2009/5/31 日曜日

たばこの(歌には)害(はないこと)について (承前)

カテゴリー: broadside ballad — eiji @ 16:36:36

090531_01タバコをやめて、今年でもう十数年になりますかね。
もともと呼吸器が弱く、風邪をひくと長引く子供だったくせに、映画の仕事をするようになってからナマイキに吸うようになりまして。
銘柄は一通り吸いました。
両切りのゴールデンバット(左)とか珍しいのまでいろいろね。
止めた理由は咳が止まらなくなったから。
ホントに止まらない、喘息状態。
で、やめると決めたら、私は意志が強いのでスパッとやめちゃった。
以後まったく吸ってません。
あの咳がなかったら今でも吸ってたかもしれませんね。

090531_02そうこうしてるうち、タバコを吸うのが、世界的に「カッコ悪くて無神経」ということになりまして、喫煙自体が世を憚られることになってしまった。
まぁその流れでいいのでしょう。

(右)園遊会参加者にかつて下賜されていたタバコ(日本専売公社謹製)。
10本のタバコが、縦8.3センチ、横8・9センチ、高さ1.3センチの厚紙の箱に入っていて、
その1本1本に金色で菊の御紋章が印刷されています(写真下)。
なぜ私が持ってるかって?
そんなことは言えまセン。

090531_03

 

シングル「煙草屋の娘」佐川ミツオ、渡辺マリタバコの歌。
私は童謡歌手平井英子とデブ役者岸井明の歌った昭和12年のコミックソング『たばこやの娘』が真っ先に思い浮かびます。これはなかなかよく出来た歌で、現代人でも共感できるような歌詞ですね。ただ今なら「たばこや」でなくて「コンビニ」とかですか。
(左上)佐川ミツオ、渡辺マリ『煙草屋の娘』ビクター1961年発売。
1960年代前半、各レコード会社は人気の若手に過去のヒット曲を歌わせる、いわゆる『リバイバル』路線を推進していて、佐川・渡辺のこのレコードもその1枚。『君恋し』『人生劇場』『無情の夢』『雨に咲く花』はそうした路線の成功作でした。
昭和16年9月、高峰秀子が『煙草屋の娘』という、歌いだしがやや似てるレコードをポリドールから出してますが、平井・岸井のとは別な歌です。

洋楽では1947年6月、キャピトルがリリースしたテックス・ウィリアムス(Tex Williams & His Western Caravan)のウェスタン・スイング『Smoke! Smoke! Smoke!(That Cigarette)』などはどうでしょう。
タバコの歌としては有名で、当時大ヒットしました。ビル・ヘイリーあたりのサウンドとは一線を画す“大人の品格”が感じられる一曲です。

