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お名前ソング、追悼ソング (3終)

さて、別の記事で前にも書きましたが、古今東西、人の名がタイトルに付く歌は数え切れません。

オー・スザンナ、金髪のジェニー、オールド・ブラック・ジョー、ジョニーが凱旋するとき(ジョニーが帰るとき、ジョニーの凱旋)、愛しのクレメンタイン、ビル・ベイリー、ダイナ、ルイーズ、ライザ、セント・ジェームス病院、リリー・マルレーン、匕首マッキー、マリア・マリ、マリアンヌ、キャルドニア、浮気なパトリシア、いとしのシンディ、幸福なジョー、星影のステラ、アイ・ラブ・ユー・ポーギー、ジョーンズ嬢に会ったかい?、アンナ、イザベル、ジザベル、ルシール(ルシヤ)、のっぽのサリー、悲しきサリー、ジェニ・ジェニ(いとしのジェニー)、いとしきジニー、ワーク・ウィズ・ミー・アニー、ダンス・ウィズ・ミー・ヘンリー、ジョン・ヘンリー、ディジィー・ミス・リジィー、ロウディ・ミス・クロウディ(クローディーおばさん)、フランキー・アンド・ジョニー、スタッガ・リー、ミスター・リー、バーバラ・アン、タミー、アンジェリータ、怪漢チャーリー・ブラウン、早撃ちジョーンズ、スージーちゃん起きなさい(起きろよスージー)、スージーQ、スージー・ダーリン、トゥラ・ラ・ラ・ラ・スージー、悲しきスージー、ビー・バップ・ア・ルーラ、ダイアナ、想い出のダイアナ、ドナ、ドミニク、ローラに好きだと言ってくれ、愛してるよローラ、忘れじのローラ、いとしのリンダ、いとしのリンダ・リー、いとしのコリーナ、いとしきレイナ、トム・ドゥーリー、ハロー・ドーリー、ハロー・メリー・ルー、メリー・ルー、エミリー、エミリー・エミリー、マリア、グッドバイ ジミー グッドバイ、バイ・バイ・バーディー、おゝ!キャロル、オー・ニール、ジョニー・ダーリン、内気なジョニー、夏の日のジョニー、悲しいジョニーズ・シャドウ、オネスト・ジョン、ボビーに首ったけ、すてきなボビー、すてきなバレリ、プレイボーイ ボビー、ボビーが帰ってくるまでは、星影のベティー、ヘイ・ポーラ、その名はモニャ、ジムに恋して、エマの面影、愛しのロジータ、メリーよ,漕ぎ出せ、可愛いマリー、今夜はマリーと、マリーは恋人、まじめなジュリー、愛しのラナ、シェリーのラブレター、シェリー、ジェリー、キャッシーズ・クラウン、ミスター・カーター、旅立てジャック(元気出せジャック)、スーという名の少年、カレン、ミッシェル、レディ・マドンナ、リロイ・ブラウンは悪い奴、ミセス・ブラウンのお嬢さん、ミセス・ロビンソン、ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ、キャロライン、キャロライン・ノー、スイート・キャロライン、パメラ・ジーン、ジンジ、ジェラルディン、デニス、ジュディ、ジュディ―・ジュディ―、アルフィー、マギー、マギー・メイ、ミー・アンド・ボビー・マギー、ミー・アンド・ミセス・ジョーン、ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高)、プア・オールド・ジョニー、プラウド・メアリー、風の中のメアリー、フランク・ミルズ、アグネス・イングリッシュ、ヘイ・ジョー、ヘイ・ジュード、ジュディーのごまかし、いとしのジュリー、いとしのセシリア、いとしのアンジー、シーモンの涙、ナオミの夢、京子ちゃん心配しないで、サイモン・セッズ、トレイシー、デライラ、エレノア、フランシーヌ、カトリーヌ、恋するキャンディダ、シェリーに口づけ、いとしのローズマリー、笑って!ローズ・マリーちゃん、ローズ、パーリー・スペンサーの日々、マイ・シャローナ、ロクサーヌ、緑の風のアニー、ダニーの歌、ビリー・ジョーの歌、ビリーの別れ道、フレディの死、ミスター・グーダー、ブラザー・ルイ、悲しみのアンジー、アンジー・ベイビー、ビリー・ジーン、恋するニコラ、恋するチャック・・・・
どうです? お名前ソングこそは楽曲の一大派閥といえるんじゃないでしょうかね。
中には名前で遊んじゃおうっていう歌まであるくらいですから。

Shirley Ellis – The Name Game(1964)

(上)シャーリー・エリスのLP『THE NAME GAME』。
SHIRLEY —> BIRLEY —> FIRLEY —> MIRLEY
というふうに、名前の最初の音(おん)をB、F、Mなどに替えていくという一種の言葉遊びの歌で、1964年12月、ブロンクス出身のシャーリー・エリスが大ヒットさせました。
上のジャケット写真では歌手名SHIRLEY ELLISの下にThe Nitty Gritty Girlという説明が入ってます。それはこの人が1963年10月に『The Nitty Gritty』を、64年2月に『That’s What The Nitty Gritty Is』を歌い、中ヒットさせているからなんですけど、
ではNitty Grittyとは何ぞやというと、辞書によるとnittyは「しらみの卵の多い」、grittyは「砂利の入っている、砂のような」あるいは「意志の強い、勇気のある」とあり、
また私の愛読書である坂下昇先生の『現代米語コーパス辞典』ではnittyは「ごたごた」、grittyは「ごつごつした事情」で、nitty-grittyは「問題の核心」となっていて、ニューヨーク・タイムズ紙が1970年代に作った新語だと書いてあります。
新聞社の造語説はハテナマークですが、とりあえず英語圏ではthe heart of the matter(問題の核心)、the basic essentials(基本的な要点)、the harsh realities(厳しい現実)という理解のようです。
ニューヨーク下町の黒人が60年代初期にスラングとして使ってたときにはまた少し違った意味だったのかもしれません。
『The Nitty Gritty』はグラディス・ナイト&ザ・ピップスのカバーも当時ヒットしました。『The Name Game』のほうもシャーリー・エリスの自己宣伝色が強かったにも関わらず、いろんな人がカバーして、今だに人気の曲です。

<参考>
Hayley Mills – Johnny Jingo(1962)ジョニー・ジンゴ
jingo は一般に「好戦的愛国主義者」「右翼」と解されますが、この歌では「熱血漢」「元気」程度の意味合い。韻を踏んで出てくる男性名は
Billy, Willy, Ricky, Dickey, Eddie, Freddie
Johnny のキスに較べれば彼らはメじゃない(ジョニーは人後に落ちぬ 笑)と無邪気に歌ってます。

自己宣伝ということでいえば、「伊代はまだ16だから」がいけないんなら、エディー・ケンドリックスの『Eddie’s Love』だってダメだろうし、『ひばりのマドロスさん』、『美智也マドロス』、『浩吉マドロス』、『若ちゃんマドロス』、『峰子のマドロスさん』、『アキラのチンチロリン』、『コクランのズンタ・タッタ』、『ひばり音頭』、『はるみの三度笠』、『圭子の夢は夜ひらく』、『サザンクロスのサンパ北海盆唄』、『ロス・プリモスのディスコおてもやん』、『私は里歌ちゃん』、『立見の青春』だってまずいでしょう。ボ・ディドリーの『ボ・ディドリー』、ディーン&ジーンが歌う『ヘイ・ジーン・ヘイ・ディーン』なんかもってのほかのはず。
モダンジャズにだって『ブルー・モンク』『バーニーズ・チューン』みたいにたくさんある。そのへんの基準がよく分りませんね、あの某国営放送は。

Dean and Jean – Hey Jean, Hey Dean(Let’s Have A Party)(1964/01)

Pop Chart Peaks: Billboard 32, Music Vendor 35, Cash Box 62
This follow-up release to “Tra La La La Suzy” was the duo’s second and final national top-40 hit.

Chaka Khan – I Feel For You(1984)
冒頭、「チャカチャカチャカ…、チャカ・カーン…」の声。

三木道三という名前がやたらに出てくる三木道三の『道三スタイル’01』を聴いて私は、二木二木二木二木 二木の菓子、ミキミキミ~キ幹てつや、を思い出しました。

むかしの武将は頼まれもしないのに自分の氏素性を名乗ってましたよ。
蒙古襲来のとき、日本の武将が戦場(いくさば)の作法に則って、
「ヤャヤァ遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ、我こそは何々天皇九代の後胤にして清和源氏のどうたらこうたら…」
と名乗りを始めたら敵兵の『てつほう』が一斉に火を吹いた、なんていう笑えない話があります。
「遠からん者は音羽屋に聞け、近くば寄って目にも三升の寛闊出立(かんかついでたち)、今流行の白柄組(しらつかぐみ)、通い曲輪(くるわ)の大門を、入れば忽ち極楽浄土、虚空に花の舞いわたり」
と名乗りのパロディで科白を渡すのは不破伴左衛門。歌舞伎『浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま)』通称『鞘当』『御存鈴ヶ森』の名場面です。寛闊出立とは派手で大振りなファッションという意味だそうです。
「問われて名乗るもおこがましいが」(『弁天娘女男白浪』、通称『白浪五人男』)のあの名場面のように、自己紹介が芸(見せ場)になるというのはちょっと不思議です。これが博徒・侠客(きょうかく)・的屋(てきや)などが各地の元締めや親分衆に挨拶する(仁義を切る)ときの一種の口上につながる経緯があるのかどうかは知りませんが、
そういった形式的な自己紹介は「人呼んでフーテンの寅と発します」あたりが最後でしょう。
今じゃ「ネットでプロフィール見てください」ですからネ。

