喩えていえばアルゼンチン・タンゴに対するコンチネンタル・タンゴのような存在、それがフィリー・サウンド(フィラデルフィア・ソウル)です。
楽理に精通したエンタテイメント産業のプロたちが、大衆を夢中にさせるソウル・ミュージックとはどういうものかを考えて作り上げたもので、実際、かつてのツイスト・ブームのように、世界中を席巻したサウンドでした。
そしてそれはファンクとともにディスコ・ミュージックの中核となりました。
ありていに云えばディスコ(ディスコテーク)は、ミラーボールのきらめきの下で誰しもが気楽に踊れる最新式のダンスホール以外の何ものでもありませんでしたが、それに相応しいダンスと音楽を得たことで、国境を越え世代を越え、津々浦々にまで広まっていきました。
1970年代初期から中期にかけてのことです。
そのサウンドの萌芽はディスコ・ブームの数年前にすでに認めることができます。
例えばこういうもの。
Archie Bell & The Drells – Tighten Up
The Soul Survivors – Expressway to Your Heart(1967)
60年代がモータウンの時代だとすれば、70年代はソングライターチーム ケネス・ギャンブル(Kenneth Gamble)とレオン・ハフ(Leon Huff)によって創立されたフィラデルフィア・インターナショナルの時代だったといえるでしょう。
その特徴を挙げれば、スムーズ、メロウ、ビューティフル。そしてPOP度の高さ。時にストリングスを多用するオーケストレーション。
単調になりがちなディスコ的リズムはむしろフォロワーたちが濫用したというべきでしょう。なにしろ猫もしゃくしもディスコ調という時代でしたから。
彼らの仕事をまとめたYouTubeの再生リスト
フィリー・サウンドの主要アーチスト
サザン・ソウルの牙城スタックス・レコードで活躍したアイザック・ヘイズ。
その音楽はフィリー・サウンドに大きな影響を与えている、と思われます。
1972年以降は私の領分ではありませんので(笑)、以下ディスコ・ブームの主役たちのむかしの音を引用しておきましょう。
◆フィリー・サウンド以前のオージェイズ
The O’Jays – Lonely Drifter
The O’Jays – Deeper
◆フィリー・サウンド以前のスリー・ディグリーズ(ルーレット・レコード時代)
Three Degrees – Collage
Roulette R-7079 Mono
◆フィリー・サウンド以前のバイブレーションズ
The Vibrations – Dancing Danny(1963)
The Vibrations – The Watusi(1961)
The Marathons – Peanut Butter(1961)
(aka the Vibrations)