あとは何がありますかね・・・ずっと後の、ザ・ナッシュビル・ティーンズの『タバコ・ロード』まで、今ちょっと記憶にありません。

以下 、YouTubeで見つけたタバコ関連の音楽。

日本の歌では喫煙そのものよりもその煙のほうが意味を持ってる感じです。

 煙草のめのめ ※大正8年
 黒いパイプ/近江敏郎、二葉あき子
 煙草が二箱消えちゃった/井上ひろし
 ヨイトマケの唄/丸山明宏(美輪明宏)
 ベッドで煙草は吸わないで/沢たまき
 タバコの火を消して/由美かおる
 プカプカ/ザ・ディランII(読みは、ザ・ディラン・セカンド)
 夜が明けて/坂本スミ子
 煙草のけむり/五輪真弓
 ブルーのけむり/小波月子(さざなみつきこ)
 タバコの煙りはきらい/クレオとパトラ (1971年)
 ぼくの好きな先生/RCサクセション
 待ちぼうけ/古井戸
 別れたばこはやめて/みさき ひろ子
 自由の鐘を二人に/あおい輝彦
 華麗なうわさ/フィンガー5
 ゴロワーズを吸ったことがあるかい/ムッシュかまやつ
 消えていくもの/吉田拓郎
 ドリフのラバさん/ザ・ドリフターズ ※「タバコは 毒よ」
 うそ/中条きよし
 ひとり酒/ぴんから兄弟
 アメリカ橋/山川豊  ※これはタバコをやめたという内容。
 セブンティーン/坂本九
 たばこの煙/バンバン
 もう戻れない/桜田淳子
 それぞれのテーブル/ちあきなおみ
 愛のために死す/ちあきなおみ
 たばこのみ/奥田民生
 眩しい雨/斉藤和義
 煙はいつもの席で吐く/安藤裕子
 都会/NSP
 FINALLY/ユニコーン
 ケダモノの嵐/ユニコーン
 自己嫌悪/井上陽水
 ハイティーン・ガール/ジョニー大倉
 Let Me Know, Let You Know/AIR
 二人結び/Bahashishi
 SNOW/B’z
 Breezin’/CORNELIUS
 寝台特急/DAYS
 好きだけじゃだめなんだ/Dreams Come True
 それでも/GRAPEVINE ※たばこ屋の壁。
 In A Smoky Mood/Medby
 @ the same time/nobodyknows+
 クラブ/ブリーフ&トランクス
 SENTIMENTAL GIRL’S VIOLENT JOKE/NUMBER GIRL ※草たばこをキメる。
 HIGHWAY STAR/PRINCESS PRINCESS
 パパ/PRINCESS PRINCESS
 タバコ・ロードにセクシーばあちゃん/サザンオールスターズ
 センチメンタルを越えて/藍坊主
 サラバ/THE BOOM
 染まるよ/チャットモンチー
 waymarks/関俊彦、保志総一朗、平田広明
 浮雲男/エレファントカシマシ
 I▽U/THE★SCANTY
 愛と正義のストライクメドレー/ストライク男(堀秀行)withストライク少女隊
 鉛の朝/SPARKS GOGO
 FEEL SO SAD/The Street Sliders
 この唄が届くまで/WENDY
 Myself,Yourself/ZZ
 真っ白/キンモクセイ
 レモン気候/金井夕子
 Loveだよ☆ダーリン/月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)

ちなみに、関ジャニ∞もカバーしている笠置シヅ子の『買物ブギー』では頼まれた品物の中に「たばこと仁丹」が入ってました。

不良少年の喫煙、というイメージで、世の良識に真正面からぶつかっていったのが、例の『スモーキン・ブギ』でした。

シングル「スモーキン・ブギ」ダウン・タウン・ブギ・ウギ・バンドシングル「スモーキン・ブギ」シャ・ナ・ナ

(上左)ダウン・タウン・ブギ・ウギ・バンド『スモーキン・ブギ』東芝EMI1974年12月発売。
(上中)シャ・ナ・ナ『スモーキン・ブギ(SMOKIN’ BOOGIE)』日本コロムビア1975年11月発売。
(上右)嘉門達夫『スモーキン・ブギ レディース』ビクター エンタテインメント 1994年1月1日発売。
シャ・ナ・ナ盤は同曲の英語バージョンで、よりテンポアップされ、彼ら流のキラキラした50年代ロックンロールに仕上がってます。B面は『ウィア・スティル・スモーキン(WE’RE STILL SMOKIN’)』という曲。
シャ・ナ・ナが所属するブッダレーベルの制作なので日本盤は洋楽扱いでした。アメリカでリリースされたどうかはあたしゃ知りません。
作詞・作曲のクレジットはRyudo Uzakiとなっています。ということは、ほぼ直訳の英語詞は宇崎竜童本人の手に成るものでしょうかね。
この年11月23日に来日したシャ・ナ・ナは、ダウン・タウン・ブギ・ウギ・バンドと共演する形で、11月28日から12月1日まで東京、神戸、名古屋でコンサートを行いました。
『スモーキン・ブギ』ですが、これは当初より指摘されてるようにエルモア・ジェイムズの『シェイク・ユア・マネー・メイカー』のイントロをそのまま借用しております。
ジョン・リトル・ジョンやハウンド・ドッグ・テイラーも録音してる人気曲でして、マジック・サムなどは『ロール・ユア・マネー・メイカー』と改題して、けたたましいエレキギターサウンドで発表しています。