「やぁお元気ですか」と声をかけられ、相手の名前が思い出せないで焦った、なんてことありませんか?
後宮春樹みたくスマートに名を尋ねりゃいンだろうけど、こちとら二枚目ってガラじゃねぇし?
だからといって「猪口才な小僧め、名を、名をなのれ!」と脅かしつけるわけにもまいりませんよ。
だったら歌に乗せて、リズムに乗せて、ご芳名を伺っちゃう、てェのはどうでしょう?
もちろんそれは『デビルマンのうた』でも『ガッチャマンの歌』でもありません。
(下左)あんたのおなまえ何ァんてェの/トニー谷
(下右)あんた誰?/谷啓 (コンパクト盤)


(上左)とん平のヘイ・ユウ・ブルース/左とん平
(上右)カンニングのヘイ・ユウ・ブルース/カンニング(2004)

ヘイユー・ワッチャネーム?と問いかけ続けるヘイ・ユウ・ブルース。カンニング盤の編曲はなんとあのバンバンバザールでした。
 あんた誰?/スチャダラパー
は、谷啓の『あんた誰?』の現代版ですね。
 あなたは誰ぁれ/千賀かほる (1970/01)
は夢に出てくる男性についての歌で、誰ったって、夢なんだから名前なんかありゃしない。
 せめてお名前を/ロスプリモス(1974/02)
となると、これはシチュエーションが分からない。行きずりの一見客とホステスなのか・・・こっちだって知らない相手に個人情報は教えられまセン。
相手の名前も正体も分らないというのは、それが敵(ストーカーとか宇宙人とか)である場合はこれほど恐いものはないですね。

誰?と訊く歌では、ダイナ・ショア、シナトラ、エロール・ガーナー、ベン・ウェブスター、ラッキー・トンプソンなどの名唱・名演奏で知られるスタンダード・ナンバーの『フー?』を忘れちゃっちゃいけません。ほかには、そうですね、渋いところでドン&ジュアンの『ワッツ・ユア・ネーム?』なんかどうでしょう。このタイトルには同名異曲がたくさんあります。

Gary Crosby – Who(1962)

George Olsen and His Music – Who(1925)
vocal: Fran Frey, Bob Rice & Jack Fulton

It was this hot-selling 78 that shot Olsen to national fame in early 1926. The band performed “Who” on Broadway in accompaniment to the hit stage musical “Sunny,” which ran for 517 performances, starred Marilyn Miller, and was the first collaboration of Jerome Kern and Oscar Hammerstein II. The “Sunny” title song was on the Olsen flip side

知らない人を誰何(すいか)するのは気が引けるといういう場合、あてずっぽうで呼んでみるという、よく考えると効率の悪い確認法もありえます。それを歌にしたのが坂本九、ダニー飯田とパラダイス・キングのヒット曲『あの娘の名前はなんてんかな』でした。
歌詞の中でいろんな女性名(愛称)が出てきます。当時多かった名前ばかりですね。逆に、いま新生児にそうした名前をつける親はまずいないんじゃないかと思われるものばかりです。
1970年の平山三紀『ビューティフル・ヨコハマ』に出てくる遊び仲間の名前はミツオ、サダオ、ジロー、ジョージ、ハルオ、ゼンタ、とも子。ゼンタは善太でしょうか。団塊世代の日本人名としてはジョージ以外はいかにもいそうです。あるいは横浜ということでジョージの父はアメリカ人、母は日本人なのかもしれません。

これはどうでしょう? NHK教育テレビ『おかあさんといっしょ』の人気曲のひとつ『きみのなまえ』。CD化してるバージョンには

きみのなまえ/神崎ゆう子、坂田おさむ、天野勝弘
きみのなまえ/速水けんたろう、茂森あゆみ、佐藤弘道、松野ちか
きみのなまえ(替え歌)/古今亭志ん輔、速水けんたろう、茂森あゆみ

があるようです。
この歌は、歌のおねえさん・体操のおにいさんが子供たちの名を、子供たちが歌のおねえさん・体操のおにいさんの名を互いに呼び合うという、いわば日本型コール&レスポンスで、まぁ要するに名前を呼ばれたら元気に大きな声でお返事をしましょうってことですね。
SMAP に『CRAZY FIVE』(2012)という曲がありまして、これはラップとコール&レスポンスでメンバー紹介をするという趣向になっており、ライブでは定番だったようです。

名前を呼んだり呼ばれたりするとき、互いの関係性が重要になってきます。

君の名前/熊木杏里
君の名前を呼んだ後に/槇原敬之
君の名前呼ぶだけで/菅崎茜

ドラマ『寺内貫太郎一家』で悠木千帆(樹木希林)演じる“きん婆さん”が毎回ポスターを見つめ、ついには感極まって発する「ジュリ~~ッ」。
あれは周りに誰もいないという前提ですが、その激情の独白は、映画『青い山脈』のラストで海に向って「俺は新子さんが好きだー」「私も六助さんが好きだー」と叫ぶ、あれと本質的に同じものですね。

自分の名が呼ばれるときは、できれば良い関係性の中で呼ばれたい。
みなさんは裁判官から人定質問をされたことがありますか? 私はあります。
法廷において自分の名を訊かれてその名を口にするということは自分が当該人物であると認めたことになるんですね。それくらい名乗りというのは大事なんです。
みなさんはいきなり面と向って「そこのメガネのあなた」と呼ばれたことはありますか? 私はあります。
実に失礼な奴もいたものです。社会常識のカケラもない。でもそういう人はけっこういるんですよ。

監獄では番号で呼ばれ、番号で名乗るとか。これは世界共通のようです。
ここで持ち出すのもなんですが、サトウハチロー作詞、中田喜直作曲の『とんとんともだち』という童謡は、数え歌のように「一ちゃん」から「きゅうどん」まで順に名前(?)を呼んでいく歌でした。これは『きみのなまえ』と違って一方的に呼ぶだけ。しかもその名がひとクラス9人のある意味“序列”になってるような呼び方で、一人が叱られたら全員で謝るという、戦前風の連帯責任論になってます。

人を呼ぶのに明治時代の巡査は「おいこら」といったそうです。泉鏡花の『夜行巡査』でも「おいこら」です。しかも相手の身分・職業によって使い分けていたらしい。実にいやらしい根性です。
当時もそうでしょうけど、今も警官や機動隊員は規則はどうであれ、けっして名乗りません。役職も言わないし、ふつうは名刺も出さない。こちらが認識番号を尋ねると激昂することが多い。それなのにこちらが黙っていると「おいおいおまえ黙秘する気か」と権力を笠に着て敵意をむき出しにする。これもほとんどの国でそうなんでしょう。

あれは何の映画だったでしょうか。田舎から出てきた夫の婚外子の娘に、正妻が「○子だなんて偉そうな名前だね、呼びにくいから今日からお前はおさと、女中のおさとだよ、いいねッ」みたいなことを言って、勝手に名前を付け替え“女中扱い”を宣言するシーンがありました。
私にも似たような経験が2度あります。
むかし撮影所の上司が、私の姓が呼びにくい(発音しにくい?)などとして一方的に「タキ」と呼んだことがありました。いまひとつは、某出版社の編集者に、正式に依頼されて書いた原稿であるにもかかわらず筆者名を無断で本名にされそうになったことがあった。
いずれも私の意思を無視して名前を変えようと試みた事例です。
名を奪われる人、名を匿(かく)す人、名を変えられそうになる人、いろいろです。

「よばれてとびでて」のハクション大魔王は名を呼ばれるわけじゃない。ありゃクシャミですよね。大魔王にはジンという名前があるから「ハクション」は名前じゃない。とすれば実際は呼ばれたわけじゃないから、クシャミの音で飛び出るという生理的反応・有機的システムなのか、なにかの呪いか、それこそが魔法なのか。
水戸黄門で何度使われたか知れない「あれ?誰か噂してやがら」「なんだ風邪か」は、結果がクシャミですから順序が逆になります。

クシャミで思い出しましたが「吾輩は猫である。名前はまだ無い」で始まる漱石の処女小説。己を猫と自覚し、人間を観察する知性がありながら、自分で自分に名をつけ、名乗ろうとはしません。猫は飼い主に名をつけてもらうのが当り前と思っているのか、ニャーとしか鳴かないから名乗る必要すらないと考えているのか。
いや、車屋の『黒』や御師匠さんの所(とこ)の『三毛子』らと(おそらく猫語で)会話をしているし、「名前はまだつけてくれないが、欲をいっても際限がないから生涯この教師の家(うち)で無名の猫で終るつもりだ」などと独白してるから、やはり名前は欲しいのでしょう。

Paul Whiteman and his Orchestra – What’s The Name Of That Song(1936)
vocal: John Hauser

Joel Whitburn “Pop Memories”-charted track, not elsewhere on YouTube as of this posting. A #5 “Hit Parade” tune

