪/鳳山雅姫
熱き血汐~与謝野晶子「みだれ髪」他詩集より~/大石まどか
藤村の前髪/KONISHIKI
前髪/國府田マリ子
女子バスケット部~朝練あった日の髪型~/Berryz工房
おさげとまきげ/美空ひばり
おさげマドロス/石井千恵
長いお下げ髪/守屋浩
おさげと花と地蔵さんと/三橋美智也
ポニーテール/aiko
追い風のポニー・テール/斉藤由貴
約束のポニーテール/三浦理恵子
ポニーテール・ソルジャー<律子SONG>/宮村優子
ポニーテールをほどいたら/立川恵
ポニーテイルは結ばない/松本伊代
髪の毛はくるくるパーマ/金城綾乃
金髪のジェニー/鈴木寛一
赤い髪の女の子/北出菜奈
あなたの髪を/イルカ
髪をなでてごまかして/Bivattchee
完全無欠のロックンローラー/アラジン
Ducktail / Joe Clay
Duck Tail / Rudy ‘Tutti’ Grayzell
オバケのQ太郎/石川進
スキンヘッド ロードランナーズ/小島
 

美空ひばりの『髪』はひばりの親友だった神津善行・中村メイコ夫妻の作品。
『金髪のジェニー』はフォスターの有名な歌に日本語詞をつけたもの。
『藤村の前髪』というのは島崎藤村の詩『初恋』からふくらませた曲。

髪の装飾品、整髪料、シャンプーは「髪」に関わる歌に含めていいかと思います。でも帽子はまた別のジャンルでしょう。

髪とヘアピンと私/牧野由依
若草の髪かざり/チェリッシュ
オリーブの髪かざり/小泉今日子
そのとき僕は髪飾りを買う/茅原実里
グリース/フランキー・ヴァリ
Shampoo/Elvis Perkins
 

エルビス・パーキンス。てっきりネオロカの人かと思ったらアンソニー・パーキンスの息子だそうで。

rockabilly hairdo…a real mans hair!

1950s men’s Rockabilly hair styles !

比喩としての「髪」。危機一髪なんて言い方もそうですね。

チャンスの前髪/竹内まりや
Chanceな前髪/未来-MIKU-
うしろ髪ひかれたい/うしろ髪ひかれ隊

白髪の少年/堀内孝雄

 

これは隠喩。ただしロマンス・グレー(←死語か)のおじさんが「少年」みたいに恋をするので、隠喩表現は「少年」のほう。

髪の毛以外の体毛では、

猫じゃ猫じゃ/  (明治初年の流行り歌。八の字髭の官員を揶揄している。芸者の「猫」ではない)
官員唄(髯を生やして)/ (明治8年以降の書生節。これも同じく官吏の髭をからかっている)
うちの女房には髭がある/美ち奴、杉狂児
麦と兵隊/東海林太郎 ♪ひげがほほえむ…
轟沈/波平暁男 ♪髭も生えます 不精髭…
髭よさらば/髭(HIGE)
髭とタオル/餓鬼レンジャー
ハナゲの唄/ソルティー・シュガー
まつげ/aiko
マスカラまつげ/DREAMS COME TRUE
 

くらいしか出てきません。

アーチスト名、グループ名では、
『シュ・ブーン』をお上品にカバーしたカナダ出身の白人グループのザ・クリューカッツ、
アーニー・マレシュカが在籍した『バーバラ・アン』のザ・リジェンツ(リーゼントヘアーのregent)、
『もすこし早く生れたかった』の白人女性3人組ポニイ・テイルズ、
ニューオリンズR&Bのピアニスト、ボーカリストのプロフェッサー・ロングヘア、
1994年に『トラブル』をヒットさせた女性デュオのシャンプー、
とかですかね。
プロフェッサー・ロングヘアは全盛期は長髪ではありませんでした。ロングヘアは浮世離れした芸術家の譬えで、完全なる芸名です。
黒沢明の映画『野良犬』(1949年)で、不良の髪型について「リーゼントスタイルっていうんですか」というセリフがでてきます。アプレゲールの髪型としてすでにそのころ認知されていたということでしょう。

ミルス・ブラザース、ゴールデン・ゲイト・カルテット、ベイズン・ストリート・ボーイズなどのいわゆるバーバーショップ・スタイルから、ドゥー・ワップ・スタイルへの進化であるとか、若き日のファッツ・ドミノの髪型とか、60年代初期にアメリカの女の子の間で流行した盛り髪「ビーハイヴ」とか、そういうことも書きたいんですが、なにせ勉強不足なもんで。

ところで皆さん、私の前ではけっして「抜ける」とか「うすい」とか「すべる」とか「はげる」とか「つるつる」とか「てかってる」とか「まぶしい」とか「電球」とか「らっきょう」とか「怪我ない」とか、そういうことは口にしないように
・・・あ、ぜんぶ言っちゃった!