 

追加記事

 明治のたばこ王・村井吉兵衛(1864~1926)が興した「村井兄弟商会」の旧たばこ工場(京都市東山区渋谷通本町東入ル)が解体されることが19日、分かった。取り壊し工事はすでに始まっており、近代京都の歴史を物語る赤れんが建造物を惜しむ声が上がっている。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009061900077&genre=K1&area=K00

レンガ造りの建物は風情があっていいですね。
ただ地震や老朽化で倒壊の危険があるのも確かで、致し方ないのでしょう。

(2009年6月19日)

 

たばこの(歌には)害(はないこと)について

カテゴリー: broadside ballad — eiji @ 15:59:34

 「世界禁煙デー」の31日から6月6日までの「禁煙週間」に合わせ、県内のたばこ販売協同組合は30日、商店街や公園などで清掃活動を実施した。期間中、県と県内のたばこ関連団体などは、イベントを通して喫煙による健康への影響や喫煙者のマナーを啓発していく。 http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20090531/CK2009053102000006.html

 31日午前1時15分ごろ、大阪府豊中市庄内幸町4の上田病院(鉄筋6階建て、94床)3階の病室から出火。ベッドの一部などを焼き、看護師がすぐに消し止めたが、この病室に入院していた男性(75)が死亡した。
(中略)
病院は全面禁煙だが、付近にたばこの吸い殻とライターが落ちていた。男性は末期の肺がんと認知症を患っており、歩行も困難。

http://mainichi.jp/life/today/news/20090531k0000e040011000c.html

LP「A Day in the Life」Wes Montgomery(右)1967年12月、A&Mレコードからリリースされたウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)のアルバム『ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)』SP-3001の有名なジャケット写真。
タバコ好きでもこれが魅力的な光景とは思えないのに、どういうわけかアートになってます。
撮ったのは世界的に著名な写真家ピート・ターナー(Pete Turner)でした。
未来の人はこれを見て「何だこれは?」と思うかもしれません。
昔の人はタバコというのに火をつけてその煙を吸い込んでいたらしい、ばかだねぇ・・・
そう考えるでしょうか?
中には興味を持ってタバコを“再現”しようとする人もいるかもしれません。
彼らがその煙をどう感じたか、聞いてみたい気がします。

 
 

こういう時代ですから今はタバコの出てくるレコードジャケットはインディーズ系じゃないと出しにくいかもしれません。
過去のLPジャケットをちょっと調べてみましたが、思ったより見つからないですね。

090602_01(左)ナット・キング・コール(Nat”king”Cole)『ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス(Just One Of Those Thing)』
1957年キャピトル Capitol W-903
閉店後のナイトクラブでしょうか。
タバコをくゆらせ、グラスをふと見つめるご本人。赤と黒の幻想的色彩がシックですね。
ビリー・メイ指揮のビッグバンドとの共演で、素晴らしいピアノプレイ、ボーカルを聴かせてくれます。
現在このアルバムは異なるジャケットでも発売されてるようです。
表題曲は1935年のコール・ポーター作で、ミュージカル『ジュビリー』の挿入歌。
シナトラ、エラ、ペギー・リー、ドリス・デイ、メル・トーメ、バド・パウエル、スタン・ゲッツ、デイブ・ブルーベック、タル・ファーロウなども録音している名バラードです。

 

090602_02(右)ジェシ・デイヴィス(Jesse Davis)『ジェシ・デイヴィスの世界(Jesse Davis)』
1970年アトランティック  Atco 33346
1944年オクラホマ生まれ。両親ともにネイティブ・アメリカン。
ミドルネームEdwinからエドと呼ばれていたようです。ギタリスト、ボーカリストとして多くのセッションで活躍し、自身もブルース、ゴスペル、カントリーをルーツとするスワンプ・ロックのアルバムを残しています。
アルバム『Keep Me Comin’』のジャケに登場するご本人は見た目“知性あふれるインディアン”という雰囲気です。1988年、43歳の若さで亡くなったというあたりが、いかにも60から70年代にかけて活躍したミュージシャンらしいですね。
この初ソロ・アルバムでは、恩人であるエリック・クラプトンのほか、ジョン・サイモン、グラム・パーソンズ、レオン・ラッセル、ベン・シドランらをゲストに迎え、超豪華セッションが展開されております。
ジャケットのイラストを描いたのはコマンチ族出身の父親だそうですよ。まさにタバコの“原点”の図じゃないですか。