Elton John – This Song Has No Title(1973)こんな歌にタイトルはいらない

1972年、全米チャートNo.1に輝いた曲でアメリカというグループの『名前のない馬(A Horse With No Name)』(上左)という、地味で盛り上がらないのがありました。野生動物には当然、名前はないですし、家畜でも十把一絡げで飼育されてるような場合は認識番号すらついてないこともあります。
馬は馬でも競走馬には変な名前が多いですね。『ドゥーワップ』とか『オレハマッテルゼ』『カミサンコワイ』『アッチッチ』……。

これが宇宙空間に輝く星となると、生物の学名と同じように発見者が命名できるということで、天文ファンの間で熾烈な闘いがあったりしますが、さすがにアッチッチという星はまだ無いみたいです。

家畜やコンパニオン動物に名前があっても、植物ではちょっと考えられません。よほどの変人か、銘木・古木、高価な盆栽ででもない限りは、品種名で呼ぶのが普通です。
橋幸夫が1967年、折からのフォークブームに乗じて出したフォーク調歌謡曲『名なし草』(上右)の「草」は、ですから自分たちは雑草のような名もなき庶人だという喩えでして、昔風に云えば民草(たみぐさ)、官に対する民間=草莽(そうもう=草むら)に在る無名の者として生涯を終える覚悟というか見通しを歌っております。これは私は、「15分間は誰でも有名になれる」と言ったアンディ・ウォーホールの軽ろみとは正反対の、いかにも当時の日本人らしい「縮み志向」で、てんでつまらない心構えだと思います。まだ明治時代の立身出世(身を立て 名をあげ やよ励めよ)のほうがマシでしょう。
なんですか、また話が脱線したようです。

これは私の持論ですがね、出生時 役所に届け出る名前は本当の名前じゃない。あんなもんは管理コードの属性の一つでしかありません。もちろん親の希(ねが)いとか気持ちが籠められてることは確かでしょう。でもしょせんは幼名です。
本当の名は元服時に自分で名乗るものであって、与えられた名前じゃない。自分の責任において自分にふさわしい名前を自分で決めるんです。自分が何者であるかを悟り、今後どうあるべきかを考えれば、名乗るべき名はおのずと決まるでしょう。昔の人はそうやってたんです。
自分で自分の名を決められるのは人間だけです。我々は人間なんです。名前を考えましょう。
これ、今回の結論かな?(※筆者と閲覧者はここで互いに失笑)

えー、じゃ最後に、お名前ソングの王道をいく楽曲をいくつか挙げまして、今日のとこはおひらきってことで。




加代ちゃん/田端義夫
お加代ちゃん/松村和子
じれったい加代ちゃん/川路英夫
笑顔だよお加代ちゃん/守屋浩
ミヨちゃん/平尾昌章
リカちゃん/平尾昌章
花子さん/山下敬二郎
看板娘の花子さん/曽根史郎
お花ちゃん/三橋美智也、斉藤京子
お菊ちゃん/小桜姉妹
咲子さんちょっと/江利チエミ
おケイちゃん/春日八郎
おみっちゃん/ショニー・シンバル
おきんちゃん/藤野とし恵
ひとみちゃん/神戸一郎
さなえちゃん/古井戸
アッコちゃん/水木誠
アコちゃん/フランク永井
ちえさん/園まり
京子/ザ・モップス
京子ちゃん/ガガガSP
涙のペケ子ちゃん/東京ぼん太
泣くんじゃないルミ/バーブ佐竹
留子ちゃんたら/ごまのはえ
ごめんねチコちゃん/三田明
ごめんね Yuji/キム・ヂョンチャン、深谷次郎・夏樹陽子
ごめんネ……ジロー/奥村チヨ
今さらジロー/小柳ルミ子
次郎ちゃん/仲宗根美樹
次郎さん待ってます/鈴木三重子
タローちゃん/菅原昭子
たろうの初恋/新沼謙治
走れコウタロー/ソルティー・シュガー
夜霧に消えたチャコ/フランク永井
ゴロちゃん/鈴木蘭々
ケンちゃん/HIGHEAW61
ケンを愛さないで/浅野ゆう子
帰らなかったケーン/テンプターズ
銀ちゃんのラブレター/PIZZICATO FIVE
サチオ君/いしだ・あゆみ
山口さんちのツトム君/川橋啓史(NHK東京児童合唱団)
ひろし君の世界/奈良富士子
ヒロシの想い出/浅田美代子
そんなヒロシに騙されて/ジューシィ・フルーツ
ハチのムサシは死んだのさ/平田隆夫とセルスターズ
なァ八ちゃん/春日八郎
おーい中村君/若原一郎
アイヨ何だい三郎君/若原一郎
青島だァー/青島幸男
どうもどうもサトーさん/美唄五郎
あれからどうした中村君/若原一郎
田中君じゃないか/かぐや姫
斉藤君の場合/ウラニーノ
とおる君/布施明
がんばれ、タカハシ!/BAKUFU-SLUMP
24,000回のタカシ/竹中直人
与作/北島三郎
ヘイ!ミスター・ヨサク/パラクーダ
安奈/甲斐バンド
アンジェリーナ/矢沢永吉
さよならアンジェリーナ/堂本剛
リーナ泣くなよ/曽根史郎
気ままなジーナ/松尾ジーナ
霧の中のミーナ/レイコとミツコ
奈々子の歌/松島詩子
ナナ/克美しげる
ナナと言う女/美川憲一
恋しいユリコ/佐川ミツオ
いとしのマックス/荒木一郎
いとしのジザベル/ザ・ゴールデン・カップス
愛するノーラへ/西郷輝彦
恋人ジュリー/三田明
オリビアの調べ/フォーリーブス
セシリア・Bの片思い/山瀬まみ
ジュリアに傷心(ハートブレイク)/チェッカーズ
リンダ/アン・ルイス
リンダリンダ/THE BLUE HEARTS
白馬のルンナ/内藤洋子
ローラに逢いたい/叶修二
傷だらけのローラ/西城秀樹
踊り子ロージー/松崎しげる
夢見るアニー/水野きみこ
僕のマリー/ザ・タイガース
五番街のマリーへ/ペドロ&カプリシャス
マリアの泉/ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
マリちゃんたらマリちゃん/ザ・エコーズ
マリアンヌ/千賀かほる
あなたのリリー・マルレーン/平山洋子
OK!マリアンヌ/ビートたけし
ミドリーヌ/ビリー・バンバン
イワン・イワノヰッチ・イワノフさんとイワン・イワノヰッチ・イワノフさん/伊藤久男、伴久美子
ジョニィへの伝言/ペドロ&カプリシャス
硝子のジョニー/アイ・ジョージ
さすらいのジョニー/加奈まゆみ
恋するまゆみ/ザ・ジャガーズ
摩耶子よ/鶴岡雅義と東京ロマンチカ
波乗りジョニー/桑田佳祐
ジョニーの子守唄/アリス
淋しいジェニー/491(フォー・ナイン・エース)
みんな好きだよジェニー/紀南あきら
ジュリアン/PRINCESS PRINCESS
メリー・ジェーン/つのだ★ひろ
ケンとメリー~愛と風のように~/バズ
大きな春子ちゃん/RCサクセション
夏子の季節/舟木一夫
夏色のナンシー/早見 優
星空の秋子/氷川きよし
お秋という女/村田英雄
冬子という女/フランク永井
冬子のブルース/黒沢明とロス・プリモス
冬子のブルース/安井千代美
冬子のブルース/増位山太志郎
さようならアイコさん/フランク永井
港のおりくさん/若原一郎
おゆき/内藤国雄
ユキコの灯/仲宗根美樹、ボニー・ジャックス
由紀子はいつも/奈良光枝
由美子はいない/ジャックス
優美子の春/友川かずき
露子に逢いたい/石原裕次郎
露子の手紙/石原裕次郎
可哀そうな露子/石原裕次郎
霧子のタンゴ/フランク永井
けい子のマンボ/殿さまキングス
紅子のバラード/アイ・ジョージ
ケメ子の歌/ザ・ダーツ、ザ・ジャイアンツ、平凡パンチ(高田純次)
純子の涙/美川憲一
純子/小林旭
順子/長渕剛
順子/やしきたかじん
光子/風見保
圭子/三島敏夫
江梨子/橋幸夫
志津子/島和彦
亜紀子/小林繁
今日子/橋幸夫
YASUKOの場合/佐良直美
SACHIKO/ばんばひろふみ
サチコ/ニック・ニューサ
小夜子/本郷直樹
と・も・子/吉幾三
ナナと云う女/美川憲一
洋子の赤い傘/敏いとうとハッピー&ブルー
そんな夕子に惚れました/増位山太志郎
誰か夕子を知らないか/増位山太志郎
ゆうこ/村下孝蔵
ゆうこ/若原りょう



もうこれは、きりがない
◆    ◆    ◆

唯名主義というものがあります。
本質よりもその比喩・記号を、「体」より「名」を有り難がる、ある種の倒錯的心理といえましょう。
観測不能で「信じる」しかない神や仏や宇宙の真理などについては、まさに唯名主義者の独壇場です。
あたしゃ呼べば答える山のこだまのほうがよっぽど有難いですがね。マ、こりゃ余談です。

追加記事

これは笑えます。
(2010年2月15日)

追加記事

要するに、言葉がそのものの本質を表しているのか、(似ているだけで)本質とは関係なく言葉を使うかという言語哲学上の問題となっています。現在の論理学では、名前をあるものに与えたらその言葉はそのものの本質を表す、或いは大前提として周知の事実としているかです。ですからクオーク等一定の時間に、一定の場所に、一定の確率で存在すると言うややこしいものも、クオークと名前を付け、そのように言ったら皆納得すると言うことになります。