オイラ ハゲ丸/つかせのりこ
つるピカハゲ丸倶楽部/つかせのりこ
地球の一番はげた場所/真島昌利
 
 

追加記事

 ポニーテールとシュシュ/AKB48
シュシュとはリング状の髪飾りだそうです。
ちなみにチュチュはバレエ衣装の一種、チュチェは北朝鮮の唯我独尊の「理論」、「チェッ・チェッ・チェッ」は橋幸夫の中ヒット曲、「僕は泣いちっち」は守屋浩の大ヒット曲。

(2010年4月26日)

追加記事

 Everyday、カチューシャ/AKB48
 プラスティック製のヘアバンドを「カチューシャ」と呼ぶのは日本だけだそうです。

(2010年5月26日)

追加記事

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに、「ビートルズ」のメンバーの髪型を専門に扱う理髪店がある。ファンの男性がビートルズに憧れて始めたビジネスだが、今では海外からわざわざ訪れる人もいるという。
 理髪店を営むジェラルド・ワイスさんは、いつの日かビートルズのメンバーが客として店にやってくる日を夢見て、それまで店内に貼ってあった一般的な理髪店用のポスターをすべてはがし、客が髪型を注文しやすいようにとビートルズメンバーのポスターを店内に貼り、ビートルズスタイルの髪型の宣伝を始めたという。
 ワイスさんがビートルズの音楽と出合ったのは40年前。8歳になる息子の名前は「レノン」で、ワイスさんお気に入りの髪型は、脇の髪が短く後ろの長い、1974年のポール・マッカートニーのスタイルだ。新事業を立ち上げた当初は、ビートルズの髪型が現在でも色あせていないことを客に納得させるのに苦労したというが、今では口コミでブエノスアイレス以外にも評判が広まり、海外からの客も少しずつ訪れるようになった。

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-22461420110801

2011年から40年前は1971年。
解散後にビートルズを知った世代ですね。
(2011年8月1日)

追加記事

 体に毛を生えさせるスイッチを入れる物質を、米エール大学の研究チームがマウスを使った実験で発見した。
 人間の毛髪にも同じ仕組みがあると考えられ、脱毛症治療などへの応用が期待される。
 動物の毛は、毛の元になる「幹細胞」が分裂や変化を繰り返すことで生える。だが、幹細胞が何をきっかけに変化を始めるのかは、わかっていなかった。
 研究チームは、毛根の周りにある「脂肪前駆細胞」に注目。その数を調べたところ、毛が成長する直前に増えていた。脂肪前駆細胞ができないようにマウスの遺伝子を操作すると、毛は成長しなかった。
 さらに脂肪前駆細胞の働きを調べた結果、この細胞が「PDGF」というたんぱく質を作り、PDGFが毛の幹細胞に作用して毛が生え始めることがわかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110925-00000742-yom-sci

早く俺のスイッチを入れてくれ。
(2011年9月26日)

 

森聖二 死去

 森 聖二氏(もり・しょうじ=歌謡グループ「ロス・プリモス」ボーカル)18日午後1時、心不全のため東京都新宿区の病院で死去、70歳。大阪府出身。葬儀・告別式は近親者で行い、後日お別れの会を開く。喪主は妻富美子(とみこ)さん。
 「ジョージ山下とドライボンズ」「森ヨシコとそのグループ」を経て、65年に「黒沢明とロス・プリモス」(80年に「ロス・プリモス」と改名)にボーカルとして加入。66年発表の「ラブユー東京」が大ヒットした。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009101801000456.html

外人に云わせると、男がわざと女性のような発声で女性の立場で女性の気持を歌うというのは理解できないそうです。
確かに英語圏では歌詞を変えてまで歌手自身の「性別」に合わせて歌っている。
ロス・プリモスの歌も女性の立場が多い。リード・ボーカルとしてはそのあたりをどう感じていたのでしょうか。
人が変われば世の中だって変わる。日本人もどんどん変わってってます。
この分じゃムード・コーラスの時代はもう二度と来ないかもしれません。

(左上)シングル『夜霧のインペリアル・ロード』 c/w 『恋のにがさも知りました』 黒沢明とロス・プリモス
イギリスにはインペリアル・ロードという通りが実際にあるそうです。この歌のインペリアル・ロードはジャケット写真に、芸術座、千代田劇場(=日比谷映画劇場)、みゆき座、スカラ座、東宝演芸場のネオンサインがあることから、日比谷の三信ビル~旧東宝本社ビル~帝国ホテルの筋を指していると考えられます。すなわち小林一三が築き上げた夢の砦。あるいはまた『東京の屋根の下』で歌われる「恋のプロムナード」の一部分、とも解せるでしょう。