 

090602_03(左)ボブ・シーガー(Bob Seger)『Smokin’ O.P.’s』
1972年 Palladium 1006(1978年キャピトルがリイシュー)
洋モク「ラッキー・ストライク」をパロった、いかにも当時らしいジャケット(デザインThomas Weschler)は、シーガーとシガーをかけたシャレですでかね。
まだ人気がイマイチのころのアルバムで、自作曲は少なくボ・ディドリーやチャック・ベリーのカバーが目立ってます。
シーガーというと私なぞはピート・シーガーのほうが親しみがあるわけですが、そっちのシーガーはSeegerと、「e」がひとつ多い綴りになってます。

 

090602_04(右)ハリー・ニルソン(Harry Nilsson)『夜のシュミルソン(A Little Touch Of Schmilsson In The Night)』
1973年 RCA
ハリー・ニルソンとはすなわち『うわさの男』のニルソンです(研ナオコぢゃありまセン)。
すでに故人です。
ソングライターとしても歌手としても高い評価を受けた人でしたね。
このアルバムはフル・オーケストラをバックに「メイキン・フーピー」「虹の彼方に」「メイク・ビリーヴ」「時のたつまま(As Time Goes by)」といったいわゆるスタンダードナンバーを歌ってるもので、60年代後半に特に映画で顕著だった20年代・30年代リバイバルの風潮に影響されてる観があります。
かといってヴァン・ダイク・パークスのようにひねってるわけじゃないですが。
写真撮影のクレジットはTom Hanley Of Bloomsburyとなっています。

 

090602_05(左)リッキー・リー・ジョーンズ(Rickie Lee Jones)『浪漫(Rickie Lee Jones)』
1979年ワーナー・ブラザーズ 3296
デビューアルバムでMike Salisburyデザイン、Norman Seeff撮影のジャケットは、ボニー&クライドのボニー・パーカーのようなイメージで、彼女の生い立ちや経歴をそのまま出している感じです。少なくとも売り出すに当たってそういう部分を隠さない戦略だったのでしょう。
日本語タイトル『浪漫』が適切だったかは分りませんが、メロディはどれも素晴らしく、豊かな才能が感じられます。
ドクター・ジョンがキーボードで、ランディ・ニューマンがシンセで参加しておりますね。

 

090602_06(右)ヴァン・モリソン(Van Morrison)『ウェイヴレングス(Wavelength)』
1978年ワーナー・ブラザーズ K56526(英盤)
1945年、イギリス領の北アイルランドに生れたヴァン・モリソン。
『グロリア』のヒットで知られるゼムの人でしたけど、1966年以降はソロシンガー、ミュージシャン、プロデューサーとして大活躍、今じゃすっかり大物です。
少なくともこのアルバムからはあまりアイリッシュ気質は感じられず、ジャケットのジェームス・ディーン然とした写真のイメージとも違って、むしろ世界中の誰しもが好むような、心地よい70年代ロックの典型的なサウンドが展開されてます。
7曲目「SANTA FE」はジャッキー・デ・シャノンとの共作曲。
ジャケットデザインはBrad Kanawyer、アートディレクション担当はJohn Cabalka、写真撮影はこれまたNorman Seeff。
ちなみにドアーズのジム・モリソンは1943年アメリカのフロリダ州生まれです(モリソンつながり? 呵々)

 