名前が本質を表さないと考えているのがユダヤ民族で、本当の言葉は神から貰った十戒の石版をモーセが叩き割ってしまったため、ちりじりになって今でも天を支えているとのことです。今存在する言葉はモーセが書き直したものなので、神から授かった本当の言葉ではないとしていると。
このような方々には隠喩は通じないでしょうね。

<メタファー – 哲学 – 教えて!goo より一部引用>
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3551573.html

名前はふつう文字とその読み、あるいはおん、もしくは音の組み合わせですね。
もし人間の発声でない読みや音で表される名前だとしたら、ワイドショーのピー音の入るインタビューみたいになってしまいます(笑)
犬笛のように人間に聞こえない音、赤外線のように人間に見えない波長で示される名前なら、人間はその名を認識できません。
要するに我々が使っている名前・名称は便宜的な記号でしかないのです。
人間の感覚器官、脳の理解は極めて限定的で、「本質」なるものを直に感じることは不可能なんです。
出来たと思った人はちょっとアブナイ人ですね。
(2013年1月16日)

追加記事

永遠のザ・フォーク・クルセダーズ ~若い加藤和彦のように~1回目(1:00:04)

ザ・フォーク・クルセダーズ
若い加藤和彦のように
発売日 : 2013/03/30
商品番号 : TOCT-29142
加藤和彦氏が亡くなって3年。彼への追悼の意を深くこめた、新たなる『フォークル』によるトリビュート・アルバム!
加藤和彦追悼企画として、盟友・北山修と、2000年代よりフォークルのメンバーとして加わった坂崎幸之助がふたたび集結!

フォークルから、加藤和彦ソロの名曲までカバーするとともに、加藤のボーカルによる未発表曲、70年代の加藤の筆による未発表曲に新たに北山が歌詞をつけた表題曲など、トピック満載の全14曲からなる、第四次フォークルのニューアルバム。特に、「イムジン河」はライブで好評だったパトリック・ヌジェのフランス語を織り込んだバージョンとなり、大きな話題となること間違いなし!

■プロデュース:ザ・フォーク・クルセダーズ(きたやまおさむ、坂崎幸之助&加藤和彦)
■全曲歌唱:ザ・フォーク・クルセダーズ(きたやまおさむ、坂崎幸之助&加藤和彦)
■ゲスト・ボーカル:Patrick Nugier、松山猛(10.「イムジン河」)
■全編曲:坂崎幸之助 (13.「手と手 手と手」のみ加藤和彦)
■メンバー3名による「お笑い三者対談」掲載
収録内容

01. 花の香りに
02. 悲しくてやりきれない
03. 雨の糸
04. コブのない駱駝
05. オーブル街
06. 家をつくるなら
07. 魔法にかかった朝
08. アーサーのブティック
09. 僕のオモチャ箱
10. イムジン河
11. 若い加藤和彦のように
12. 人生という劇場
13. 手と手 手と手
14. あの素晴らしい愛をもう一度

http://shop.emimusic.jp/shop/g/gTOCT-29142/

第4次フォークルとなるのだそうだ。
『若い加藤和彦のように』
いい曲だなぁ……大いに気に入りました。思わず歌いたくなる。

(2013年4月1日)

追加記事

(2018年11月8日)

お名前ソング、追悼ソング (2)

Ain’t That Just Like A Woman(They’ll Do It Every Time)/Louis Jordan and His Tympany Five(1946)
イントロのギターがチャック・ベリーっぽいこの歌には Adam, Eve, Samson, Delilah, Nero, Marie Antoinette の名が出てきます。架空の人物と歴史的人物がシームレスで、そこから聖書を歴史の一部とする往時の人々の感覚が観取されます。

では次に、実在した人物の名が使われてる歌で、明らかに追悼ソングではないものを見ていきましょう。
歴史的有名人の名とイメージを借用した例では、

Platon/Martin Dune(1975)
ツタンカーメン/ジンギスカン
Julius Ceasar/Häx Cel
クレオパトラの夢/バド・パウエル
ティーンエイジ・クレオパトラ/トレイシー・デイ
クレオパトラ/フランキー・アヴァロン
シーザーとクレオパトラ/沢リリ子 (MGM『クレオパトラ』主題歌)
クレオパトラの涙/由紀さおり
クレオパトラの涙/シェリー
Cleopatra/Jamie Coe
Cleopatra/The Precisions
Hey,Cleopatra/Lor Crane
Cleopatra’s Needle/Ahab & The Wailers
Cristobal Colón/Alberto Closas & Orquesta Calesita
Christopher Columbus/Andy Kirk and his Twelve Clouds Of Joy
Like Columbus Did/The Reflections
テムジン/ジンギスカン
ジンギスカン/ジンギスカン
成吉思汗/小畑実、吉澤美穂子 (1941 小畑のデビュー曲)
チンギス・ハーン/岡林信康
El Pirata Barbanegra/Alberto Closas & Orquesta Calesita (カリブ海や大西洋の沿岸を荒らしまわったイギリスの海賊「黒髭」)
Mambrú Se Fue A La Guerra/Alberto Closas & Orquesta Calesita (マールバラ公ジョン・チャーチル)
ヘンリー8世君/ハーマンズ・ハーミッツ
レディ・ジェーン/ザ・ローリング・ストーンズ

 (上)狂ったナポレオン, ヒヒ, ハハ……/ナポレオン14世 (ライノのリイシューLP)

ピンクのモーツァルト/松田聖子
アイ・ライク・ショパン/ガゼボ
雨音はショパンの調べ/小林麻美
雨音はショパンの調べ/愛里
SAIHATE HOTEL/稲葉浩志 (ショパン)
シューベルトの恋/青山薫
シューベルト物語/ニッキー
恋は未完成(シューベルト)/一条恵三奈 (ルビとして)
ブラームスはロックがお好き/MIE
弁解ドビュッシー/椎名林檎
ロダンの肖像/弘田三枝子
Casanova/Roy Tierney (ジャコモ・カサノヴァ)
カスパル・ハウザー/ジンギスカン
怪僧ラスプーチン/ボニーM
ジャンヌ・ダルク/キャッツ★アイ
Founding Fathers/Trade Martin (アメリカ合衆国建国の父
酋長ジェロニモ/ジョージ・ジョーンズ
Ballad of Davy Crockett/Fess Parker
Mr. Custer/Larry Verne
The Story Of Jesse James/Jamie Coe
Jessie James/The Swangmen
Jesse James/Chad Carlson
Bad Like Jesse James/John Lee Hooker
Just like Jesse James/Cher
Young Abe Lincoln(Make A Tall, Tall Man)/Johnny Horton
Pretty Boy Floyd/Woody Guthrie
Mark Twain/Harry Belafonte
Mark Twain/The Giant Sunflower
Jack The Ripper/The Elites
The Village Of St. Bernadette/Anne Shelton (フランスの聖女ベルナデッタ・スビルー)
The Village Of St. Bernadette/Andy Williams (米カバー)
Bonaparte’s Retreat/Billy Grammer
Napoleon/Anneke Desender(1969)
ナポレオンの右手のように/工藤たけし
Sink The Bismarck/Johnny Horton (発表時にはスペルのミスで Bismark になっていた)
竜馬がゆく/奥田清、コールアカシヤ
竜馬の恋/村田英雄
ふたりで竜馬をやろうじゃないか/堀内孝雄 with 五木ひろし
坂本龍馬より おりょう/島津亜矢
おりょう恋情話/小野和子
西郷どん/春日八郎
西郷さん今日は/寿賀太郎
おはら西郷さん/こまどり姉妹
三宅伝八郎はよか稚児ざくら/こまどり姉妹 (1962/07 封切『馬上の若武者』に先駆けて同年2月リリースの曲)
ちゃっきり節/ (清水の次郎長)
世界大物節/大川加寿也 (太閤秀吉、渡辺崋山、二宮金次郎、西郷隆盛、板垣退助、ジンギスカン、秦の始皇帝、ナポレオン、釈迦、キリスト、孔子)
世界英雄史/ピンク・レディー (ナポレオン、シーザー、秦の始皇帝、ジンギスカン、アル・カポネ、カメハメハ大王、徳川家康、佐々木小次郎、平清盛、アレキサンダー大王、T・E・ロレンス、バスコ・ダ・ガマ、ジョージ・ワシントン、マハトマ・ガンジー、ロアール・アムンゼン、織田信長、弁慶、霧隠才蔵)
夢みるナイチンゲール /キャッツ★アイ
Capone et sa p’tite Phyllis/Régine
Alcapone Guns Don’t Bark/Dennis Alcapone (歌手名がアルカポネだが当然イメージを借用)
マシン・ガン・ケリー/ジェイムス・テイラー (ラッパーではなくマフィアのほう)
Dillinger Is Back In Town/The Jamaican Survivers (ジョン・デリンジャー)
須磨子の愛/浜道博
The Ballad Of Bonnie & Clyde/Georgie Fame
The Soul Of Bonnie & Clyde/South Central Avenue Municipal Blues Band
Ameila Earhart’s Last Flight/Dickey Lee (アメリア・イアハート)
The Jimmie Rodgers Blues/Elton Britt (ウエスタン・ヨーデルのジミー・ロジャース)
ミスター・ボージャングルス/ニッティ・グリッティ・ダート・バンド (ビル・ “ボージャングルス” ・ロビンソン)
Hollywood 1923/Salvation (ルドルフ・ヴァレンティノ、ビル・ヘイリー)
Épitaphe de Jean Harlow(ジーン・ハーローの墓碑) (フランスの作曲家シャルル ケックランが作った楽曲)
青春の一ページ/高沢順子 (太宰治)
わたしはジャン・コクトーを知っていた/加藤和彦
Carlitos Chaplin/Palito Ortega (チャールズ・チャップリン)
チャップリンに愛をこめて/チューインガム
ロンリー・チャップリン/鈴木聖美 with Rats & Star
Dear Mr. Gable: You Made Me Love You(恋のとりこに)/Judy Garland with Harry Sosnik And His Orchestra (クラーク・ゲーブル)
G-Man Hoover/Gerald Clark And His Calypso(vo. Sir Lancelot) (ジョン・エドガー・フーヴァーFBI長官)
G-Man Hoover/Van Dyke Parks
What a Friend We Have in Hoover/Tom Paxton
拝啓トルーマン大統領/シカゴ
Joltin’ Joe DiMaggio/Les Brown and his Orchestra (ジョー・ディマジオ)
ハリケーン/ボブ・ディラン (ルービン・カーター)
I Wanna Be In Winchell’s Column/Ozzie Nelson and his Orchestra(ウォルター・ウィンチェル)
À Boris Vian/Ginette Letondal (ボリス・ヴィアン)
歌うカウボーイ、ロイ・ロジャース/エルトン・ジョン
ジェイムス・ディーン/イーグルス
てぃーんずぶるーす/原田真二 (ジェームス・ディーン)
HERO ヒーローになる時、それは今/甲斐バンド (ジェームス・ディーン)
“16”/BOΦWY (ジェームス・ディーン)
ジェームス・ディーン/ザ・クロマニヨンズ (タイトルだけで、詞はバンド活動サイコーという主旨)
ジェームス・ディーンみたいな女の子/大沢逸美
ジェームス・ディーンのように/Johnny
ジェームスディーンのように 2002/横浜銀蝿
アンジェリーナ/佐野元春 (ジェームス・ディーン)
TAXI乗りたて/グループ魂 (ジェームス・ディーン)
アメリカかぶれ/郷ひろみ (ジェームス・ディーン、エルビス・プレスリー)
おしえて!エルビス/キャッシー中島 (1975/07)
ゴロワーズを吸ったことがあるかい/かまやつひろし (ジャン・ギャバン、ナポレオン、マリー・アントワネット、ミック・ジャガー)
Dion, My Dion/Donna Prima (「浮気なスー」のディオン)
The Jackie Look/Kris Jensen (ジャクリーン・ケネディ?)
スイート・キャロライン/ニール・ダイアモンド (キャロライン・ケネディ)
The Ballad of Jack Ruby/Ozzie(1975)
Steve Allen/The Emperors(1963)
Betty Page/Blue Devils(1995)
Brigitte Bardot/Jorge Veiga(1960)
東京ベベ/中島そのみ (ブリジット・バルドーの愛称ベベ)
東京モンロー娘/池 真理子
Marilyn/Troy Talton(1962)
マリリン・モンローのバラード/シェナンドア・スリー
風の中の火のように(孤独な歌手、ノーマ・ジーン)/エルトン・ジョン (=「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」)
素顔のままで~ノーマ・ジーンのように/田嶋里香
デイビー・ムーアを殺したのは誰?/ボブ・ディラン
Ian Fleming Theme/The Menn (エレキインスト)
世界の果て ~江戸川乱歩に~/筋肉少女帯
平成パノラマ島綺譚(天知茂に捧ぐ)/Take-on
Era un muchacho que como yo quería ser Beatle o Rolling Stone/Los Steivos

