『サブマリン808』インフォメーション

 あなたは何か恐いものはありますか?
オバケ? 吠える犬? クモ? それとも、まんじゅうとお茶ですか?

 人にはそれぞれ恐いものがあるようですね。私の場合はそれは、海の絵や写真です。変でしょう?
ビデオや映画で見る時はあまり恐くはありません。不思議です。
海の絵や写真(略して海景と云わせてもらいます)のなかでも船が描かれている絵が恐い。特に恐いのは大海を行く潜水艦です。これを見ると思わず「ぎゃぁーっ!!」と叫んで目を覆ってしまいます。カラー図版が恐いことは言うまでもありませんが、戦前の少年雑誌にあるような精緻なモノクロのペン画でもかなりの恐怖を覚えます。

 このように理屈に合わない恐怖を精神医学では「恐怖症(フォビア)」と呼んで、神経症の一種に分類しています。それに対して先程の吠える犬であるとか、あるいは高い場所に立つ恐怖は、自己防衛本能にもとづくものであり、むしろ感じて当然であって、よほど極端でない限りは神経症とは云いません。

 ところで、なぜ私は海景が恐いのか、どうして海景恐怖症シービューフォビアなのか、その原因をあれこれ考えてみたのですが、まったく思い当たる節がありません。幼いころ、溺れかかったとか、船の上でいやなことがあったとか、そんなこともまったくありませんでした。水泳はクロールこそ苦手ですが、千葉の海を平泳ぎで遠泳したことすらあります。現実の海はそれほど恐くはないのです。
 あるいは前世というものがあるのならば、もしかしたら私は遠洋漁業の船員か何かで、時化に巻き込まれて海に放り出され、苦しみもがきながら死んでいっだのかもしれません。そんなことしか理由に思い浮かばないのです。

 物心つくころにはもう海景恐怖症で、何が恐いといって、家にあった学習図鑑シリーズ(写真ではなく絵でした!)の中の『魚と貝の図鑑』がいちばんオソロシかったのです。見ることはおろか披らくことも触れることさえも出来ませんでした。そのほか『交通の図鑑』『動物の図鑑』も恐かった。『交通の図鑑』には船舶の絵があり、海水が描いてありました。それを見ただけで「ぎゃぁーっ!!」です。

 『動物の図鑑』にはクジラやあざらしの泳ぐ絵が見開きで描いてありました。もう、想像しただけで気が狂いそうになったものです。そして今でもその症状はほとんど変っていません。
 この恐怖症が原因で他人に迷惑をかけたことはこれまで一度もありません。生活上何の支障も来たさない恐怖症なので、仕事にかまけて忘れてしまっているほうが多いのです。ですから別段この持病を治そうなどとは思ったこともないし、これからもそうでしょう。むしろ私は自分のこの恐怖症に愛着こそ無いものの少なからず興味をもっていて、ちかごろでは全身に電撃が走るようなその恐怖の感覚を楽しむようにまでなりました。その延長上に生まれたのが、この『サブマリン808』というホームページなのです。

 私と同じような人が探せばいるもので、集まっていろいろ話し合っているうちに、世の中に海景恐怖症を認知させようではないか、ということになりました。メンバーの中の一人が、海底をモチーフにした変わったサイトがあるということで、ためしに問い合わせたところ、さっそくホームページを開きなさいということになり、トントン拍子に話が進んで、『サブマリン808』が出現、いえ、浮上した、ということなのです。

 この『サブマリン808』を作ることで、我々はいくたびか心臓が止まるほどの恐怖を味わいました。それはそうです。自分たちがいちばん怖がっているその対象をテーマにしたものを作ろうというのですから。
 ここで見ることができる潜水艦の絵や写真は、どれも、我々にとってとびきり恐いものばかりなのです。とても直視できないので紙で隠しながら作業をしました。うっかりそのページを開いてしまった時など、頭のてっぺんから後頭部にかけての毛が逆立つほどの恐怖を味わってしまいます。それでも我々はその恐怖と戦い、打ちのめされつつ、作り続けました。今後もおそらくそうやって作り続けるでしょう。

 このホームページによって、世の中にはこういうものを怖がる人が少数ではあるがいるんだ、ということをご理解いただけましたら幸いです。

1998/02/28      

 

追加記事

サイト『サブマリン808』は2000年3月末でクローズしました。

Yes – yes The Ancient(Giants under the Sun)古代文明
from the album “Tales From Topographic Oceans”(1973)海洋地形学の物語

  ※(追記:この動画は削除されました

Vangelis – Memories Of Blue メモリーズ・オブ・ブルー
from the album “Oceanic”(1996)オセアニック

(2011年12月4日)

追加記事

1963年4月10日、マサチューセッツ州コッド岬東方350kmの海域でアメリカの原子力潜水艦が沈没しました。
この悲劇を伝えるポピュラーソングがあります。
ワンマンバンドスタイルの黒人シンガー アブナー・ジェイが1963年に歌った『ザ・スレッシャー』がそれで、
ブロードサイド・バラッド、カリプソ(街頭演歌)の体裁であり、ニュース歌謡であり、追悼ソングであり、鎮魂歌でもありました。

スレッシャー(USS Thresher, SS-200)は、アメリカ海軍の潜水艦。タンバー級潜水艦の一隻。艦名はオナガザメ(英:Thresher Shark)に因み命名された。
スレッシャー(潜水艦)- Wikipedia

スレッシャー(USS Thresher, SSN-593)は、アメリカ海軍のスレッシャー/パーミット級原子力潜水艦。艦名はオナガザメ(英:Thresher Shark)に因み命名された。その名を持つ艦としては2隻目。本艦は同級の1番艦であったが、1963年4月に事故で失われた。
本艦の深海潜行試験時における事故は、厳密な潜水艦安全運用プログラムである SUBSAFE が実施されるようになった分岐点と見なされる。
スレッシャー(原子力潜水艦)- Wikipedia

Abner Jay – The Thresher(1963)
story of US submarine (SSN-593) The Thresher.

<参考>

(2011年12月4日)

追加記事

グーグルアースで潜水艦を操縦しよう

(2011年12月23日)