090602_07(左)バッド・カンパニー(Bad Company)『デンジャラス・エイジ(Dangerous Age)』
1988年アトランティック Atco
ブライアン・ハウをボーカルに迎えた第二期のバッド・カンパニーはサウンドががらりと変わって別グループのようでしたね。バッド・カンパニーというだけあって、メンバー同士も最初から仲悪かったし(笑)
デザインAnthony Ranieri、コンセプトRich Totoian、アートディレクションBob Defrin。
幼児がタバコを吸ってる写真は今ではありえないでしょう。
私はちびっこギャングのような子供が葉巻をくわえている顔のアップをジャケットにしたLPを見た記憶があるんですが、誰のだったか思い出せず、今現在も悶々としちゃっております。
たしかそういうのあったんですけどねぇ。
3曲目に「ノー・スモーク・ウィズアウト・ア・ファイヤー(No Smoke Without a Fire)」という曲があります。
これは火のないところに煙は立たずという意味ではなく、火を得ようとすればどうしてもいやな煙も発生することから「何事も好いことばかりじゃないよな」といってるわけで、要するに状況を合理化し納得するための慣用句ですね。

 

090602_08(右)ジョニー・ウィンター(Johnny Winter)『ギター・スリンガー(Guitar slinger)』
1984年アリゲーター
有名な白人ブルースマン。うちにはCBS時代にリリースされた日本盤シングルが何枚かあるだけで、このアルバムは持っていません。
デザインChris Garland, Xeno、写真Paul Natkin/Reserve,Inc.

 

2009/5/28 木曜日

スマイル

カテゴリー: broadside ballad — eiji @ 15:41:37

YouTube – Smile- written by Charlie Chaplin (Cover)

わざと荒れた画質にしている映像です。私は16ミリで撮影したモノクロ・フィルムを35ミリにブローアップした内田吐夢のあの『飢餓海峡』を連想しましたよ。

NHKスペシャル『マネー資本主義』の第1回『“暴走”はなぜ止められなかったのか ~アメリカ投資銀行の興亡~』(2009/04/19 21:00~21:50放送)を見ました。シリーズのテーマ曲として映画『モダン・タイムス』の名曲『スマイル(Smile)』が使われております。細野晴臣によるアレンジで大変素晴らしい仕上がりになってました。

映像とは正反対の美しい音楽、あるいはのどかな状況音を使うという手法では、黒沢明の『野良犬』の緊迫したラスト・シークエンスが真っ先に思い浮かびます。犯人との対決シーンで聞こえてくるのはクーラウのピアノ練習曲『ソナチネ第1巻・第1曲』。ついに捕まえた後、土手の上を通りがかった子供らが歌っていたのは童謡『蝶々』でした。

『マネー資本主義』でも貪欲なウォール街がもたらした世界規模の人災を解明しレポートするに当たり、テーマ曲として、あの切ないまでに美しい旋律をもってきたという、プロデューサーのそのセンスには私は脱帽するばかりです。そして言わずもがなですがチャップリンが描いた資本主義社会の本質と悲劇を今にちの状況に重ね合わせるという多重露光としての意図をも示す選曲ですね。

チャップリンの作ったこのインストルメンタル曲『スマイル』を、ナット・キング・コールがJohn TurnerとGeoffrey Parsonsの詞を得てヒットさせたのは1954年9月です。映画が1936年ですからその間わずか18年。
上にシェアしたYouTubeのテイクは、あるいはリッキー・リー・ジョーンズの2000年のアルバムに収録されたギター爪弾きバージョンに影響されてるかもしれません。
ナット・キング・コールの『スマイル』が、アンディ・ウィリアムスの『ムーン・リバー』だとすれば、リッキー・リー・ジョーンズやこのYouTubeのテイクは、映画の中でオードリーが披露した『ムーン・リバー』に相当するものでしょう。
『スマイル』はバーブラ・ストライザンド、ダイアナ・ロス、サンディ・ショウなども歌っておりますね。ただこの歌は圧倒的な熱唱とかゴージャスなアレンジとか粋なジャズムードとかは相応しくないでしょう。なにかこう本来無一物の境地といいますか、すべてを失い絶望の淵に立ちてなお眼前に君の笑みありというか、『街の灯』ラストの指噛みながらの拈華微笑(ねんげみしょう)というか、そんな達観した心持ちで歌うのがよろしい。そういう歌です。

 

YouTube – Rickie Lee Jones Smile

 