 (上左)マリリン・モンロー ノー・リターン/野坂昭如
バンド讃歌あるいは有名バンドへの言及ではビートルズが一番多いでしょうが別ジャンルということで。ここではストーンズ物を。
しかしバンド物も含めると新撰組、白虎隊、海援隊といった集団名まで出さないとダメかな???
 (上右)ローリング・ストーンズは来なかった/西郷輝彦 (1973/06)

ローリング・ストーンズが鳴ってた/古井戸 (1977/05)
あこがれのローリング・ストーンズ/Brown Sugar (1981/04)
ヤァ!ヤァ!ストーンズがやって来る/ザ・ナンバーワン・バンド (1983/07)
僕が欲しいもの/TRICERATOPS (ローリング・ストーンズ)
マリワナ伯爵/サザンオールスターズ (ローリング・ストーンズ)
臭いものにはフタをしろ!!/森高千里 (ローリング・ストーンズ)
ホンキーマン/ウルフルズ (ミック・ジャガー)
(あこがれのローリング・ストーン/ドクター・フック&ザ・メディスン・ショウ[これは雑誌”Rolling Stone”の表紙に載りたいという歌])
ウディに捧げる歌/ボブ・ディラン (1962 ウディ・ガスリー)
A Letter to Hayley/Billy Kidd (1963 へイリー・ミルズ)
ゴッド(神)/ジョン・レノン (1970 ヒトラー、キリスト、ケネディ、ブッダ、エルビス、Zimmerman=ディラン、ビートルズ)
ボブ・ディランに捧げる歌/デヴィッド・ボウイ (1971)
ボブ・ディランに捧げる歌/三浦 久 (1974)
いまボブ・ディランは何を考えているか/内田裕也 (1978/05)
僕らのヒーロー/中島卓偉 (2007 ジョーイ、ジミ、ボブ、ミック、ジョニー、ジョン)
ジョーイ・ラモーン、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ジョニー・ウインター、ジョン・レノンであるか?
金色のライオン/川村かおり (セックス・ピストルズ)
Advise to Smokey Robinson/The Family Dogg (1972)
Like Janis/The Family Dogg (1972)
(下左)ジャニスを聴きながら/荒木一郎 (1975 イアンでなくジョプリン。A面は『君に捧げるほろ苦いブルース』)
ジャニスを聴きながら/あおい輝彦 (カバー)
ジャニスを聴きながら/江本孟紀、入江真知子 (カバー)
ソニー・ボーイ・ウィリアムスン/ポール・ジョーンズ (1967)
Joe Turner/Oscar Peterson and Count Basie(1978)
レニー・ブルース/ボブ・ディラン(1981)
一人の道/ピンク・ピクルス(1972) (1968/01/09 円谷幸吉死去)
フランク・ロイド・ライトに捧げる歌 / サイモンとガーファンクル(1970)
ブルース・リー/マーカス・ミラー
I’m in Love with Margaret Thatcher/Notsensibles(1979)
(下右)サルトルで眠れない/早瀬優香子 (1986/01)
今でも…今なら…/大神いずみ (ジョン・コルトレーン)
グレース・ケリー/MIKA
彼が居た ― そうだ!たこ八郎がいた/友川カズキ(1985 1985/07/24 たこ八郎死去)
ジャン・ジュネに訊け/友川かずき
尾崎 豊/ガガガSP (尾崎を痛罵する内容。2001)
Dorothy L’amour/Ednardo (ドロシー・ラムーア Dorothy Lamour)
アインシュタインよりディアナ・アグロン/HKT48
ロール・オン・ジョン/ボブ・ディラン (2012 ジョン・レノン。かつてディランは同名異曲のトラディショナルを歌っている)

歌が作られた時点で名前の主がご健在の場合としては、

オードリー/デイヴ・ブルーベック・カルテット (1954)
オードリー・ヘプバーン泥棒/MONOBRIGHT
オードリィ・ヘプバーンの休日(Holiday for Audrey.H)/ピチカート・ファイヴ
Ruby’s Shoes/Lori McKenna (ルビー・ブリッジス)
ブレンダ・リー/チャック・ベリー (1964 アルバム『St. Louis to Liverpool』)
Radar Love/Golden Earring (1973 ブレンダ・リー)
栄ちゃんのバラード/ (作詞・作曲:南大阪ベ平連。上左は東京フォーク・ゲリラの日比谷野音実況録音盤)
ディグ・イット/ザ・ビートルズ (B.B.キング、ドリス・デイ、マット・バスビー)
Yoko/Tony Hatch & The Cherry Children (1970 英パイレコード)
ジョンとヨーコ/中山恵司 (1971/05 作詞:阿久悠、作曲:高瀬タカシ、B面:さらば)
Paul McCartney/Tony Hazzard (1973)
恋文/由紀さおり (1973/08 シャルル・アズナブール)
アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた/榊原郁恵
私のフランソワーズ/荒井由実 (サガンでなくアルディー)
ツイッギー・ツイッギー/野宮真貴
ベティ・デイビスの瞳/キム・カーンズ (創唱者はジャッキー・デシャノン)
シンシア/よしだたくろう&かまやつひろし (シンシアは南沙織の愛称)
ジュリーがライバル/石野真子
アグネス・ラム賛歌/JACK (1976/10)
スイートアグネス/高中正義
(上右)タモリきいてちょ!!/水谷ミミ
ジョニー・カーソン/ビーチ・ボーイズ
オリバー君のロックンロール/池田 鴻 (1976 B面:恋する!オリバー君)
ウエルカムR-O-L-L-E-R-S/ベイシティ・フェローズ (1977/09)
ウェルカムB.C.R./南条由記 (1977/09)
恋はB.C.R./エミリー (1977/12)
シー・ユー・アゲーン・キャンディーズ/MMP&ホーン・スペクタル (1977/12)
ああキャンディーズ/全キャン連・スーパー・スペシャル・バンド (1978/02)
Ally’s Tartan Army/Andy Cameron (1978 Ally MacLeod)
ピンク・レディー/モンスター (アルバム『LET’S ONDO AGAIN』)
グレープの唄が好きでした/寒暖計 (1978/07)
元祖高木ブー伝説/筋肉少女帯 (高木ブーは 2009/06 現在、ご健在です)
借りたままのサリンジャー/山崎美貴 (1985/11)
ビリー・ジョエルは似合わない/清水宏次朗 (1984)
彼女はそれを持っている/フランス・ギャル (1987 エラ・フィッツジェラルド)
おーわだばく/野沢直子 (1988 大和田獏、大村崑、菅井きん)
マイケル富岡の夜は更けて/野沢直子 (1988)
トモ子と呼ばないで/野沢直子 (1988 松島トモ子)
13日の金曜日/野沢直子 (1988 市原悦子)
だけどもうついけん/野沢直子 (1989 宇津井健)
ミッキーオ・ナリータの血はみどり/野沢直子 (1989 成田三樹夫)
風林火山みのもんた/野沢直子 (1990 みのもんた、桂小金治)
輪島の瞳/遠藤賢司 (1991 輪島大士)
JACK NICOLSON/bloodthirsty butchers (2004)
LIKE B.B./武田真理子 (2004三愛水着イメージガール。2004/05)
ジェームズ・ブラウン・イズ・デッド/L.A.スタイル
マイケル・ジャクソン ノーリターン/The Echinococcus
アウン・サン・スー・チー/ジェーン・バーキン

