Debbie Reynolds – If I Had A Hammer
デビー・レイノルズ(Debbie Reynolds)が『天使のハンマー(If I Had A Hammer)』を歌ってる映像をYouTubeで見ました。
せっかくのプロテスト・ソングがゴージャス、メロウ、ジャズィなハリウッド式アレンジで通俗化されてるだけでなく、保守的な白人の大人でも違和感なく聞けるくらいにすっかり漂白され無毒化されちゃっている・・・、いわゆる”Soft, Safe & Sanitized”ってやつです。
もちろんデビー・レイノルズが悪いわけじゃないんですが、滑稽なまでにスノッブで、
あたしゃ見ていてどうも居心地が悪い。
当時、世代間のギャップがいかに大きかったか が、よく分かる映像です。
ラテンロック風アレンジでヒットさせたトリニ・ロペスも人気者となった後では、やはり似たようなことになってますね。
メッセージ性の高い歌が大衆化、通俗化されて、いともたやすく骨抜きにされる・・・
これも60年代の一断面には違いないでしょう。
Vikki Carr & Trini Lopez – If I Had A Hammer
以下の音と映像は、フォークソングからモダンフォークへの橋渡しとなったフーテナニー(フォークソングを歌手と観客が一緒に歌うような催し。フォーク・ジャンボリー)の雰囲気をよく伝えています。
ピート・シーガーの歌いっぷりはかなり素朴ですね。田舎の気のいいおじさんといった風情です。
作者・創唱者必ずしも最適なる表現者に非ずといったところでしょうか。

(上)FOLKWAYレコードのオムニバスLP『HOOTENANNY TONIGHT !』1959年。歌詞カードが入っていてピート・シーガーが一文を寄せています。
このLP、ジャケットのローカルな雰囲気もさることながら、白人の若い男女が黒人とにこやかに話しているイラストが注目されます。フーテナニーのお客はほとんどが白人でしたが出演者では黒人も珍しくはなかったようです。そのへんが差別撤廃運動へと結びつく“下地”となったのかもしれません。
トラディショナル・ソングやフォーク・ソングは1953、4年ごろから、ちょうどロックンロールの流行と並行するように、徐々に若者たちに浸透していきました。中にはボブ・ディランのようにロックンロールもフォークも両方好きだという若者も少なからずいたことでしょう。
同じころイギリスではスキッフル・ブームが始まっていましたし、日本でもうたごえ喫茶や民謡酒場が流行り、その一方で(1957年暮から)ロカビリーが人気となっていました。米・英・日で同じようなことが起きていたわけです。
ニューヨークやサンフランシスコなどの都会では、やがてフォーク・ソングを専門に聴かせるカフェが出現し、モダン・フォークの揺籃(ゆりかご)となりました。
素朴でおとなしいムードだったフーテナニーは、数年を経ずして緊張感の漂う公民権運動や反戦の集会に変貌し、より先鋭的なプロテストソングが歌われるようになります。そうした急激な変化が、いかにも“60年代”です。
- Peter, Paul and Mary – If I Had A Hammer
- Peter, Paul & Mary – If I Had A Hammer
- Trini Lopez – If I Had A Hammer
- Sam Cooke – If I Had A Hammer
- Aretha Franklin – If I Had A Hammer
- Joe Gibbs – If I Had A Hammer
- Five Blind Boys Of Alabama – If I had A Hammer
以下、スノッブでイケてないと思う『天使のハンマー』。
- ブラザース・フォー – 天使のハンマー
- The Seekers – If I Had A Hammer
- Rita Pavone – Datemi Un Martello(1963)
- Johnny B Great – If I Had A Hammer(1964)
- Bobby Rydell – If I Had A Hammer(1964)
- The Coasters – If I Had A Hammer
- Laila Kinnunen – If I Had A Hammer
- The Illusions – If I Had A Hammer
- Ace Cannon – If I Had A Hammer
- The Caravans – If I Had a Hammer(1969)
- Wanda Jackson – If I Had A Hammer
雪村いづみもビクターで『天使のハンマー』の日本語版を吹き込んでます。
この方のその後の“回心”を予言してるようなテイクで、私は畠山みどりの『教訓』(加川良のカバー)くらい面白いと思いました。