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2009/5/27 水曜日

煙が目にしみる

カテゴリー: broadside ballad — eiji @ 23:30:11

 光化学スモッグ注意報が県内で発令された8、9日、県保健環境研究所(太宰府市)が、大気中で通常の3倍超にあたる濃度の硫酸塩を測定していた。特に北九州市では注意報が発令された9日は、硫酸塩も夜間まで高濃度を記録していた。中国大陸では硫酸塩の発生原因となる石炭が大量に使用されており、同研究所は「中国大陸で発生した原因物質が、硫酸塩などと九州に流れ込んだために光化学スモッグが起きたとみられる」と推測している。

http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/20090527-OYS1T00501.htm

一昨年あたりから「光化学スモッグ」という懐かしい言葉を目にすることが増えました。

あれは1970年7月18日のことです。東京立正高校(東京都杉並区)の校庭で、女生徒約40人が頭痛、吐き気、目の痛みを訴え、ばたばたと倒れ、大騒ぎとなる事件がありました。
新公害「光化学スモッグ」の衝撃的な登場でした。
すぐに注意報や警報が出されるようになり、原爆マグロや放射能雨のときのように、みな戦々恐々となったのをよく憶えております。
もっとも、当時、私が住んでいたのは東京でも外れのほうで、目にしみるスモッグはテレビのニュースで見るくらいでした。

現代で目にしみるのは唐辛子エキスの防犯スプレーくらいかと思ってましたが、大陸中国に近い地方で「光化学スモッグ」が頻繁に発生するようになった由。やはり今回も目にしみるそうです。
とんだ70年代リバイバルで、こういうのだけはゴメンですね。

目にしみるといえば、、、『Smoke Gets in Your Eyes』。
光化学スモッグの日は、せめてもこういう美しい調べで、心安んじていただきたいと思います。

ミュージカル『ロバータ』(1933年)に始まり、映画『ロバータ』(1934年)、映画『ラブリー・トゥ・ルック・アット』(1952年)で広く世に知られ、録音しているアーチストも多いですね。
ポール・ホワイトマン楽団(歌入り)、アーティ・ショウ楽団とグラマシー・ファイブ、ザ・プラターズ(1959年)、テディ・ウィルソン、ナット・キング・コール、アート・テイタム、ジョン・ルイス、セロニアス・モンク、チャーリー・マリアーノ、クリフォード・ブラウン、ジョニー・グリフィン等々。
スタンダードの中のスタンダードといった貫禄です。ダーク・ダックスもたしかレコードにしてると思います。

 

石本美由起死去

カテゴリー: broadside ballad — eiji @ 16:11:59

梶芽衣子がブログを始めたというので、わくわくしながら見たら、タイトルが『梶芽衣子 女をやめたい』。

――しばし茫然。

5月24日のスタッフ投稿の記事に、

25年ぶりとなる新曲(CDシングル)が6月24日にテイチクレコードより発売されます。
梶芽衣子 「女をやめたい cw 思い出日和」(TECA-12187)
2009年6月24日発売

とあり、ブログ・タイトル=新曲のタイトルであることが分って一安心(笑)
『怨み節』にしてからが風変わりなタイトルでしたから、逆に期待はさせますが、、、

 「憧れのハワイ航路」「悲しい酒」などのヒット曲で知られる作詞家の石本美由起(いしもと・みゆき、本名石本美幸)さんが27日午前零時50分、心不全のため横浜市の病院で死去した。85歳。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/090527/msc0905271334003-n1.htm

「根っからの演歌人間」と言われ、面倒見が良く、仲間や後輩からも慕われた。89~94年に日本音楽著作権協会の理事長を務めた。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090527-OYT1T00474.htm

庶民の哀歓を幾多の詞に編んで世に送り出し、大衆を慰撫・慰安したその功は絶大です。
ただ、JASRACから古賀財団への78億円無利子融資事件は、もはや彼ら作り手が庶民の側には立っていないことを世間に知らしめる結果となりました。

サイトの復活が遅れてます。
とりあえず、リンク集だけ先に公開することにしました。
昔のリンク集のデッドリンクをチェックし、増補・改訂したものです。

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