などがありますね。探せばもっと出てきそうです。

詞ができた時には名前の主が生きていて、曲が付けられた時には死んでいた楽曲では、

イングリッド・バーグマン/ビリー・ブラッグ & ウィルコ (ウディ・ガスリーが遺した詞(1950年の作)に、1996年、ブラッグが新たに曲をつけた作品。1998年リリース)

が有名です。

こうした例では、誰もが知っていて、そのイメージがある程度ハッキリしていることが重要です。
使われ方としては、純然たるトリビュート・ソングもあれば、名指しでの批判、単なるイメージ借用もあって、いろいろです。
椎名林檎の『弁解ドビュッシー』のように、単に語感だけでタイトルに用い、歌詞には出てこない、という使い方も多々見受けられます。
――困ったもんですね。

本人が無名のときに歌ができて、あとから本人が有名人になったという例もあります。

ナンシー/フランク・シナトラ (1945)

1944年、シナトラが当時2歳の娘ナンシーのために作らせた歌。その娘がのちにセクシー路線で人気歌手になろうとはさすがのシナトラも想像しなかったでしょう。
そのほか、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコの、ニコが、自身とアラン・ドロンとの間に設けた(らしい)男の子アリ(=アリ・ブーローニュ)について歌っている、その名もズバリ『アリの歌』というのが知られています。2001年4月にはアリが書いた自伝『L’Amour N’Oublie Jamais(Love Never Forgets)』が出版され、ベストセラーとなりました。
家族や親類に捧げた楽曲ではほかに

ワルツ・フォー・デビイ/ビル・エバンス
ネイマ/ジョン・コルトレーン
ジュリア/ザ・ビートルズ(ジュリアはジョン・レノンの母)
ムッシュー&タロー/ザ・スパイダース

がよく知られております。

「マリア・エレーナ」は、1932年に、メキシコの作詞作曲家ロレンゾ・バルセレイタによって書かれた歌曲。北米ヒット版の歌詞は、ボブ・ラッセルの作詞です。マリア・エレーナは、ラテン系の女性では大変に多い名前ですが、この唄で歌われたマリア・エレーナは当時のメキシコ大統領、エミリオ・ポルテ・ギルの奥さんです。

<サンチャゴ・タムラの音楽夜話 マリア・エレーナ ~ ロレンゾ・バルセレイタ より一部引用>
http://blog.livedoor.jp/etamura1961/archives/1512797.html

こうした貴人、貴婦人への献呈はクラシックの分野でけっこうありそうですね。注文を受けたのか、勝手に捧げたのかというところも気になりますが。

ミュージカル『Anything Goes(エニシング・ゴーズ)』のナンバー “You’re the Top” には初演の1934年当時、アメリカ人が最高にすばらしいと思っていた いろんな「固有名詞」が出てきます。建物名であったり作品名であったり人名であったり。
脚韻を踏む英詩ならではの言葉遊びなのですが、モナリザとミッキー・マウス、マハトマ・ガンジーとナポレオンのブランデーが同列に扱われているところがいかにも大雑把なヤンキーらしい感じです。

(上)ヴァン・ダイク・パークスのLP『ディスカヴァー・アメリカ』(1972年)。
ウエストコースト・ロック史上に燦然と輝くバーバンク・サウンドの、そのキーマンの一人ヴァン・ダイク・パークスの超有名盤で、残念ながら私が持ってるのは英エドセル・レコードによるリイシュー(ジャケット下にマークがついてるでしょ?)。確か1987年の発売だったと記憶してます。
お名前ソングという観点でこのアルバムを語る人は私くらいでしょう(笑)
登場する人物は俳優、歌手、大統領、FBI長官など多岐にわたってます。
総体“カリプソ愛”に充ち満ちていて、アッティラ・ザ・フンなどで知られるカリプソ音楽のヒット曲『ルーズヴェルトのトリニダード訪問』とかあるので、このアルバムで初めて知った『ジョン・ジョーンズ』という歌の主人公であるジョン・ジョーンズも実在する人物なんだろうと思い、LPを買った当時、調べてみたことがありました。

建国から第2次世界大戦くらいまでの間にアメリカ史に登場するジョン・ジョーンズで、西インド諸島に関連する人物だろうと見当をつけ暇つぶしに……元いッ、虱つぶしに当たったんですけどね。これがどうにも分らない。
で、諦めました。
ホンダCITYのCMで日本でも大人気だったマッドネスがカバーしてるルディ・ミルズのレゲエ『ジョン・ジョーンズ』は、作者名のクレジットが曲のプロデューサーでもあるDerrick Harriottとなっていて、いわゆるトラディショナルじゃない。伝承曲の存在をふまえたものにせよ、やはり別ものと考えるべきでしょうねぇ。

童謡『サッちゃん』じゃないですが、いかにも育ちのいい“坊ちゃん”タイプのヴァン・ダイク・パークスは自分の名を冠した歌も歌ってます。
1968年の初アルバム『ソング・サイクル』で、Public Domain(著作権切れ)の19世紀イギリスの『讃美歌320番 主よ、みもとに(聖歌260番 主よいよいよ)』(作詞:Sarah Flower Adams、作曲:Lowell Mason、1856年)の一節、
 yet in my dreams I’d be nearer, my God to thee
 Nearer, my God, to thee, nearer to thee!
 (訳)ただ夢見るは 主よ御許に近づかん
    主よ御許に近づかん 主よ御許に近づかん
を、
 Yet all my dreams shall be nearer my God to Thee.
 Nearer my God to Thee. Nearer to Thee.
として、
自分の名前『Van Dyke Parks』のタイトルで歌っております。いわば自分のテーマソングということでしょう。
自身のアイデンティティを歌にするにあたり、こういう手法を用いるところが、いかにも凝り性ミュージシャンらしくて面白いですね。

“キャラの立ってる”有名人であれば、何も実在の人物じゃなくてかまわないわけですし、実在したとしても伝未詳で虚像ばかりが独り歩きしている歴史的人物も多いですから。
 サブウェイ特急/矢沢永吉
では、実在の人物ジェームス・ディーン、小説・映画の主人公ジェームス・ボンド(詞ではおそらくショーン・コネリーを想定している)、ビートルズの歌の主人公エリナーリグビィー(=エリナー・リグビー=エレノア・リグビー)が、地下鉄に乗ってるお疲れ顔の乗客へのメッセージの中に“勧請”されています。地下鉄ソングとしては私はペトゥラ・クラークの『天使のささやき』と好一対の曲だと思いますよ。

虚像ばかりが独り歩きするというのは、キャラクターが拡大再生産、または再利用されているということですね。
日本の場合、実在の人物、例えば名の知れた武将であるとか、市井の無名人でありながらたまたま事件を起こして一時 名前が知れ渡ってしまった人たちとかが、
能、謡曲、地歌、人形浄瑠璃、歌舞伎、舞踊、伝承譚、民話、昔話、御伽草子、浮世草子、俗謡、説経節、浪花節、あほだら経、講談、芝居、落語、尋常小学校修身書、活動写真、小説、立川文庫、紙芝居、新聞、雑誌、ラジオ、流行歌・・・
などで取り上げられることにより、
実像とかけ離れた特異なキャラクターとして認識される例が多い。これは広大なインド亜大陸の各地で釈迦の名を使ってさまざまなお経が作られていったのとよく似てるんじゃないでしょうかネ。

(下左)牛若丸/三田明(1966年)
(下右)弁慶さん/松原ゆき子 (1966年2月)
牛若丸/美空ひばり
花の義経/山田太郎
源氏の若武者/山田太郎
源氏の若大将/佐々木新一
敦盛哀歌/舟木一夫
大楠公/有島通男
清正さん/藤本二三吉
独眼流参上/村田英雄
あゝ川中島/斎藤京子
ああ本能寺/下谷二三子
森蘭丸/三田明
あゝ大阪城/三橋美智也
曾我物語/三波春夫
曽我の討入り/三波春夫  (歌謡浪曲)
天草四郎さんの子守唄/佐々木新一
宮本武蔵の唄/樋口静夫
ムサシ/冠二郎  (マイクを「二刀流」で唄う)
お夏清十郎/東海林太郎
お夏清十郎/美空ひばり
お染久松/美空ひばり
おかる道ゆき/美空ひばり
八百屋お七の唄/美空ひばり
お七/水曜日のカンパネラ
お俊恋唄/榎本美佐江
おしゅん晴れ姿/曽根史郎
恋の藤十郎/若原一郎 (菊池寛の新歌舞伎に初代を主人公とした『藤十郎の恋』があり映画化もされた)
唐人お吉の唄(明烏編)/藤本二三吉
唐人お吉の唄(黒船編)/佐藤千夜子
雪の甚兵衛渡し/大川加寿也
義民佐倉宗五郎/大川加寿也
啄木旅愁/三橋美智也
奥の細道/渥美二郎
一茶さん/大久保澄子、有島通男 (童謡)
一茶と子供/伊藤久男、川田孝子
旅ゆく一茶/三橋美智也
がんくつ王/村田英雄
与謝野晶子/朝丘雪路 (作詞:寺山修司)

これらの歌は、実在した または実在したらしい人物に関する拡大再生産のフィルターを通過した後の、あくまでも作品です。
けっして史実の記録じゃない。フィクションを交えて、面白おかしく、感動的に再構成した商品なんです。
虚実皮膜どころか嘘八百、本当なのは名前だけかもしれない。
歌というものはとりわけその傾向性が甚(はなは)だしく、現時点においては映像に次いで、影響力、感化力があるメディアだと、私は認識しています。若い人や齢(トシ)いってても情動的な人には特に有効でしょう。
そういや北朝鮮が金正雲を偉大な後継者に祭り上げる歌を子供に歌わせてるそうですね。

神話・伝説・小説・演劇・映画・漫画・アニメ等の登場人物の歌は、お名前ソングということでは、実は今では一番多いかもしれません。
なにしろ日々、アニメの主題歌・挿入歌が世界中で量産されてるんですから。

架空の人物の名を使った例では、

英雄ユリシーズ/クリーム
恋の伝説/アイドルス (アプロディーテ)
まぼろしのシェラザード/アイドルス (シェヘラザード)
ヴィーナス/フランキー・アヴァロン
ヴィーナス/ショッキング・ブルー
気まぐれヴィーナス/桜田淳子
裸のビーナス/郷ひろみ
ブルー・ジーン・ビーナス(ヴィーナス・イン・ブルー・ジーンズ)/ジミー・クラントン (ヴィーナス、モナリザ、シンデレラ)
Hercules/Frankie Vaughan
Adonis/Terri Dean (アドーニス、ヴィーナス)
黒いオルフェ、オルフェの歌、カーニヴァルの朝/ (映画『黒いオルフェ』主題歌)
ヒーロー/ボニー・タイラー (比喩としてヘラクレスの名が出てくる)
アダムとイブの物語/ポール・アンカ
アダムとリンゴ/バリー・ダーヴェル
バイ・バイ・アダム/和田アキ子
未來のイヴ/宝野アリカ (イヴ、メフィストフェレス)
Mephistophales/CWT
聖母(マドンナ)たちのララバイ/岩崎宏美 (聖母にマドンナのルビなら聖母マリアだが「たち」と複数。しかも戦士を慰めるママ代わり)
 (右)サバの女王/ローラン (実在の人物?)
Sir Galahad/The Elites (円卓の騎士の一人ガラハッド卿)
Aladino/Ana Maria Cachito & José Garli Y Su Orquesta (アラジン)
I Wish I Were Aladdin/Enric Madriguera and his Orchestra, vo. Tony Sacco
Aladdin/Bobby Curtola
Aladdin/Rotary Connection
Ali Baba/Chuck Rio (インスト曲)
盗賊アリババ/牧葉ユミ
快盗アリババ/パピヨン
アリババ/マルコ・ポーロ
Guillermo Tell/Alberto Closas & Orquesta Calesita (ウィリアム・テル)
キューピー・ドール/ペリー・コモ
Cupid/Ray Pappa
Mr. Cupid/The Vespers
Poor Little Cupid/Joe Dowell
Cupids Arrow/Del Marino
キューピッドよあの娘を狙え/サム・クック
キューピッド/ドリフターズ (カバー)
キューピッド/オーティス・レディング (カバー)
キューピッドよ、あの娘をねらえ/サム&デイヴ (カバー)
Cupid/トム・ジョーンズ (カバー)
キューピッド/グレアム・パーカー (カバー)
キューピッド/スピナーズ (カバー)
Cupid/エイミー・ワインハウス (カバー)
恋のキューピット(間抜けなキューピット)/コニー・フランシス (キューピッド、ロビン・フッド)
間抜けなキューピット/ニール・セダカ (作者のセルフカバー)
ぼくと月とキューピッド/ジーン・ピットニー
私と月とキューピッド/パティ・コギン (カバー)
銀座のキューピット/園まり
キューピッドLOVE/花井その子
Sleeping Beauty/フランキー・アヴァロン (眠れる森の美女)
モナ・リザ/ナット・キング・コール (映画 “Captain Carey, U.S.A.”(1950)主題歌)
Teenage Mona Lisa/Adam Wade
モナリザの星/アイ・ジョージ
モナリザの微笑(ほほえみ)/ザ・タイガース
モナリザの秘密/郷ひろみ
モナリザ仁義/鈴江京子
Pretty Cinderella/Fred Rich and his Hotel Astor Orchestra (1926)
Cinderella Stay In My Arms/Guy Lombardo and his Orchestra
シンデレラ/ポール・アンカ
シンデレラ/ジャック・ロス (内容は漫談)
夢のシンデレラ/ザ・カスケーズ
シンデレラ・ベイビー/ジョニー・シンバル
シンデレラ・ジョーンズ/ペトゥラ・クラーク
Cinderella Baby/Drafi Deutscher and his Magics
Lonley Cinderella/Shelby Flint (1965)
Cinderella/November(1970)
シンデレラ/ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
シンデレラ/近田春夫&ハルヲフォン
シンデレラ・サマー/石川優子
土曜日のシンデレラ/北原佐和子
シンデレラたちへの伝言/高井麻巳子
Robin Hood/Tony Pastor and his Orchestra
Robin Hood/Les Brown and his Orchestra
Robin Hood/Dick James
いとしのロビン・フッドさま/榊原郁恵
たろうの初恋/新沼謙治 (浦島太郎)
Rip Van Winkle/The Nutmegs (1962)
ピーターパン/歌上艶子 (1936 松竹少女歌劇『ピーターパン』主題歌)
HERO/GIFT (幼少時に憧れたヒーローはピーターパンという内容)
キャプテン・ネモ/ジンギスカン
ハッチ大作戦/ジンギスカン
ダニー・ベイリーのバラード(ケンタッキーの英雄の死)/エルトン・ジョン (モデルはジョン・デリンジャーまたは、アーサー・フロイド”Pretty Boy” Floydだそうです)

とかがありますし、

演劇・歌劇・小説・映画の登場人物とそのイメージを転用・流用した例としては、

ハムレットの歌/藤山一郎
Ragamuffin Romeo/Paul Whiteman and his Orchestra
Romeo/The Castels
Romeo/Janie Grant
Oi Romeo!/Britta Koivunen
Teenage Romeo/Paul Perryman
Romeo’s Teacher/Lanny Duncan
Juliette/Jack Hammer
Romeo and Juliet/Toby Twirl
Romeo Og Julie/Inger Lise Andersen(1968)
(Like The Love Of)Romeo & Juliet/Marshmallow Way
Juliet/Romeos (1990)
ロメオとジュリエット/ザ・リフレクションズ
ロミオ・ハド・ジュリエット/ルー・リード
想い出のジュリエット/ザ・ランチャーズ
美女と野獣/デヴィッド・ボウイ
Cyrano De Bergerac/Alberto Closas & Orquesta Calesita (1958)
Don Quijote De La Mancha/Alberto Closas & Orquesta Calesita (1958)
Don Quijote/Los Cinco Latinos (1960)
不思議な国のアリス/ニール・セダカ
安寿と厨子王/三田明
長崎のお蝶さん/渡辺はま子
長崎の蝶々さん/美空ひばり
我輩は猫である/霧島 昇 (1942)
草枕/菊池章子 (1942)
東京ティティナ/生田恵子 (1953/08 正確には登場人物ではないが『モダン・タイムス』の劇中歌の主人公)
可愛いいティティナ/美空ひばり
カスバの女/エト邦枝
カスバの女/緑川アコ (カバー)
シャーロック・ホームズとワトソン博士/谷啓 (NHKみんなのうた 1975)
シャーロック・ホームズを捕まえて/ヴィーナス (1979/02)
老人と海/中山千夏 (1980)
無法松の一生(度胸千両入り)/村田英雄
女無法松/渚幸子
雪国/水原弘 (川端康成『雪国』の駒子)
駒子/おおとり舞
雪国 ~駒子 その愛~/坂本冬美
眠狂四郎/原トシハルとBアンドB7
Scarlett O’Hara(1964)/Al Allen (『風と共に去りぬ』の主人公。インスト曲)
Scarlett O’Hara/Los Aguilas (ペルーのポップ・グループ)
ミスター・ロビンソン/内田喜郎 (1971/05)
エマニエル夫人/杉本エマ (1975/02)
ダスティン・ホフマンになれなかったよ/大塚博堂 (1976)(1969年の『ジョンとメリー』、67年の『卒業』について歌っている)
ミスター・グッドバーを探して/細坪基佳 (1979)(ヒットした同名映画は1978年日本公開)

あたりは知ってる人は知っている、という感じでしょう。
ちなみに、映画の存在を踏まえて作られた『「いちご白書」をもう一度』や『愛染かつらをもう一度』には人物名は登場しません。

ボガード、バ-グマンの『カサブランカ』に影響された歌は戦後すぐの日本初公開時から何曲も作られているのに、なぜか言及は地名と名セリフだけで2人の名前がないのは不思議な感じがします。やはりボガードのギャング顔はJapaneseにはイマイチだったのかな。
1979年の

カサブランカ・ダンディ/沢田研二

に至ってようやく「ボギー」=ボガードの名が詞に出てきます。
1982年の

哀愁のカサブランカ/郷ひろみ

には固有名詞はありませんが「セピア色した映画」「スクリーン見つめて」等とありますから映画『カサブランカ』の存在を前提にしていることは確かでしょう。

 

(上左)お染さん久松さん/ひばり姉妹 (1965/10)
(上右)桃太郎さん/名城かつ子(1966/10)

歌舞伎となるとちょっと増えます。

直侍/浅草〆香、台詞:市川羽左衛門
白浪五人男/楠木繁夫、美ち奴、藤山一郎、木村 肇、杵淵一朗
直次郎はん/鈴木三重子
お富さん/春日八郎
浜松屋/春日八郎 (弁天小僧菊之助)
恋の権八/春日八郎
与三さん/照菊
河内山/白根一男
弁天小僧/三浦洸一
重の井子別れ/三橋美智也
御存じ弁天小僧/美空ひばり
お嬢吉三/橋幸夫
花の幡随院/島津亜矢
助六さん/真木柚布子

浄瑠璃・浪花節ではこんなのはどうでしょう。「夢が浮世か浮世が夢か、ドゥールットゥトゥシュブン」「頃は六月なかのころ、ランランゲレラン、アゲレラン」・・・ あっ失礼、こりゃワタシ用の浪花節でした。では改めましておなじみの壷坂霊験記から

壺坂小唄/天津羽衣
お里沢市 壺坂物語/三波春夫 (歌謡浪曲)
名月綾太郎ぶし 壷坂霊験記/三波春夫 (歌謡浪曲)

今でいうメディアミックスは江戸時代にもありました。違うジャンルで相前後して作品化されることは珍しくなかった。
昭和に入ってからは、小説(雑誌)、芝居、映画、流行歌(レコード)、ラジオ(のちにはテレビ)が強力にリンクするようになりました。
トーキーの時代になると主題歌・挿入歌がレコードで発売され、相乗効果を生むようになります。
再映画化で新しい歌が作られたり、当代の人気者が元の歌をカバーしたり、ときには便乗ソングが生れたりもしました。
以下、代表的な作品群だけ挙げておきましょう。

弥次喜多行進曲/小沢季夫、東海林太郎
丹下左膳の唄/楠木繁夫
婦系図の歌(湯島の白梅)/小畑実、藤原亮子
お蔦/島津亜矢

自雷也小僧/藤山一郎 (日活『自雷也小僧』)

御誂次郎吉格子/藤山一郎
次郎吉ざんげ/三波春夫

月形半平太の唄/東海林太郎
蛇の目月形/佐々木章
月形半平太の唄/美空ひばり
月形半平太/三波春夫

番場の忠太郎/真山一郎  (歌謡浪曲)
忠太郎月夜/三波春夫
瞼の母/三波春夫  (歌謡浪曲)
瞼の母/中村 美律子
瞼の母/島津亜矢 (同じ曲)
番場の忠太郎/氷川きよし

直八子供旅/春日八郎 (1958 原作:長谷川伸)

沓掛小唄/曾我直子 (日活『沓掛時次郎』)
沓掛時次郎/北廉太郎 (日活『沓掛時次郎』)
沓掛月夜/照菊
沓掛月夜唄/白根一男
沓掛時次郎/三波春夫
沓掛時次郎/橋幸夫
遊侠一匹/フランク永井 (東映『沓掛時次郎 遊侠一匹』)

人生劇場/楠木繁夫(日活『人生劇場 残侠編』)、村田英雄
人生劇場(続残侠篇)/村田英雄  (歌謡浪曲)
人生劇場(吉良常の最期)/村田英雄  (歌謡浪曲)
人生劇場の歌/宇都美 清
残侠吉良常の唄/鉄鉋光三郎
男吉良常/村田英雄
飛車角太鼓/金田たつえ

お島千太郎旅唄/伊藤久男、二葉あき子 (東宝『蛇姫様』)
蛇姫様/美空ひばり
お島千太郎/美空ひばり
お島・千太郎 つれ舞い道中/鏡 五郎、真木柚布子
蛇姫様/高英男

勘太郎月夜唄/小畑実、藤原亮子 (東宝『伊那の勘太郎』)
勘太郎笠/三浦洸一
勘太郎凧/田端義夫、大高沙子
勘太郎天竜唄/藤島桓夫
伊那節情話/大川加寿也
伊那の勘太郎/大川加寿也

雪之丞変化/美空ひばり (新東宝『競艶雪之丞変化』)
江戸の闇太郎/美空ひばり (  〃  )

姿三四郎/村田英雄 (フジテレビ『姿三四郎』)
姿三四郎(右京ケ原の決斗)/村田英雄  (歌謡浪曲)
姿三四郎/姿憲子 (NTV『姿三四郎』)
江戸の三四郎さん/高田浩吉
女三四郎/水前寺清子

講談・浪花節のヒーローが小説になったり、
小説・戯曲が映画になって、のちに浪曲・歌謡浪曲になったりする例もあります。

名月赤城山/東海林太郎
赤城の子守唄/東海林太郎
赤城しぐれ/霧島昇
赤城の三人男/村田英雄
忠治子守唄/藤島桓夫
忠治流転笠/小畑実
忠治流転笠/三波春夫
たそがれ忠治/植木等
浅太郎月夜/真山一郎(初代)

国定忠治も清水次郎長(しみずの じろちょう)も実在する侠客でした。
明治26年まで存命だった次郎長を「伝説」化したのは、講談の三代目神田伯山、浪曲の二代目広沢虎造、そして小説家の村上元三です。

清水次郎長/上原 敏
俺ら次郎長/橋幸夫
次郎長富士/北島三郎
おんな次郎長/天童よしみ
河内の次郎長/眞山一郎
お蝶次郎長恋姿/竹川美子、岡千秋
次郎長・お蝶ふたり笠/松平健、真木由布子
旅姿三人男/ディックミネ
旅姿三人男/竹脇無我 (カバー。フジテレビ『清水次郎長』)
任侠清水港 (フジテレビ『清水次郎長』)
吉良の仁吉(虎造くずし)/美ち奴
吉良の仁吉/村田英雄
吉良の仁吉/天童よしみ
~吉良の仁吉の妻~ お菊残照/三笠優子
仁吉男笠/三波春夫
仁吉は男/若原一郎
あゝ荒神山/三波春夫
石松旅だより/上原 敏
石松野郎の歌/ジェリー藤尾
夜もすがら踊る石松/中村美律子
鴛鴦東海道/三笠優子
渡り鳥姉妹/春野百合子、中村美律子
東海道/鳥羽一郎
風劇場/Mr.中村半次郎
うなれ! TORAZO!/the Case BY Case ふみまる&じんじん (アニメ浪曲紀行「清水次郎長伝」)
次郎長パソドブレ/the Case BY Case おしげ (  〃  )

 華原朋美の『あのさよならにさよならを』はNHK木曜時代劇『次郎長 背負い富士』の主題歌でしたが、歌詞には一切 次郎長は出てきませんし、時代劇らしさもありません。敏感な人ならアレッ?と思うようなこうした使われ方では、たいがいロイヤルティの配分が話し合われたりするんですが。

それにしても副次的・衛星的存在としての楽曲は実に多い。多すぎます。
映画にしろドラマにしろアニメにしろ主人公がいるわけで、その主題歌・挿入歌・イメージソングともなると、当然のように名前が入りますが、そういうのまで果してお名前ソングにカウントしていいものかどうか。
あなたは、どう思いますか。

ところで、架空人物の追悼歌があったとして、それがほんとうの追悼ソングといえるのか、というまたヒジョーにムツカシい問題があります。

で触れた「デス・ディスク」にはそうした要素がかなりある、と私は思ってます。ただ漫画やアニメのジャンルとなると個人的に線を引きたくなってきます。
私は“力石徹の葬儀”というイベントをメーンにしたあのファンの集い(1970年3月24日)に行こうと思えば行けましたが、当時、行く気にはなれない、とハッキリ自覚しておりました。今から考えりゃ行っときゃよかったナと(笑)

 

追加記事

(2018年11月7日)